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【日曜特集】第7師団創設56周年記念行事(01)戦車が視界一杯の東千歳駐屯地(2011-10-09)

2022-01-23 20:00:20 | 陸上自衛隊 駐屯地祭
■第7師団は日本唯一の機甲師団
 機甲部隊とは装甲機動部隊の略称で東日本大震災の記憶新しい2011年10月に延期されていました師団祭は挙行されました。

 第7師団創設記念行事、2011年の行事ということで10年以上前の行事となりますが、今回改めて掲載する事としました。この10年間で日本の防衛力と防衛力整備というものは大きな変革に見舞われ、そして周辺情勢も大きく転換しました。今回、改めてみてみよう。

 東千歳駐屯地は広い、こう表現する事は単純なのかもしれませんが東千歳駐屯地を、おっ街道の駐屯地に慣れている方はそう思わない方もいるのでしょうか、しかし開門と同時にゲートをくぐりまして、まず手荷物検査は無いという部分から、少し不思議に思いました。

 82式指揮通信車。恐らくはテロ警戒の為なのでしょうかヒグマ対策の為なのでしょうか、いつでも装甲車の車体を盾に駐屯地と観覧者を防護する準備が出来ていまして、要するに来るなら来い、という機甲師団ならではの迫力を醸し出しています。この当たりから違う。

 広い、この一言に尽きるといいましたが、普通に歩いて式典会場まで40分ほどかかります、いや、誇大表現と思われるかもしれませんが、早歩きで45分ほど掛かります、演習場の中を歩くのではなく、建物と倉庫とモータープールを縫って歩いて45分、本当にひろい。

 北の大地、こう表現しますと厳寒な冬の吹雪や荒漠たる大自然の猛威と手つかずの原風景、というものを思い出されるかもしれませんが、単純にロシアとの国境、最短は国後島か、最短距離では20km程度という事実を突き付けますと、ここは防衛の最前線だとわかる。

 戦車、戦車、戦車、あと自走砲に自走高射機関砲に装甲車と、戦車、戦車、戦車、あと偵察警戒車に装甲戦闘車に装甲車、戦車、戦車、戦車、あと自走迫撃砲に戦車橋に装甲ドーザー、戦車、戦車、戦車に。第7師団祭を表現しますと安直ですがこうしたものとなる。

 90式戦車が、こう横一列に並びますと迫力に圧倒されます、いや東千歳駐屯地だからでしょうか、新千歳空港に隣接する東千歳駐屯地は周辺に目立つ建物が無く、横一列に視界を埋め尽くすように戦車が並んでいますと、迫力を通り越して異次元の様相を帯びてくる。

 北海道の自衛隊関連行事で毎回感じますのは、本州の自衛隊行事は機械化部隊が自慢の富士学校祭を含めて、何とか強大な敵を撃破した、という印象のものが多い中、北海道の場合は陸上火力におり圧倒撃滅する、そんな機械化部隊の偉容というものがあるのですね。

 第7師団、驚いてはいけないのですが東千歳駐屯地には戦車連隊は駐屯していません、戦車連隊の定数を考えれば各中隊から小隊を参加させていて、式典に参加している車輛は師団のごく一部であり、そう考えますと第7師団というものを改めて大きく感じるもの。

 圧倒撃滅、こう印象づけるのは駐屯地の式典会場が広いことも挙げられるのかもしれませんが、戦車の多さ、という部分が無関係ではないように思う。日本周辺には大規模な軍事パレードを定期的に実施する国が幾つかありまして、その様子は報道発表されています。

 軍事パレードは予算を要する以上目的が必要で、なにしろ国威発揚が目的なのだから当然といえば当然だけれども、映像で流されます。正直なところ、自衛隊行事を知っている方々でも師団祭で戦車が数両しか参加しない地域にお住まいの方は、見比べてどう思うのかと。

 日本の防衛力で軍事恫喝に対応できるのか現実を突き付けられ、いや日本は日本海と東シナ海があるし、と考えるのかもしれませんが、北海道の自衛隊行事を知っている方からみるならば、いやこのくらいならばウチの戦車連隊でなんとかなるな、こう思われるようで。

 平和主義、これは非常に重要な外交政策ではあるのですが、周辺国での戦争をみて見ぬ振りをする、世界での圧制による犠牲は無かったことにする、平和は大事にするもの、平和は維持するもの、発音では似ているものですが前者を選びますとどういう事になるのか。

 平和というものが大事という部分では共有できる価値観ですが、その上で戦争を回避する具体的な施策を考えない場合は、これをわたしは"平和を手段とする"か"平和を目的とする"と相容れないものである視点であると指摘しているのですが、前者を選んだ場合は、さて。

 結局のところ万一の状況に大切なもの、戦争というものの脅威を前に、極論で平和だけを手段として回避し屈服することで人命を薄なわずにすんだとしても基本的人権や幸福追求権、場合によっては財産権や生存権を失う危険に曝されるという実状があるように思う。

 平和を手段として結果としての平和を実現できるならば、何しろ戦車にしても戦闘機にしても安価ではありませんので世界中がその選択肢をとりそうなものですが、資源や地政学的立地を求める諸国がすべて共有できない場合にはどうしても摩擦が生じるのは道理です。

 予防外交。脅威を突き付けられた際、その際に防衛力を有していれば予防外交、予防外交が実らない場合でも抑止力を維持することで武力紛争を一時的でも回避し、その上で恒久的な武力紛争回避や紛争解決への卓上で意見集約を行う時間的余裕が生じるように思う。

 防衛力というものはそのためのものなのですね。その上で、北部方面隊の隷下部隊行事にみられる、敵を押し返すのではなく押しつぶす、圧倒撃滅の能力誇示は、もう一つの役割があるように思う、それは主権維持と憲法の堅持へ国民の支持を得られるか否か、という。

 実際のところ国民が政府を支持するか外国政府の圧に屈することを支持するかは防衛力を筆頭に政府が、そして自国の防衛力が国民に支持されるのかという部分にあるのですね。国民の支持がなければ国家は維持できません。その為には国家にも覚悟というものが要る。

 もちろん、理想は、この理想というのはカント的なという意味でですが、国民が外国の軍事恫喝に徒手空拳はもちろん生命を掛けて屈しない共同体意識があれば、常備軍が不ようになる、と考えられたものですが、なかなかそこまで堅固な意識、全体では持ち得ません。

 民族自決を全員自爆の覚悟まで昇華させることは出来ませんし、個々人の意志と抵抗には現代兵器を凌駕することは非現実的でもあります、すると防衛力整備の重要性はここにある。そして、日本の防衛力ならば軍事恫喝を受けた場合でも、という自信に繋げねば。

 日本の防衛力ならば軍事恫喝を受けた場合でも、それが海を越えて襲来した場合でも破砕できる、だからこそ憲法の掲げている基本的人権や男女同権、環境権や幸福追求権は維持されるべきであるし、自国民統制手段に銃砲さえ用いる圧政を行う様な国に屈しないべき。

 国家が香港や平壌と武漢やヤンゴンで行われていたような行動を21世紀の今日に繰り返すような勢力からの恫喝は頑としてはねのける気概を、実際の軍事恫喝を受けた場合でも堅持するには、そのための備えが必要だと思う。この点で重厚な防衛力に意味合いがある。

 重厚な防衛力を北海道に集約する構図には、もちろんこの防衛力は北海道の地政学上の要求からは必要ではあるために、引き抜くという意味ではなく整備という意味で、現状の本州防衛力には不可思議であるよう、思うのですね。全国的に機械化を進めるべきと感じた。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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1 コメント

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抑止力こそ。。。 (ドナルド)
2022-01-23 23:28:30
平和について2つの説を仰られており、いずれも重要な視点と思います。こうしたイデオロギー論(理想とはなんぞや)とは独立に、「結局もっとも平和が保たれる方法は何か?」という現実論も大事だと思います。

これは過去の歴史を見ればほぼほぼ「事実」あるいは「科学」としてわかる話で、私の理解では以下だとおもいます。

1:国際的に孤立しないことが平和維持で大事。経済がつながっていることは、平和維持に寄与する。

2:軍事的均衡が保たれていないと、戦争が起きる。相手が戦争に勝利することで得られる利益よりも、そのために必要な損害の方が大きくなると思う程度の軍備を持つことは、平和維持の根本です。

ODAや国際援助、関税同盟や一定レベルの自由貿易も、「1」の観点から平和維持の極めて重要な側面です。優れた情報収集能力に裏打ちされた外交力も極めて重要です。しかしそれだけでは、経済的な利益に地政が関わると、戦争を防げない時が生じます。だから「2」が必須です。

その意味で、有効な軍事力を持つことは平和を守るための最低条件だと思います。なので私の中で、「平和を大事にすること」と「軍備をすること」は両立しています。

平和を愛すると称して軍備に反対している人たちよりも、私は自分の方がよほど平和を愛し、大事にしていると、自信を持って言えます。(笑)
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