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【京都幕間旅情】大覚寺,新緑の高雄山見上げる嵯峨は院の御所を置いた皇室ゆかりの院政の地という大寺院

2023-06-07 20:00:01 | 写真
■五大明王奉じる大覚寺
 熱い早春から涼しい春を経て初夏という季節の前に台風がやってくるという梅雨前の不思議な日々です。

 大覚寺。だいかくじ、と読む。嵯峨の一角に位置しますこちらは、皇室ゆかりの寺院であるとともに、後宇多法皇がここに院の御所を置いた院政の地、貞観18年こと西暦876年に創建された由緒、というよりも京都に数多い千年を超える寺院の一つとなっています。

 嵐山というのは、不思議な一角とおもう。いや嵐山というのは観光地の代名詞的な存在となっていますが、一応この嵐山、という名称の山は、渡月橋からみて上流側の左岸にそびえる山の名前だったりします、標高384m、ただ一般的にはこの一帯の地名でもあります。

 松尾山と嵐山と烏ヶ岳、この三峰を嵐山三山というのですが、渡月橋から天龍寺までの一帯、ちょうどその中央部に嵐電嵐山駅、個人的にはまだ京福電鉄嵐山駅と呼んでいるのだけれども、この一帯が混雑しているように思う、そしてそれは不思議な印象も受ける。

 京都の西の奥座敷というべき嵐山、確かに混雑しているのだけれども目的はどうやら飲食のようで、そうした店舗が軒を連ねているのだけれども、いやここは歴史を湛えた、なにやら壮大美麗な美術館に来た子供が飲食コーナーから出てこないような、そんな感じ。

 天龍寺の伽藍と借景とともに見る庭園は確かに素晴らしく、なるほど京都五山というけれども、しかしこの一帯の混雑、それもCOVID-19のまだ猛威のあったころにも一応の人通りがあって、しかしいまではもう、ここにそんなに集まらなくともという規模だ。

 大覚寺は、ここから嵯峨の方へ、これも歩くとちょっとした距離なのか、これはもう遠くまで歩くのだ、という覚悟のある場合は別だけれども、ちょっとした準備のない自由気まま散歩の延長線で、地図もみずに散策するというには少々距離があるかもしれない。

 右京区嵯峨大沢町、真言宗大覚寺派の大本山が大覚寺です。嵐山駅から山陰線の踏切を超えると清涼寺のどうどうたる楼門が見えてきますから、ここに先ず感じ入るとともに拝観しますと、もちろん早朝から散策するならばともかく、朝食後の散策となると時は。

 山陰線付近には清凉寺、ここを拝観するとさて昼食は、と時間の分断を迎えてしまいますし、二尊院はじめほかの寺院のほうに歩み進めることとなり、大覚寺にいく時機を逸してしまうかもしれません、これは、そう大覚寺に行くのだ、という気概が必要となります。

 嵯峨天皇の離宮、高雄と愛宕の峰々を望見する立地は平安遷都の頃からの優美な冷涼感を湛えていたようで、当地に大覚寺が創建されるその前には嵯峨天皇の離宮が造営されていたという。嵯峨天皇、平安遷都の際の桓武天皇の皇子、空海に東寺を与えた帝です。

 五大明王を奉じる大覚寺、ここに寺院が開かれた背景には嵯峨天皇の譲位という歴史がありました、天皇は大同4年4月1日、西暦に直せば823年5月29日に譲位し淳和天皇の時代となります、こうして上皇宣下、太上天皇の尊号となりこの当地に隠棲しました。

 薬子の変による平城上皇との諍い、高岳親王の廃太子、嵯峨天皇の治世は、軍事と造作という桓武天皇の、東北地方軍事遠征と繰り返す首都造営に遷都という歴史が、漸く桓武天皇自身により幕引きとなった後の、日本を安定期に向かわせる苦労で終始していました。

 嵯峨院離宮を当地に造営された嵯峨上皇は、承和9年7月15日こと西暦842年8月24日、崩御されます、御陵は当地の山手に造営されることとなり、その跡地に大覚寺が造営されたのが貞観18年こと西暦876年、そうした政治的な寺院として歩み始めたのですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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