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【京都幕間旅情】相国寺,京都五山二位の寺院-足利義満は左大臣と征夷大将軍の先に見た仏教世界の夢

2023-07-12 20:00:33 | 写真
■暑い梅雨時の拝観
 京都御所と同志社大学とともに一つの壮大な寺院が佇んでいます。このお寺は権力と野望によりはじまりしかし芸術と文学により令和の今日に至る寺院でもある。

 相国寺。梅雨入りの季節、雨の気配が常に付きまとう中で、しかし気分転換にとカメラを手に散策へ出ました。傘を持っていけば云々という指摘はあるのかもしれないけれども、こういう気ままな散策の際には身軽に行きたい、なにしろカメラだけで重いのだから。

 上京区今出川通烏丸東入相国寺門前町。いまなぜ相国寺なのかというと、それはお寺の方には申し訳ないけれども、その歴史に興味があることと、なにより地下鉄今出川駅からお寺が非常に近いのと、地下鉄と同志社大学が地下で繋がり、雨の日少々助かる故という。

 京都散歩、雨の日も実は楽しめるといいますか興味深い寺院は数多存在するといいますか、実は雨の日だからこそ大気に満ちた雨滴が騒音雑音喧噪をかき消し、しとしとと確かに雨音という音には満ちているものの単調な、醸し出すような静寂を生むのは面白い。

 京都五山二位、曇天が雨粒に衣替えしないようにふと空を見上げるけれどももう少し時間はありそうだ、そうして禅寺の格式では五山に並ぶ相国寺の格式ある広い寺域を法堂の方へと歩み進めてゆきます。最盛期は更に広かったというけれども今も創大そのもの。

 水上勉氏、作家の水上勉氏が亡くなって間もなく20年となります、飢餓海峡という、これはあの宮本武蔵五部作でメガホンをとった内田吐夢監督の作品という事で映像作品から知ったものなのですが、いくつかの映画作品でも知られる作家の方、大作家の方です。

 湖の琴という作品は、戦前の戦争映画では最も考えさせられる作品である土と兵隊を撮った田坂具隆監督がメガホンをとったといいまして、水上勉に水上勉と水上勉かあ、と決して文学好きではない当方も名前だけは知っていたという作家の方なのですがここでは。

 昭和、今から百年近く前に幼少の水上勉は家庭の貧困もあり福井県大飯から相国寺塔頭の小僧として引き取られ、厳しいというよりも当時理解できない修業に苦しみ、その出奔までは独特の文学世界を生んだという、そういった意味で文学の寺院ともいえるところ。

 足利義満、この寺院を開山から数百年を経ても壮大たらしめているのは、室町幕府第3代将軍足利義満その人が当地に壮大寺院の創建を求めた為という。そう、北山第としていまの金閣寺が寺院鹿苑寺となる前にきらびやかすぎる別荘を造営した足利義満そのひと。

 征夷大将軍とともに朝廷では左大臣に任じられた足利義満、この時代に調停は南朝と北朝に分かれた南北朝の時代にあり、その首府は吉野か京都か、いや実際には教徒であるのだけれども三種の神器は吉野にあり、いわば正当性は兎も角として正統性では分断された。

 左大臣足利義満はその長抵抗症を室町幕府の強大な権力基盤と軍事力、更には日明貿易による経済力を背景に行い、南北朝時代を平和裏に解消し再統一に成功したことでさらにその影響力を増しました。その足利義満が禅宗での修行を志し造営したのが相国寺で。

 花の御所という今では大聖寺となった、先日には上皇猊下ご夫妻が行幸されたことで一躍有名となりましたこの相国寺近くの寺院が、もともと室町幕府の中枢として造営され、国宝洛中洛外図屏風左隻にはそのほぼ一面を花の御所として描かれる程のものがあった。

 禅宗伽藍をその花の御所のすぐ隣に造営する、中国との外交関係において日本国王を自称したほどの足利義満がこう希望したことで永徳2年こと西暦1382年、この相国寺は造営されることとなります。この関係から相国寺は正式には萬年山相国承天禅寺という。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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