■FACO,閉鎖一転!太平洋の要
県営名古屋空港にて今後は世界のF-35戦闘機が並ぶこととなるかもしれません、航空祭や航空宇宙展やもちろん有事ではなく実用稼動として。
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三菱小牧FACOでのF-35国際IRAN業務が7月1日より本格的に稼働しました。これは航空自衛隊が運用するF-35A戦闘機とさらに導入が開始されるF-35Bとともに配備開始が見込まれる在日米軍と在韓米軍、さらに将来的には韓国空軍とオーストラリア空軍やシンガポール空軍にF-35A戦闘機が配備の際には定期整備を担う西太平洋地域唯一の施設となり得ます。
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定期整備により三菱重工としては経営を安定化させることができ、また自衛隊の航空機稼働率を高く維持することにつながるのですね。特に三菱重工はMRJ/MSJとして2000年代からの自衛隊戦闘機需要低下をうけ進出した小型旅客機事業が型式証明取得遅延に継ぐ遅延とコロナ禍航空機需要低下に喘いでいるため、IRAN需要はまさに天恵といえましょう。
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F-35戦闘機、航空自衛隊は老朽化の極致にあるF-4EJ改戦闘機の後継として当初は42機の導入を発表しましたが、初期型のF-15J戦闘機の後継として147機の導入を進めており、航空自衛隊にとって待望の第五世代戦闘機戦闘機となりました。ただ、F-35は従来の航空自衛隊戦闘機と異なり、ライセンス生産による国内でのF-35全体生産は行われていません。
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しかしです、国際共同開発であるF-35は多国間国際分業による国際共同生産の枠組みにより量産されており、極論で言うならば開発主導権を有していますアメリカでさえ完全な国内部品だけでの生産は実施していません。こうした上で航空自衛隊がF-35を導入する際に建設したのはFACO:最終組立施設の日本国内誘致で、名古屋空港に隣接し建設されました。
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FACO,最終組立施設であるとともに定期整備を担う施設を国内に建設するには数百億円、概ね600億円の施設整備費用を投じて建設されています。それでは自衛隊が導入するF-35の取得費用にこのFACO建設費が上乗せされてしまうのですが、一見無駄に見えるこの施策は、定期整備、この二年間に一度行う全体整備点検という視点で評価が変わります。
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パタクセントリバー。アメリカ本土の海軍飛行場です、本土ですので日本からみれば太平洋の対岸にあたるのですが、三菱FACOが建設されない場合には航空自衛隊のF-35は二年に一度はパタクセントリバーにて定期整備を行わねばなりません、もちろん世界中のF-35とともに整備するため、納期などは変動しますし、なによりアメリカは物理的距離が遠い。
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防衛省は、しかしこの三菱FACOを2018年頃までは閉鎖する長期展望を有していました、数百億の箱物を建設して数年で無意味となる箱物行政は防衛分野以外ではある意味日本型公共事業の定番ではありますが、それにしても限りある防衛費からはFACO閉鎖は道理を欠いた滅茶苦茶なものでした、これには近視眼的な防衛費節約への誤解があったのです。
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日本国内で最終組立を行うならば、どうしても一機当たりの取得費は数億円から十数億円上乗せされます、何故ならFACO建設費などが加わるためです。それならば輸入したほうが良い、というもので当初は第一次導入計画の42機を取得したのち、残る102機は直輸入へ切り替える計画でした、これにより一機数億ならば数百億円を浮かせられる計算だ。
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しかし、FACOは数十機を導入するために建設されたものではなく、続く導入機を見越して巨費を投じたものでした。実際、自衛隊が導入開始からまもなく40年が経つF-15後継にはF-35以外間に合う選択肢はなく、現実問題F-4EJ後継のF-X選定のようなF-15後継機選定も行われていないことからF-35導入は既定路線といえました。ここに無理な節約が。
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数百億円を節約するために数百億円を投じる、これも日本型行政の典型といえるところですが、節約数百億と追加数百億を比較しますと結果的に高くつくことはあります。そしてこれは稼働率の問題から現実となる可能性が高い。FACO閉鎖の場合はFACOに投じた費用と安価となる輸入の費用差額は若干後者が高くなる可能性はあります、が、稼働率では。
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戦闘機稼働率はNATOでは50%以上を基本としており、対してライセンス生産を基本とする日本では90%以上を基本としています、実際の稼働率はNATOはもう少し高く、日本は特に部品不足のF-4が稼働率を下げているとのことですが、100機の動くF-35を現場が必要としているとします、稼働率50%では200機必要ですが、90%ならば112機でよい。
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また、結果論ではありますが同盟国や友好国との関係強化に資することとなるでしょう。当面は年間30機程度のF-35定期整備を見込んでいる、韓国とオーストラリアにシンガポールのF-35導入はこれから本格化します、韓国は当初アメリカ本土での定期整備を期していましたが日本で実施するようです。ここが友好関係の架け橋となることを期待します。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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県営名古屋空港にて今後は世界のF-35戦闘機が並ぶこととなるかもしれません、航空祭や航空宇宙展やもちろん有事ではなく実用稼動として。
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三菱小牧FACOでのF-35国際IRAN業務が7月1日より本格的に稼働しました。これは航空自衛隊が運用するF-35A戦闘機とさらに導入が開始されるF-35Bとともに配備開始が見込まれる在日米軍と在韓米軍、さらに将来的には韓国空軍とオーストラリア空軍やシンガポール空軍にF-35A戦闘機が配備の際には定期整備を担う西太平洋地域唯一の施設となり得ます。
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定期整備により三菱重工としては経営を安定化させることができ、また自衛隊の航空機稼働率を高く維持することにつながるのですね。特に三菱重工はMRJ/MSJとして2000年代からの自衛隊戦闘機需要低下をうけ進出した小型旅客機事業が型式証明取得遅延に継ぐ遅延とコロナ禍航空機需要低下に喘いでいるため、IRAN需要はまさに天恵といえましょう。
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F-35戦闘機、航空自衛隊は老朽化の極致にあるF-4EJ改戦闘機の後継として当初は42機の導入を発表しましたが、初期型のF-15J戦闘機の後継として147機の導入を進めており、航空自衛隊にとって待望の第五世代戦闘機戦闘機となりました。ただ、F-35は従来の航空自衛隊戦闘機と異なり、ライセンス生産による国内でのF-35全体生産は行われていません。
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しかしです、国際共同開発であるF-35は多国間国際分業による国際共同生産の枠組みにより量産されており、極論で言うならば開発主導権を有していますアメリカでさえ完全な国内部品だけでの生産は実施していません。こうした上で航空自衛隊がF-35を導入する際に建設したのはFACO:最終組立施設の日本国内誘致で、名古屋空港に隣接し建設されました。
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FACO,最終組立施設であるとともに定期整備を担う施設を国内に建設するには数百億円、概ね600億円の施設整備費用を投じて建設されています。それでは自衛隊が導入するF-35の取得費用にこのFACO建設費が上乗せされてしまうのですが、一見無駄に見えるこの施策は、定期整備、この二年間に一度行う全体整備点検という視点で評価が変わります。
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パタクセントリバー。アメリカ本土の海軍飛行場です、本土ですので日本からみれば太平洋の対岸にあたるのですが、三菱FACOが建設されない場合には航空自衛隊のF-35は二年に一度はパタクセントリバーにて定期整備を行わねばなりません、もちろん世界中のF-35とともに整備するため、納期などは変動しますし、なによりアメリカは物理的距離が遠い。
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防衛省は、しかしこの三菱FACOを2018年頃までは閉鎖する長期展望を有していました、数百億の箱物を建設して数年で無意味となる箱物行政は防衛分野以外ではある意味日本型公共事業の定番ではありますが、それにしても限りある防衛費からはFACO閉鎖は道理を欠いた滅茶苦茶なものでした、これには近視眼的な防衛費節約への誤解があったのです。
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日本国内で最終組立を行うならば、どうしても一機当たりの取得費は数億円から十数億円上乗せされます、何故ならFACO建設費などが加わるためです。それならば輸入したほうが良い、というもので当初は第一次導入計画の42機を取得したのち、残る102機は直輸入へ切り替える計画でした、これにより一機数億ならば数百億円を浮かせられる計算だ。
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しかし、FACOは数十機を導入するために建設されたものではなく、続く導入機を見越して巨費を投じたものでした。実際、自衛隊が導入開始からまもなく40年が経つF-15後継にはF-35以外間に合う選択肢はなく、現実問題F-4EJ後継のF-X選定のようなF-15後継機選定も行われていないことからF-35導入は既定路線といえました。ここに無理な節約が。
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数百億円を節約するために数百億円を投じる、これも日本型行政の典型といえるところですが、節約数百億と追加数百億を比較しますと結果的に高くつくことはあります。そしてこれは稼働率の問題から現実となる可能性が高い。FACO閉鎖の場合はFACOに投じた費用と安価となる輸入の費用差額は若干後者が高くなる可能性はあります、が、稼働率では。
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戦闘機稼働率はNATOでは50%以上を基本としており、対してライセンス生産を基本とする日本では90%以上を基本としています、実際の稼働率はNATOはもう少し高く、日本は特に部品不足のF-4が稼働率を下げているとのことですが、100機の動くF-35を現場が必要としているとします、稼働率50%では200機必要ですが、90%ならば112機でよい。
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また、結果論ではありますが同盟国や友好国との関係強化に資することとなるでしょう。当面は年間30機程度のF-35定期整備を見込んでいる、韓国とオーストラリアにシンガポールのF-35導入はこれから本格化します、韓国は当初アメリカ本土での定期整備を期していましたが日本で実施するようです。ここが友好関係の架け橋となることを期待します。
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