■航空用語と英語で操縦
言語の壁はあるという現実とともに如何に乗り越えるかをアメリカは、学生がもっと勉強しろではなく教官が寛容であれという姿勢を示した点が印象的でした。
日米同盟を強化するには英語力が必要だけれども、結局のところ部内英語課程の枠には限度があり、全部隊が英語力を共同運用化可能としているNATOのような水準に高める事は現実的に不可能であるし、なによりも日本の義務教育は非英語圏での高等教育を志向したものではないし、また、それだけの英語力がある人材を自衛隊に集めるのは難しい。
難しいは努力の問題、こう反論されるかもしれ無けれども、例えば幹部候補課程の選抜試験へ英語比重を高める、若しくは一般教養の問題をすべて英語表記することにより、逆にそれ以外の素養のある受験者を振るい落とすことで簡単には達成できるかもしれない、けれども語学素養偏重の募集を行えば外国語学部出身者に人材は偏重することも否めません。
国防語学研究所英語語学センターの英語課程履修者で単位不認定による退学事例はほぼ無いという事ですが、その先の操縦課程では78%しか修了できないという。そしてもう一つ、2013年から2023年までアメリカ空軍関連の航空機事故による死亡者は80名ですが、このうち外国人の占める割合は6%で、空軍はこの語学と事故の関係を特に留意している。
国防語学研究所英語語学センターの英語教育について、もう一つ指摘されているのは語学力と無関係の意思疎通能力が求められるということです。国防語学研究所英語語学センターでは高度な英語が教育される、それは各国士官が留学するため、リーダシップ論や戦術論など、基本的な英会話に重ねての応用会話により指揮官を育てる点が重視される。
アルファズールー語という、これは少数民族言語などではなくAをアルファBをブラボーCをチャーリーという無線通信単語です、航空機の操縦では音声だけであり再確認が航空戦闘などの状供養では難しいこと、無線機のキー信号や略称による通信を行い、訛りなどによる意思疎通の失敗を避けることが航空無線では重視されます、会話力ではない。
航空機事故を検証しますと、例えば日米以外のアジア圏では目上への尊重文化により、副操縦士が操縦士の誤操作に気づきそれとなく伝えたものの、それとなくでは間に合わず墜落した事故がありました、要するに操縦士!いまのは誤操作です!と副操縦士が警告すべきところを恥をかかせることでの人間関係や人事査定を恐れ、結果墜落したという。
米国留学課程は100か国から受け入れるために、アメリカ空軍は文化的な違いに留意しているようですが、教官と学生の関係、学生はわからないことを何度でも遠慮なく聞けばよい、というアメリカ式の文化そのものが世界標準ではなく、学生が尋ねなければ教官は学生に疑問はないと思い込む、学生は何度も聞くことを恥ずかしがる、という過程もある。
六か月ではなく語学課程は一年間必要なのではないか。事故調査報告書はこのように是正勧告しています。ただ、国防語学研究所英語語学センターだけの問題ではなく是正の難しさもあるようです。具体的には、語学課程を一年とした場合、留学が全体で大幅に伸び、NATOからの留学生の倍近い期間を要することとなります。また現場の教育も検討される。
現場での教育とは、国防語学研究所英語語学センターの英語教育課程を修了した後に教育を担当した教官はここで任務完了となり、その後の教育課程には参画しない、という事への問題視です。つまり、非英語圏の英語課程修了者が、どのような語学的な悩みを有しているかを、先ず操縦課程に進んだのちの最初の一か月で語学教官を現場へ派遣するという。
コックピット内の操縦訓練の様子をすべて録画して検証する、手間はかかる方式ですが教官操縦士が学生操縦士の、コックピットにおけるコミュニケーション能力をどの程度有しているか、こうしたものを映像により記録し検証する方法なども検討されているとのこと。また、語学教育にアルファズールー語など操縦用語を含むべきとも指摘されました。
教育効果のフィードバックが目的とされていますが、特に語学にストレスを感じた場合でも、操縦課程に進んだ先には語学を再履修する余暇はなく、そのままストレスをため込むことになるということです。また操縦教官は語学上の問題を精査する専門家ではなく意思疎通の問題を抱えたまま、おおきなボタンのかけ違いに気づかずさらに高度な訓練へ。
空軍は当面の解決策として、寛容になる、という姿勢が重要であると報告書はまとめられています。アメリカ空軍の士官が例えば日本や韓国とアラブの飛行学校にアメリカでは絶対に行わない特殊な飛行方法を学ぶために留学することを想像する、アメリカへ学びに来る彼らはその難しさに直面しているのだ、という視点が重要であるとしています。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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言語の壁はあるという現実とともに如何に乗り越えるかをアメリカは、学生がもっと勉強しろではなく教官が寛容であれという姿勢を示した点が印象的でした。
日米同盟を強化するには英語力が必要だけれども、結局のところ部内英語課程の枠には限度があり、全部隊が英語力を共同運用化可能としているNATOのような水準に高める事は現実的に不可能であるし、なによりも日本の義務教育は非英語圏での高等教育を志向したものではないし、また、それだけの英語力がある人材を自衛隊に集めるのは難しい。
難しいは努力の問題、こう反論されるかもしれ無けれども、例えば幹部候補課程の選抜試験へ英語比重を高める、若しくは一般教養の問題をすべて英語表記することにより、逆にそれ以外の素養のある受験者を振るい落とすことで簡単には達成できるかもしれない、けれども語学素養偏重の募集を行えば外国語学部出身者に人材は偏重することも否めません。
国防語学研究所英語語学センターの英語課程履修者で単位不認定による退学事例はほぼ無いという事ですが、その先の操縦課程では78%しか修了できないという。そしてもう一つ、2013年から2023年までアメリカ空軍関連の航空機事故による死亡者は80名ですが、このうち外国人の占める割合は6%で、空軍はこの語学と事故の関係を特に留意している。
国防語学研究所英語語学センターの英語教育について、もう一つ指摘されているのは語学力と無関係の意思疎通能力が求められるということです。国防語学研究所英語語学センターでは高度な英語が教育される、それは各国士官が留学するため、リーダシップ論や戦術論など、基本的な英会話に重ねての応用会話により指揮官を育てる点が重視される。
アルファズールー語という、これは少数民族言語などではなくAをアルファBをブラボーCをチャーリーという無線通信単語です、航空機の操縦では音声だけであり再確認が航空戦闘などの状供養では難しいこと、無線機のキー信号や略称による通信を行い、訛りなどによる意思疎通の失敗を避けることが航空無線では重視されます、会話力ではない。
航空機事故を検証しますと、例えば日米以外のアジア圏では目上への尊重文化により、副操縦士が操縦士の誤操作に気づきそれとなく伝えたものの、それとなくでは間に合わず墜落した事故がありました、要するに操縦士!いまのは誤操作です!と副操縦士が警告すべきところを恥をかかせることでの人間関係や人事査定を恐れ、結果墜落したという。
米国留学課程は100か国から受け入れるために、アメリカ空軍は文化的な違いに留意しているようですが、教官と学生の関係、学生はわからないことを何度でも遠慮なく聞けばよい、というアメリカ式の文化そのものが世界標準ではなく、学生が尋ねなければ教官は学生に疑問はないと思い込む、学生は何度も聞くことを恥ずかしがる、という過程もある。
六か月ではなく語学課程は一年間必要なのではないか。事故調査報告書はこのように是正勧告しています。ただ、国防語学研究所英語語学センターだけの問題ではなく是正の難しさもあるようです。具体的には、語学課程を一年とした場合、留学が全体で大幅に伸び、NATOからの留学生の倍近い期間を要することとなります。また現場の教育も検討される。
現場での教育とは、国防語学研究所英語語学センターの英語教育課程を修了した後に教育を担当した教官はここで任務完了となり、その後の教育課程には参画しない、という事への問題視です。つまり、非英語圏の英語課程修了者が、どのような語学的な悩みを有しているかを、先ず操縦課程に進んだのちの最初の一か月で語学教官を現場へ派遣するという。
コックピット内の操縦訓練の様子をすべて録画して検証する、手間はかかる方式ですが教官操縦士が学生操縦士の、コックピットにおけるコミュニケーション能力をどの程度有しているか、こうしたものを映像により記録し検証する方法なども検討されているとのこと。また、語学教育にアルファズールー語など操縦用語を含むべきとも指摘されました。
教育効果のフィードバックが目的とされていますが、特に語学にストレスを感じた場合でも、操縦課程に進んだ先には語学を再履修する余暇はなく、そのままストレスをため込むことになるということです。また操縦教官は語学上の問題を精査する専門家ではなく意思疎通の問題を抱えたまま、おおきなボタンのかけ違いに気づかずさらに高度な訓練へ。
空軍は当面の解決策として、寛容になる、という姿勢が重要であると報告書はまとめられています。アメリカ空軍の士官が例えば日本や韓国とアラブの飛行学校にアメリカでは絶対に行わない特殊な飛行方法を学ぶために留学することを想像する、アメリカへ学びに来る彼らはその難しさに直面しているのだ、という視点が重要であるとしています。
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