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ラインメタル社-KF51パンター戦車輸出をウクライナ政府と交渉中,15カ月で130mm砲搭載の次世代戦車完成

2023-02-15 07:00:31 | 先端軍事テクノロジー
■臨時情報-ウクライナ情勢
 第二次世界大戦中に現代主力戦車の原型を構成したというパンター戦車、その名を継ぐ新型戦車が現在開発されていますが最初の採用国はウクライナとなるのかもしれない。

 ドイツのラインメタル社は12日、新型戦車パンターについてウクライナ政府との間で輸出交渉を進めていると発表しました。KF-51パンター、これは昨年のユーロサトリ2022国際兵器展にて新型戦車として発表されたもので、もちろん輸出に際してはドイツ政府の許可が必要であるのですが、ラインメタル社のパッペルガーCEOの発言によるものです。

 KF-51パンター戦車は、130mm滑腔砲と20発の自動装填装置を搭載、AIと連動した目標自動識別能力を備えた射撃統制装置、主砲の戦車砲弾とは別に自爆型無人機とも要される徘徊式弾薬発射能力を持ち見通し線外攻撃力を備えるとともに、しかし過度に重量を増大させず重量は59tと常識的に抑えられている、あらゆる点が特色という主力戦車です。

 ユーロサトリ2022国際兵器展にて発表された主力戦車ですが、製造は技術実証車により構成要素を研究している段階です、しかし技術的めどは立っているとのことで、ラインメタル社によれば、このままウクライナとの間で成約した場合にはドイツ国内かハンガリー国内において製造され、15カ月から18カ月以内に引き渡しが可能になるとしています。

 KF-51パンター戦車に関するウクライナとラインメタル社の交渉ですが、KF-51パンター戦車そのものはドイツ政府などの要請に基づく開発ではなく、ラインメタル社のプライベートベンチャーによる設計となっています。他方で、リンクス装甲戦闘車などラインメタル社は近年、独自設計のプライベートベンチャー開発装備の輸出で実績を伸ばしている。

 130mm滑腔砲、これは過去にも各国で試作されていますが、APFSDS弾を運用可能な戦車砲として世界最大後継のものは125mm口径となっており、実用化されれば世界最強の打撃力を持つと誇示できる装備です。勿論、新型戦車が完成したとして、評価試験は実地で行うという第二次大戦中のような状況となるのでしょうが、要目ではまさに次世代戦車だ。

 ロシアウクライナ戦争のロシア軍侵攻一周年直前に発表されたこの情報は、どの程度実現性があるかは未知数ですが、ロシア侵攻が長期化した場合には遥かに強力な新戦力が投入されるとの示威的な意味合いとともに、ドイツ政府の供与ではなく外国製戦車の購入という、レオパルド2供与における問題を回避する施策が執られている点が本件の要点です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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