榛名さんの総監部グルメ日誌
陽雲鶴という出来損ないの架空戦記に出てくる空母みたいな名前しかこのPCでは変換されない程に貴重なというよりなかなか見られない文化財がある。
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貴重な風景というものは実のところ身近なところにあるものでして、錚々言えばここはその数年前には、とどうしても思い出せない場所にしかし実のところ思い出の重要な部分の糸口に至る片りんがあったりするもの。日常こそ至高の思い出なのですね。
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飛雲閣、西本願寺の非公開文化財が先日まで一般公開されまして、これ、京都市冬の文化財特別公開での一般公開は44年ぶりという。貴重な機会であったのですが拝観に歩み進めますと思いの外その拝観者が少なく、ここ、めったに見られないのに、と。
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鰻でも食べてゆこう。飛雲閣を眺めましてこう思い立ちますのは西本願寺とは堀川通を挟んだお隣に鰻壽さんという、鰻のお店がありまして勿論少し歩けば色々とある一角なのですけれども、ここは鰻柳川や、予約は必要だけれども鰻すき焼きというのがある。
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豪快、精進落としといこうじゃあないか、と粋を装ってみます。立山とか清酒は色々あるのですが、宝酒造は京都では地酒なのですし、日の高いうちですから気分は一献とかたちだけ。ただ、ごちそう、せっかく鰻なのですから日本酒のお供が無ければねえ。
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注文したものはすぐにやってきました、これは柳川鍋、泥鰌ではなく鰻、いまや鰻は貴重の先にある名物なのですが柳川鍋ですとつかう鰻さんの総量が少なく、つまりお安いのだ。昼時では1300円、ものの二十年前はこの値段で西友ではうな重が頂けたのだが。
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む、うめえ。鬼平犯科帳をちょっと適当に読んでみました際に開いた頁が“深川・千鳥橋”という短編で鰻さん、作中では長焼き、が出てきまして妙にその台詞が印象深かった故のうなぎ屋さんとしてこちらへお邪魔したのですが、ここの柳川も、む、うめえ。
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鰻壽さん、うなじゅさんとよむのですが、実はわたしここ長いことうなとうさん、と濤の文字を読み違えていまして、ここ、京都には幾つかあります穴場的なお店なのかなあ、と思っているのですけれども、予約席は一杯でもまだ来客前で空いていまして。
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滋味という言葉が合う鰻なのですが、ささがきや葱とともに出汁が煮込まれたところに染み出したいろいろなものが、最後にとろりと卵黄に飾られてその出来立ての瞬間に塗した三つ葉の食感とともに、これは合うのですよ、酒にも、ご飯にも、思い出にも。
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すき焼き、とは思うものの予約しているわけではないので鰻柳川を頂きます。一応聞いてみるのは、急なキャンセルなどで食材があった場合は鰻のすき焼きが当日急にテーブルを飾ったりするのですけれども、まあ、そういうことはなかなか巡り合わない。
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柳川、そう鰻柳川、これ、初めて食べたのは今津駐屯地の近く、近江今津駅前の西友さんでしたね、確か湖西線が強風で止まっていたのでそれじゃあ西友で一杯やって気長に待とう、という際、なんだろうこれは、と頂いたもの。泥鰌のかわりに鰻をつかう。
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蒲焼とか焼き上げたもの、蒸すうなぎ料理よりも焼き上げたものが個人的な好みなものですから、煮込むのか、と驚きましたけれども、湖西線が止まるという非常時、いや実は風が吹けば湖西線が止まるというのは京都の風物詩なのですが、食べてみよう、と。
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うなぎにもこんな一面があったのか。これは率直な思いででして、こんな美味しいものがあるならばもう仕事は終えたし、湖西線動かなければこのまま可以登楼とか駅前旅館で一泊して、明日朝一で帰っても良いかな、とおもったところに湖西線が復旧した。
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西本願寺前、もう飛雲閣の特別公開はいつになるかの次回待ちなのですが、門前町にはこういう鰻がいただけるところがあります。こんどはうな重なんてのも食べてみたいところですが、日常の散策の延長線上に、こうした躍動を加えると、それが思い出です。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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陽雲鶴という出来損ないの架空戦記に出てくる空母みたいな名前しかこのPCでは変換されない程に貴重なというよりなかなか見られない文化財がある。
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貴重な風景というものは実のところ身近なところにあるものでして、錚々言えばここはその数年前には、とどうしても思い出せない場所にしかし実のところ思い出の重要な部分の糸口に至る片りんがあったりするもの。日常こそ至高の思い出なのですね。
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飛雲閣、西本願寺の非公開文化財が先日まで一般公開されまして、これ、京都市冬の文化財特別公開での一般公開は44年ぶりという。貴重な機会であったのですが拝観に歩み進めますと思いの外その拝観者が少なく、ここ、めったに見られないのに、と。
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鰻でも食べてゆこう。飛雲閣を眺めましてこう思い立ちますのは西本願寺とは堀川通を挟んだお隣に鰻壽さんという、鰻のお店がありまして勿論少し歩けば色々とある一角なのですけれども、ここは鰻柳川や、予約は必要だけれども鰻すき焼きというのがある。
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豪快、精進落としといこうじゃあないか、と粋を装ってみます。立山とか清酒は色々あるのですが、宝酒造は京都では地酒なのですし、日の高いうちですから気分は一献とかたちだけ。ただ、ごちそう、せっかく鰻なのですから日本酒のお供が無ければねえ。
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注文したものはすぐにやってきました、これは柳川鍋、泥鰌ではなく鰻、いまや鰻は貴重の先にある名物なのですが柳川鍋ですとつかう鰻さんの総量が少なく、つまりお安いのだ。昼時では1300円、ものの二十年前はこの値段で西友ではうな重が頂けたのだが。
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む、うめえ。鬼平犯科帳をちょっと適当に読んでみました際に開いた頁が“深川・千鳥橋”という短編で鰻さん、作中では長焼き、が出てきまして妙にその台詞が印象深かった故のうなぎ屋さんとしてこちらへお邪魔したのですが、ここの柳川も、む、うめえ。
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鰻壽さん、うなじゅさんとよむのですが、実はわたしここ長いことうなとうさん、と濤の文字を読み違えていまして、ここ、京都には幾つかあります穴場的なお店なのかなあ、と思っているのですけれども、予約席は一杯でもまだ来客前で空いていまして。
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滋味という言葉が合う鰻なのですが、ささがきや葱とともに出汁が煮込まれたところに染み出したいろいろなものが、最後にとろりと卵黄に飾られてその出来立ての瞬間に塗した三つ葉の食感とともに、これは合うのですよ、酒にも、ご飯にも、思い出にも。
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すき焼き、とは思うものの予約しているわけではないので鰻柳川を頂きます。一応聞いてみるのは、急なキャンセルなどで食材があった場合は鰻のすき焼きが当日急にテーブルを飾ったりするのですけれども、まあ、そういうことはなかなか巡り合わない。
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柳川、そう鰻柳川、これ、初めて食べたのは今津駐屯地の近く、近江今津駅前の西友さんでしたね、確か湖西線が強風で止まっていたのでそれじゃあ西友で一杯やって気長に待とう、という際、なんだろうこれは、と頂いたもの。泥鰌のかわりに鰻をつかう。
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蒲焼とか焼き上げたもの、蒸すうなぎ料理よりも焼き上げたものが個人的な好みなものですから、煮込むのか、と驚きましたけれども、湖西線が止まるという非常時、いや実は風が吹けば湖西線が止まるというのは京都の風物詩なのですが、食べてみよう、と。
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うなぎにもこんな一面があったのか。これは率直な思いででして、こんな美味しいものがあるならばもう仕事は終えたし、湖西線動かなければこのまま可以登楼とか駅前旅館で一泊して、明日朝一で帰っても良いかな、とおもったところに湖西線が復旧した。
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西本願寺前、もう飛雲閣の特別公開はいつになるかの次回待ちなのですが、門前町にはこういう鰻がいただけるところがあります。こんどはうな重なんてのも食べてみたいところですが、日常の散策の延長線上に、こうした躍動を加えると、それが思い出です。
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