北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

平成二十一年度五月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報 第三報

2009-05-21 23:22:02 | 北大路機関 広報

◆自衛隊関連行事

 新型インフルエンザが拡大中である。首都圏に浸透、さらに大津での発症とともに、先ほど京都府での感染が確認され、292名へ感染している。これを受けて、自衛隊関連行事にも大きな影響が出ている。

Img_0432  いよいよ美保基地航空祭が間近である。予定通り実施予定とのことだ。他方、新型インフルエンザについて現在の状況は流動的ということで、30日、31日の行事予定については後日紹介したい。さて、24日実施予定の美保基地航空祭、これについては、現在新型インフルエンザ発生中であるので、マスクを着用し隊員の感染予防措置を行った上で、予定通り航空祭を実施するとのことで、

Img_4668  YS-11とC-1,そしてT-400練習機による編隊飛行や機動飛行、救難展示が行われる。YS-11による編隊航過飛行やC-1輸送機4機による機動飛行などが行われ、このほか、美保基地航空祭では、着陸はしないが、F-15戦闘機やF-2支援戦闘機がリモートにて飛行展示を実施予定、としている。

Img_9526  陸上自衛隊関連行事として大きなものは、24日に実施される福岡駐屯地祭だろう。第4師団司令部が置かれており、九州北部にくわえ、対馬を含む離島の防衛警備を担当する師団ということもあり、沿岸監視レーダーなど珍しい装備を運用している。幸い、九州には新型インフルエンザは上陸しておらず、予定通り実施されるようだ。

Img_6376  特科部隊の力強い砲焔を見学することができる駐屯地祭としては、四国の松山駐屯地祭。ここには第14特科隊、第14高射特科中隊が駐屯しており、現在注目の、編成完結に向けて進む第14旅団、その隷下部隊である。特科部隊駐屯地は、複数の火砲が空包射撃を行うため、砲焔を撮ることが比較的容易な一幕もある。

Img_9957  さて、ここからは、延期もしくは中止された行事について。まず延期されたのが、兵庫県の方面直轄高射特科部隊駐屯地、青野原駐屯地祭だ。ホークミサイルを運用する部隊であるが、今回は新型インフルエンザの兵庫県内での発生を受け、行事の実施を延期することと決定した。実施予定については未発表。

Img_5268  奈良基地航空自衛隊幹部候補生学校開庁記念行事については、既報のとおり、開催は中止と決まった。またそれに併せて、F-15など、当日に飛行展示を行う航空機は、HPで発表されていた予行における飛行も含め中止されるので、残念ながら関係する行事は予行を含め全て注視された。候補生の3尉着任後、全国の基地での活躍を期待したい。

Img_0228  大津駐屯地、中部方面混成団司令部が置かれている駐屯地であるが、こちらも中止が決定した。教育訓練部隊、とくに前期教育を担当する教育大隊が実施する行事であり、限られた教育期間との兼ね合いを踏まえると、予行を含めどうしても延期して実施、というのは難しい背景があるのだろう。

Img_1674  新型インフルエンザ対策、弱毒性なのに何を大げさな、という声も聞こえてくるが、WHOを含め、世界が日本の疾病予防能力をみている。感染経路を把握できない程に広範に新型インフルエンザが拡大してしまえば、感染爆発を起こしていると受け取られ、各国が日本への渡航に対し、抑制的な措置や自国民救出のための空軍機派遣などの措置を執ることとなろう。

Img_0664  疾病対策に不充分な能力しか持ち合わせない、と今回の新型インフルエンザ対策で受け取られてしまえば、いつ発生してもおかしくはない警戒されている強毒性インフルエンザが発生した際、日本に対して国境封鎖の要求が出されることにも繋がる。過剰反応はするべきではない、これは当然だ。しかし、同時に新型インフルエンザの拡大を阻止する程度の対策は取られて然るべきであることも確かだ。そして現在、日本国内では、感染は終息には向かっていない。

◆駐屯地祭・基地祭・航空祭

  1. 五月二十三日[航空自衛隊]:奈良基地・航空自衛隊幹部候補生学校開庁記念行事→中止
  2. 五月二十四日[陸上自衛隊]:大津駐屯地創設記念・中部方面混成団創立記念行事→中止
  3. 五月二十四日[陸上自衛隊]:青野原駐屯地創設記念・第8高射特科群創立記念行事→延期
  4. 五月二十四日[陸上自衛隊]:松山駐屯地創設記念行事[愛媛県松山市]・・・第14旅団隷下の第14特科隊、第14高射特科中隊が駐屯。着々と編成完結に向かう第14旅団に所属する部隊ということで興味深い、FH-70榴弾砲などの火砲の展示に期待したい
  5. 五月二十四日[航空自衛隊]:美保基地航空祭2009[鳥取県境港市]・・・新型インフルエンザ発生に伴い、隊員はマスク着用など予防措置を講じた上で実施。第3輸送航空隊などが展開、C-1&T-400&YS-11多機種編隊編隊飛行、救難展示、輸送機編隊飛行、他多数の飛行展示を実施予定。ブルーインパルスも参加
  6. 五月二十四日[陸上自衛隊]:第4師団創立55周年・福岡駐屯地創設59周年記念行事[福岡県春日市]・・・九州北部及び離島の防衛警備及び災害派遣を担当する第4師団の創設記念行事。観閲行進、喇叭演奏、訓練展示模擬戦闘、装備品展示を実施。JR南福岡駅・西鉄春日原駅からシャトルバス運行

注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関

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新砕氷艦しらせ就役(AGB-5003 SHIRASE) 舞鶴から横須賀へ出航

2009-05-20 23:03:36 | 先端軍事テクノロジー

◆しらせ、自衛艦旗授与

 本日、海上自衛隊の新砕氷艦しらせ、が自衛艦旗の授与をうけ、自衛艦として就役した。その様子を舞鶴にて撮影することができたので、速報というかたちでお伝えしたい

Img_2700  新砕氷艦しらせ。満載排水量22000㌧と、海上自衛隊有数の大型艦は、ユニバーサル造船舞鶴工場にて本日1200時、海上自衛隊に引き渡された。旧しらせ、と同じく1.5㍍の連続破氷能力を有し、堅固な氷塊に遭遇することを想定し、艦首付近に補助散水装置を搭載していることが特筆され、ファンネルも一本から二本へと改められたのが外見上の大きな特色だ。

Img_2212_1  式典とは直接関係なかったようだが、MCH-101掃海輸送ヘリコプターが舞鶴航空基地を拠点として飛行訓練を実施していた。このMCH-101の輸送型であるCH-101が、新しらせ、の搭載機として2機、運用される。アグスタウエストランドによる設計の機体を川崎重工がライセンス生産した機体だ。

Img_2630  元ヘリコプター搭載護衛艦はるな、の隣を横須賀に向けて出港する、しらせ。公試の時とは異なり、自衛艦旗を掲げての威風堂々の出航だ。30000馬力のディーゼルエンジンが力強く砕氷艦を前へ推し進める、最高速力は19ノット。砕氷艦特有の、氷を砕くべく屈折した艦首のラインに注目。

Img_2543  上空には二機の報道ヘリが旋回を続けていた。イージス艦による弾道ミサイル防衛対処、海上自衛隊固定翼哨戒機部隊のソマリア沖海賊対策事案への派遣など、海上自衛隊が注目されるニュースが増えている。しらせ就役も、その一つだ。しらせ、には南極観測支援に加え、大規模災害時での病院船や、緊急人道支援任務に際しての輸送能力も期待される。

Img_2670  元ヘリコプター搭載護衛艦はるな。いまにも動き出しそうなこの様子。除籍されたとはいえ、力強い艦容は些かも衰えず、舞鶴の門扉を護るように、その姿は健在だ。最後になりましたが、現地で、御世話になりました 様、ありがとうございました。車両など乗せていただき本当に良い写真を撮ることができました。

HARUNA

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カナダ海軍補給艦 親善訪問で東京港へ寄港 [5月30日~6月4日]

2009-05-19 19:10:19 | 北大路機関 広報

◆プロテクター日本寄港、ホストシップは、しらせ

 カナダ海軍の艦船が、昨年に続き日本に寄港すると、海上自衛隊HPに掲載されていたので、本日は、この内容をお伝えしたい。

Img_1649  カナダ海軍入港の目的は親善訪問。今回寄港するのは、補給艦プロテクターで、艦長はスタンベイツ中佐。寄港地は東京港で、期間は5月30日入港、6月4日出航。詳細は、5月30日1000時に入港し、1030~1100時が入港歓迎行事、1100~1130時に記者会見が行われるとのことだ。

Img_5511  6月1日1200、ホストシップが東京港入港、6月4日1400時ホストシップ出航で、6月4日1000時にプロテクターが出航する。ホストシップには、明日就役する新砕氷艦しらせ、がその任にあたり、しらせ、は就役早々に、最初の任務がカナダ海軍のホストシップということになるわけだ。

Img_0004  東京港の晴海埠頭に停泊するということなので、昨年、フランス海軍の強襲揚陸艦ミストラルが入港した埠頭よりは、埠頭からの見学は容易とおもわれる。カナダ海軍の入港は27回目、東京への機甲は三年ぶり8回目となる。ちなみにプロテクターは、現在統合補給支援艦として代替艦の建造が計画中だ。

Img_1654  補給艦プロテクターは、プロテクター級補給艦のネームシップとして1969年に就役。満載排水量24000㌧、全長168.4㍍の艦隊補給艦で、12000㌧の艦艇・航空機用燃料と弾薬や物資、補給部品など1250㌧を搭載する。乗員は227名。最高速力は20ノット。同型艦はとして姉妹艦があり2隻が建造された。

Img_4087  しらせ、は満載排水量22000㌧、全長138㍍、南極観測支援などの任務にあたる海上自衛隊の砕氷艦だ。南極観測支援に当たるということで、物資や人員輸送を考慮しており、CH-101輸送ヘリコプター2機、観測ヘリコプター1機を搭載し、コンテナ貨物の搭載量は1100㌧、前述のように、明日、舞鶴で自衛艦旗を授与され、就役する。

HARUNA

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新型インフルエンザ 関西で拡大へ 奈良基地祭中止が決定

2009-05-18 22:36:51 | 北大路機関 広報

◆新型インフルエンザ自衛隊関連行事にも影響へ

 航空自衛隊奈良基地幹部候補生学校開庁記念行事は、新型インフルエンザ発生により中止になった旨、発表されていました。

Img_0024  北大路機関広報として、現在情報収集中の今月末自衛隊関連行事。23日土曜日に奈良基地開庁記念行事、門司港イージス艦ちょうかい一般公開、24日日曜日に大津駐屯地祭、美保基地航空祭、青野原駐屯地祭、松山駐屯地祭が予定されており、30日土曜日には防府南基地開庁記念行事。

Img_2470  和歌山港イージス艦ちょうかい一般公開、香川掃海殉職者追悼行事掃海艦艇一般公開、横須賀基地新しらせ一般公開。31日日曜日には、真駒内駐屯地祭第11旅団創設記念行事、大宮駐屯地祭、館山航空基地ちびっこヤング大会、武山駐屯地祭、大久保駐屯地祭第4施設団創設記念行事、防府北基地航空祭などが予定されている。

Img_8488  この中でも、防府北基地航空祭について、一部もしくは全部が中止となる可能性が示唆されている。現在、感染の拡大や収束の見通しが全く立っていないため、今後の状況によっては大きく変更が加えられる可能性がある。それにしても、新型インフルエンザ、梅雨入りというインフルエンザは流行しにくい季節にもかかわらず、感染力はものすごい。

Img_7108  鳥インフルエンザを起点とする新型インフルエンザとくらべて弱毒性が強調されるものの、感染力は、加湿さえすれば防げるのではないかとされた当初の予想を上回っている。水際検疫では、検疫体制の総力を結集するとともに自衛隊が全力で協力したものの、国内発生を防ぐことはできなかったのは残念。

Img_6428  社会機能への影響を考え、当初計画された強毒性新型インフルエンザ対策の体系から、弱毒性の季節性インフルエンザ対策に準じた対応へ切り替えては、という声も無いではないが、新型インフルエンザの中でいつ以前しが変化して、強毒性の新型、いや最新型インフルエンザが発生するか、見通しはつかない。この点、切り替えを行ったん弱毒性対策に換えてしまえば強毒性対策への再転換で非常に苦労しそうだ。現状のままとした方が良いようにも思う次第。

HARUNA

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新型インフルエンザ阪神地区で拡大? 千僧駐屯地祭も一部行事を中止

2009-05-17 23:19:27 | 陸上自衛隊 駐屯地祭

◆厚生労働省感染拡大防止措置対象地域を拡大

 新型インフルエンザが阪神地区で確認され、感染拡大が危惧されている。17日2000時時点で、患者や濃厚接触者が活動した地域を感染拡大防止措置対象地域とした。この種の情報は、確実性を期す必要があるので、詳細は厚生労働省HPをご覧いただくとして、提示された地域は以下の通り。

Img_0854  兵庫県神戸市東灘区・灘区・中央区・兵庫区・長田区・北区。そして追加部分として大阪府豊中市全域、大阪府吹田市全域、大阪府茨木市全域を加えた。こうした中、本日、兵庫県伊丹市の千僧駐屯地において、第3師団創設記念行事が実施されたが、伊丹市は、その対象地域ではないものの、行事内容は大幅に変更されることとなった。

Img_9482  千僧駐屯地は、国道を挟み、グラウンドとモータープールが置かれた地区、そして師団司令部や部隊が駐屯する地区に分けられるのだが、今回、司令部などが置かれた駐屯地地区で実施予定であった模擬店や装備品展示など全てが中止され、グラウンド地区でも装備品展示が中止、1500時までの開放時間を1330時へと改められた。

Img_0288  他方で、グラウンド以外の開放を中止したというと、本当に大きな変更に思われるかもしれないが、式典、観閲行進、訓練展示は、グラウンド地区で実施されるので、実質的に主要な行事は予定通り実施されたともいえる。駐屯地も、PX営業や、シャトルバス運行などで、部分的には入ることが出来た。だが、消毒用アルコールでの消毒など、感染防止に尽力している姿は印象的であった。

Img_9880  写真は、生物化学偵察車。第3特殊武器防護隊の運用する装備だ。駐屯地祭のなかで、中止された行事はかなりあるのだが、北大路機関がお伝えする行事内容は、主に式典・観閲行進・訓練展示・装備品展示、という内容なので75%は実施されたということにはなる。他方、今後感染拡大を防げなかった場合、こういった行事はもちろん、このほかの分野にも影響が出てくる可能性が高く、警戒を要するといえよう。

HARUNA

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静岡空港 静浜基地拡張で対応することはできなかったのか

2009-05-16 23:27:51 | 航空自衛隊 装備名鑑

◆距離にして約10km

 静岡空港の暫定開港が来月4日に迫っているが、この報道を聞くたびに、何故、静浜基地の拡張案で妥協できなかったのか、という微妙な疑問が頭をよぎる。明日は、静浜基地航空祭だが、展開を予定している友人が、滑走路エンドからの距離を測ったら9.2kmしかなかったとのことだ。

Img_0578  静浜基地は、航空自衛隊の飛行場を有する基地としては、日本でもっとも小さな基地で、ここにはT-7練習機を運用する第11飛行教育団が展開している。滑走路は、やはりT-7の運用のみを考えているため1500㍍と短い。対して、静岡空港は滑走路2200㍍ということなので、静浜基地を大規模拡張する、という選択肢は採り得たのではないだろうか。

Img_0586  もともと、静岡県への空港誘致に際しては、第一に浜松基地の官民両用空港化が検討され、続いて、浜松基地と静浜基地のどちらかを共用化するという検討がなされたとのこと。このほか、静岡県には、滝ヶ原駐屯地に教育支援飛行隊富士飛行班が駐屯する飛行場があり、既に静岡県には、飛行場が三か所あることになる。

Img_3583  静岡空港を考える上で、大きな論点となるのは、用地買収の問題と共に、採算性の問題である。実際、中部国際空港が開港し、首都圏の成田空港とともに羽田空港への国際線乗り入れの再開、そして静岡県と首都圏・中京地区を結ぶ新幹線による移動所要時間が、静岡空港が提唱された1980年代よりもかなり早くなっており、静岡空港でなければ、という必然性は当時よりも低下しているように思う。

Img_0551  もちろん、既に静岡空港は建設されており、来月4日に開港されるのだから、今更考えるというのもナンセンスではあるが、静浜基地を拡張し、滑走路や地上設備を充実させたうえで、官民両用空港としてスタートした方が、採算性などのリスクは少なかったのではないか、と考える次第。また、静浜基地が拡張されていれば、戦闘機の発着も可能となり、航空祭は、一層盛り上がりを見せていたのだろうなあ、と思ったりもした次第。

HARUNA

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浜田防衛大臣海上自衛隊へP-3C派遣を命令! ソマリア沖海賊事案

2009-05-15 23:04:32 | 防衛・安全保障

◆P-3C海上警備行動で派遣へ

 浜田防衛大臣は、本日午前、海上自衛隊へソマリア沖海賊事案海上警備行動に際して、P-3C哨戒機の派遣を命令した。

Img_1145  海上警備行動として派遣されるのは、厚木航空基地第4航空群に所属するP-3C哨戒機2機。速力395ノット、戦闘行動半径2500kmで、6600㍍の高度から各種センサーを用いて洋上哨戒、対潜哨戒を行う機体。現在、海上自衛隊では80機が運用されており、対潜機材に加え、機首と胴体尾部に360°を警戒可能なAPS-115Bレーダー、AAS-36赤外線探知装置などを搭載。索敵範囲は非常に広い。

Img_7790  近年は、洋上哨戒能力を向上させるべく、捜索レーダーなどの近代化を実施している。リンク11により、洋上の水上戦闘艦や陸上の航空基地とデータリンクを結ぶことが可能となっており、今回派遣されるP-3Cは、現在派遣され、任務にあたっている“さみだれ”“さざなみ”を支援する。

Img_0640  P-3Cの任務は、具体的には護衛艦に上空から不審船舶の情報を送信するとともに、必要であれば、ソマリア沖へ派遣されているNATO規格の各国艦艇ともデータリンクすることも可能だ。P-3Cの派遣は、米軍も駐留するジプチ共和国のジプチ空港を拠点とする。派遣計画は、まず5月18日に先遣隊をジプチへ派遣、5月末に派遣部隊本隊をジプチに送る。

Img_9563_1  P-3C派遣に際して、派遣部隊の規模はどの位になるのだろうか。海上自衛隊は機上要員、地上要員など100名を派遣。陸上自衛隊も空港警備の要員として中央即応集団から50名を派遣するため、150名からなる部隊となり、加えて航空自衛隊も人員や部品などの輸送で協力するとのこと。

Img_9354  イラク復興人道支援任務に際しての航空自衛隊のC-130H部隊派遣を見ても、自衛隊は少数機を長期間にわたり高い稼働率を維持させる整備能力が、各国に評価されており、今回のP-3C派遣任務に際しても、任務完遂へ期待がもたれる。同時に、艦艇に加え、航空機を派遣した海上自衛隊は、国内の教育訓練体系に影響がでないよう工夫も求められることとなる。

HARUNA

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岩国日米友好祭2009 地上展示機を眺め気づいた重箱の隅

2009-05-14 23:31:17 | 在日米軍

◆岩国FSD2009

 海上自衛隊のソマリア沖海賊対処任務に反対の声明を出していた反戦団体ピースボートが、運行している世界一周ツアー、その旅客船が、ソマリア沖で海上自衛隊の護衛を要請し、護衛を受けていたことが判明。なんというか、せめて主張と行動の首尾一貫は、と思う次第。

Img_2791  閑話休題。岩国基地日米フレンドシップデイの最初を飾った空挺降下。一瞬、使われたのは通常のC-130のよにみえるが、よくみると、タンクが装着されてて、これはKC-130なのかな?と思ったりする。しかししかし、側面をよく観察してみると、この機体は、特殊部隊の輸送に使うMC-130特殊戦機であるということがわかった。

Img_8341  このように、実はよく見ているつもりなのだけれども、さらに良く観察してみないと一瞬気付かないのでは、というものが多々あったので、本日は、その特集。写真は、入場者の手荷物検査場を眺める海兵隊員。手を振ってみると、向こうも手を振ってこたえてくれたりする。しかし、俯瞰するとたくさん群衆がいたのだろうなあ。

Img_9724  地上展示機に並ぶたくさんのF/A-18、岩国航空基地の主役といえば、この機体とハリアーⅡだろう。その中でもF/A-18は多くの機体が並んでおり、特に、このタイガーパターン迷彩の飛行隊は、今年一月に岩国にローテーション配置された部隊ということで、注目を集めているのだが、…、おわかりだろうか。

Img_9723  エアブレーキに、シルエットが・・・。一機だけエアブレーキが立っていたので、注意するべきところだったのだが、小生は、教えてもらうまで気付かなかった。ヘリコプターなどの迷彩にも、注意してみると、こういう遊び心が表面化しているものもあり、ちょっと油断禁物だな、と思った次第。

Img_9586  航空自衛隊のF-4EJ改。要撃機として導入され、支援戦闘機として運用することもできるよう改修を受けた機体。名機には違いないのだが、導入開始が1971年と古いこともあり、そろそろ後継機を決定しなくてはならない時期ということで、本ブログでも扱っている機体だが、当面は、航空自衛隊で活躍する機体だ。九州の新田原基地から展開した機体。

Img_9588  垂直尾翼を見ると、飛行隊マークが描かれているのだが、よくよくみてみると、違和感に気づかされる。そう、何か消した後が判るのだが、これは、F-4EJ改からF-2へ機種転換した第8飛行隊のマークでは?と教えてもらった。いやあ、見落とすところでした。油断できないのが、こういう機体。

Img_8405  航空自衛隊のC-1輸送機。因幡の白兎が描かれた美保基地の機体。C-1輸送機は、搭載可能な貨物重量が8㌧と少ないことは確かだが、その分、ジェットエンジンにより軽快な運動性能を誇り、加えて高い短距離離着陸能力を有する国産輸送機。ただ、旧式化も進んでおり、次期輸送機C-Xの初飛行が待たれる。

Img_8406  よくよくみてみると、胴体前部にちょっと塗装の違うところがある。そういえば、昨年は、美保基地開庁50周年だった、ということを教えてもらい、確認してみると昨年の50周年記念塗装のマークが張ってあった場所です、とのこと。こちらも、見落としがちだけれども、なるほど、今年ならではの機体塗装、といえるやも。

Img_3195  こちらはKC-130空中給油機。C-130輸送機の機体に空中給油機としての所要の改造を施したもの。低速での給油が必要なヘリコプターから、戦闘機まで幅広く任務に対応することが可能だ。ちなみに航空自衛隊も一部のC-130H輸送機を空中給油機に改造することが予算措置として決定している。

Img_3186  よくみてみると、給油装置が降ろされていた。このほか、一人(?)で散歩をするロボットや、謎の37ミリ対戦車砲(?)などなど、見落としそうな重箱の隅的なものが並んでいた。珍しいものでもあり、基地祭を散策したならば、是非とも気づきたいもの。しかし、このほか、当方の知らない、重箱の隅もたくさんあるのだろうなあ、と思う今日この頃。

HARUNA

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海上自衛隊の特別機動船 護衛艦に搭載、不審船・海賊船に対処

2009-05-13 23:32:07 | 防衛・安全保障

◆ソマリア沖海賊対処事案

 これまで、護衛艦に搭載されている複合ゴムボートを、複合型高速艇と記載してきましたが、正式には特別機動船という呼称があるとのことだ。

Img_9789  あさぎり型護衛艦の、あまぎり。4月4日に撮影した写真で、舞鶴基地一般公開の日にあたり、舞鶴遊覧船の運行日であったので、陸と海から撮影した写真。二本のマストが示す力強さ。はるな型や、しらね型、そして、はたかぜ型護衛艦のような、見た目が強そうな護衛艦というのは、それだけで、存在感や抑止力を期待してしまう。

Img_9376  特別機動船、は、搭載艇、つまり内火艇のダビットに搭載されるが、この搭載には、一応ダビット部分を改造する必要があるとのことだ。ゴムボートとFRP構造の複合艇となっている特別機動船は、北朝鮮などの不審船に対処する必要上から近年までに配備が進められていたとのこと。

Img_9382  特別機動船には、護衛艦の立入検査隊などが乗り組むが、同様の船は特別警備隊員の訓練などにも用いられているとのこと。この種の複合艇は、海賊船対処や不審船対処のみならず、拡散防止イニシアチヴ(PSI)任務に伴う臨検でも活躍が期待される。ちなみに米海軍では、近年、ミサイル駆逐艦のコスト削減のために、従来型内火艇に代えて複合艇を搭載する場合が多い。

Img_9774  従来型内火艇。特別機動船と比べると、速度では遅い印象があるが、一方で、輸送できる人員等の面では充実している印象だ。特に、沖に停泊する際などは、人員の揚陸には、こうした内火艇が必要となるので、特別機動船と内火艇の任務や用途の区分はしっかりしているという印象。

Img_6292  立入検査隊は、ヘルメット、防弾衣、半長靴からなる立入検査服を着用して任務にあたる。なお、防弾衣は、陸上自衛隊が用いている戦闘防弾チョッキとは異なり、海へ落水した場合、浮揚する構造が採用されている。かなり前から必要性が提示されていた水に浮くボディーアーマーは、90年代にイギリスで開発された。

HARUNA

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中国四川地震から一年 思いのほか深かった日中の溝

2009-05-12 23:20:42 | 国際・政治

◆512大地震から一年

 本日は、四川地震から一年を迎えた日である。地震国日本としても、対岸の揺れと安穏に過ごす訳にはゆかず、やがて来るだろう地震への備えを進める必要がある。

Img_8661  2008年5月12日、四川省汶川を震源とするマグニチュード7.9の地震が発生、250kmもの長さの断層が二回にわたり動くという大地震により、四川省だけでも死者6万9197名、行方不明者1万8222名、負傷者は37万にも上り、スマトラ沖地震津波災害と並び近年では未曾有の大災害となった。

Img_0896  さて、この地震について、被害の詳細や、検証は他の媒体に譲るとして、当時の地震に際して、当方が感じたのは、交通が寸断された山間部の地域に、他に展開集団が無いということで降下した空挺部隊の姿が新潟中越地震に立ち向かう12旅団の姿と重なるとともに、日本からの救援物資を搭載した航空自衛隊輸送機の展開を、中国側が断ったという事が強く印象に残っている。

Img_4050  日本も、1995年の阪神大震災の際に、米空母の救援の申し出を、指揮権の問題などを併せ、運用上の齟齬を来す可能性があり、断ったという事例があるが、今回自衛隊が行うべく提案したのは、被災地への災害派遣ではなく輸送機による物資輸送である。当然受け入れられるだろうと考え、日中の相互信頼醸成の一助にもなると期待したのだが、結局断られてしまった。

Img_8636  米軍機が受け入れられているのと対照的に、日中間の溝はまだまだ深かったのか、と驚いた覚えがある。その理由は、国民感情、つまり、日本の輸送機の支援は受けたくないというものがあったと報じられている。一方で、東京消防庁や国際消防救助隊、海上保安庁特殊救難隊、国際警察緊急援助隊は派遣され、被災地での救命救助活動にあたっている。

Img_5472  航空自衛隊が、まさに被災者が苦しんでいる次期に輸送を申し出、断られてその後、2009年に入り、また一つの象徴的な事案があった。中国が建国記念国際観艦式を行うに際には、海上自衛隊の護衛艦、護衛艦の中でも伝え聞くところによれば、イージス艦の中国観艦式参加を希望したとのことだ。

Img_9460  結局海上自衛隊は、インド洋派遣任務、北朝鮮ミサイル試験への警戒と、ソマリア沖海賊対処任務への艦艇派遣に加え、練習艦隊の遠洋航海とも重なっている時期で、参加は実現しなかったが、緊急物資の輸送を断ったのち、一年も経たずして、観艦式に参加するよう大型護衛艦の派遣を求める。面子に拘るというか、価値観の相違というか、溝というものは、まだあるのかな、とも思った次第。

HARUNA

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