◆鉄道の日特集
本日十月十四日は鉄道の日です。新橋と横浜の間に日本最初の鉄道が完成したのが十月十四日だったので鉄道の日、となったわけですね。
鉄道の日に併せた、という事はないのでしょうがJR東海のリニア新幹線に関するルートがようやく日本アルプスを大深度トンネルで貫通して東京と名古屋を最短で結ぶルートに決定する方向となりました。開業は2027年と予定よりも二年遅れる事となるのですが、開業後には東京と名古屋が現在の約90分から40分程度で結ばれる事になります。
これまで大きな問題であった東海道新幹線の混雑緩和が実現しますし、大阪開業後、のぞみ号の多くはリニア新幹線へと移行するといわれていますので、結果的に、こだま号、ひかり号の増発にもなり、のぞみ通過駅の沿線は新幹線が利用しやすくなるという大きな利益にもつながるわけです。
一方で、東海道新幹線は現在、日本の人的移動に欠かせない主要交通手段となっているのですが、沿線はその大半の路線が東海地震、東南海地震、南海地震の危険に曝されている状況にありますから、大規模地震に伴う長期運休という危険性から脱却するためにも一刻も早く北陸新幹線の全線開業に進む必要があります。
長野新幹線、と呼ばれている北陸新幹線は、金沢開業までは目途が立っているのですが最終的には京都府を通り大阪へ向かう、東海道新幹線の予備となる新幹線です。例えば大阪と名古屋の間では新幹線が不通となった際に近鉄の名阪特急が結んでいるのですが、そうした補完関係が期待される訳ですね。
北陸新幹線以外の整備新幹線構想ですが、在来線用特急車両の高性能化により、160km/h運転が可能な車両が整備されてはいるのですが、地点間速度といいますか、移動に要する時間で比較してみますと、在来線では新幹線と比べた場合、大きなカーブが数多くあり、高性能車両を以てしても高速で通過するためには新線建設が必要となってしまいます。
そこまでやるのならば新幹線、という動きとなっている、とも考えられる訳ですね。他方で、新幹線を整備したために並行在来線の特急が廃止されたりして政令指定都市なのに寝台特急と同じ数しか特急が来なくなったり、並行在来線そのものが第三セクターとなったり、といった問題も生じています。
東海道本線などは並行在来線として直通特急が無くなりつつも、新幹線との連携が順調に行っている稀有な事例なのですけれども、北陸新幹線や九州新幹線などでは新しい過疎地域を生む状況となっています。特に路線存続が成っても、長期的にはう透明だったり、運賃に大きく反映されたり、等。
本来、そういう事が想定され、人口流出も考えられての建設賛成と事業前評価だったのでしょうが、元々都道府県と国が主体の事業としての整備新幹線構想ですから、こちらについては地元市町村などの自助努力目標とするのではなく、もう少し様々な政策があってもいいのでは、と考えます。
安易な補助金ではなく、運行方式についての調整といいますか、利益とともに鉄道事業には社会的な役割、公共交通機関としての不可分の要素が経営とともに存在しているはずでして、同時に新幹線事業の誘致というものを勘案して、同じく受益者としての自治体や政府とのもう少し踏み込んだ合議が行われてもいいのではないでしょうか。
都市交通についてですが、近年、路面電車が見直されつつある、という声が一部で聞こえるなか、路面電車を廃止した自治体の中で再度建設した、というような事例は聞こえません。既存の路線網を有する自治体が、拡張した、というものが大半なのですよね。このあたり、もう少しどうにかならないのか、と。
いわゆる軌道線、路面電車は建設費で地下鉄建設の0.3倍で行う事が出来るとされます。もちろん、地下鉄建設は工事深度により工費は大きく変わるのですが、15km分の地下鉄工事で50km近い軌道線網を整備できる、ということになります。建設されればそこには電停という駅が出来ますので、バス路線とは比較にならない経済波及効果がある訳です。
また、中心部と郊外に軌道線は一つの流れを構築することが出来ますので、中心部過疎化を防ぐことも可能です。そして、削減への意味は別としてCO2削減の観点からも自家用車やバス路線よりも輸送量あたりのCO2排出量は少なく、この種の事業に国はもう少し投資を行ってもいいのではないか、と。
同時にローカル線についても、路線が維持される事で維持されている地域もある訳でして、燃料費の不安定や自動車維持の難しさ等が考えられる高齢地域においては、鉄道の存在が考えられる以上に大きくなっている場合もある訳です。しかし、路線維持には採算と施設維持という問題があり、苦しんでいる鉄道会社もあります。
例えば施設維持に関する政府人材バンク制度の構築と、公共事業としての路線維持や車両定期整備への人員派遣等の試み、というのはあり得ないものでしょうか。廃線がそのまま廃村に繋がる事例、とはではいかなくとも限界集落となってしまった話は聞きますし、廃村が山林管理等に悪影響を及ぼし、災害に発展した事例も聞きます。
もちろん、具体的な名前は挙げませんが当初旅客需要の見積もりが杜撰で、工事により路線を整備したのは良いのだけれども、利用者が伸び悩み、そこに建設に関する負債が立ちはだかり、どうにもならない路線、というものはありまして、そういうところにも無差別に補助金を、とは言う事は出来ないのですが。
付け加えれば、これもあえて名前は挙げませんけれども、既に経営的に難しい路線であるにもかかわらず、新しい高速鉄道線の誘致や短絡線建設を求める地域は多々あります。そうしたところに路線を建設して当然の赤字となる、というような事があれば、そういうところにはあまり支援という意義は感じません。
例えばイギリスのブレア政権が試した事業評価と民営化を組み合わせたエージェンシー方式、一時公共事業化した上で事業者を募り、事業評価の上で経営責任者として維持させるのか、交代させるのか、という方式なんかが併用できれば、ある負担者にとっても程度説得力を持つかもしれません。
頑張っているローカル線は多い中で、こうした黒字経営を続ける会社が、傍目に赤字と慣れが支援が期待できる、という構図を見てしまいますと士気に関わりますし、一方でローカル線により維持されている地域もあるという実情、これをどう均衡点を見つけてゆくか、という事は一つ日本として大きな課題なのかな、と。
新幹線の技術移転について。海外への新幹線売り込みが行われているのですが、これについて日本の技術は車両と管理システムとを統合したもので新幹線を構成しているのですが、海外の特にフランスや中国製の車両に対して価格面で劣勢にある、と言われます。また新幹線規格路線でなければ最大限性能を発揮できない、との指摘もあります。
しかし、これかなり当たっていまして、同時に無理に輸出する必要はあるのかな、と思ったりもします。JR東日本は中国に技術移転を行いましたら、すぐさま形状を模倣したコピーが造られましたし、そもそも新幹線というのは日本での運用を考えて整備したものですから、海外で性能が発揮できるのか、と。
新幹線は、そのまま海外で高速鉄道として認識されているのですが、これはもともと東海道本線という幹線が輸送能力の限界に達したために、新しい幹線を整備して高速列車を運行し、輸送力増強に充てよう、という意味があり、新幹線、というわけなのですから、新規の路線という前提があった訳です。
新幹線は速度のほかにも1000km走ってダイヤの誤差30秒以内、最大五分間隔での運行が可能な大量輸送手段、という位置づけがありまして、東京と名古屋と大阪を結ぶからこそ意義があるのでして、もちろん海外に日本の技術が評価され、普及するのは嬉しいのではありますが、しかし日本の新幹線ほど高度なものは必要なのかな、必然性は、と思ったりもしました。
通勤電車について、今度は少し考えてみましょう。研修で一ヶ月ほど銀座線を利用した時には、意外に空いているという正直な感想があるのですが、甘かった、山手線や井の頭線、東横線は凄かった。・・・、いやほんと。・・・、まあ、223系の新快速で京都と大阪も凄いのですが、ね、クロスシートだし。
銀座線は運行本数が大きいのでしょうか、とにかく銀座線は通勤時間帯でも下手をすれば座る事が出来るほどだったのですけれども、山手線の朝の時間帯は凄かった、降車駅がほぼ同じ新快速で混雑しているのと違い、各駅停車であれは凄いと思ったのですよ、なるほど、あそこと東横線は日本一混雑する路線とのことでした。
通勤混雑緩和、というものはもう少し行われてもいいのでは、と考えます次第。特に首都圏。通勤混雑と言えば、押し込み屋&剥ぎ取り屋が不要となった今日、鉄道会社の努力はかなり実っていると言えますし、これ以上運行本数増大は不可能、これ以上連結編成増強も不可能、というところでしょう。
しかし、今の技術だからこそできる部分があると思うのです。例えば乗車率表示。阪急9300系や9000系の運転台には扉開閉状況の表示に並んで乗車率表示が出来るようになっています。古い車両にはこうした表示はないんだけれども、重量などで乗車率を調べて、冷暖房調整等を行っているのでしょうか、数字が出るんです。
乗車率表示というものが出せるのならば、これを駅の列車案内版に表示したり携帯電話のサービスで配信してみては、と思ったり。つまり、どの車両が、まだ乗車率が低いのか、ということの表示ですね。新しい車両だけでも、こうした情報を表示できれば、乗客の密度が分散して、多少はなんとかなるのではないでしょうか。
他方で、昨今は郊外の保育園を始め育児施設の不足から都心保育ということで幼児同伴にて通勤される方が増えているのだとか。優先座席や女性専用車という制度はあっても、女性のみが幼児と都心保育を行っている訳ではないのでなんともいえないのですが、あの乗車率で幼児同伴は危険なのでは、と。
女性専用車があるのだから、これ以上専用車を新設して通常の乗車率を圧迫させる訳にはいかないのだけれども、待機児童問題に決定的な解決策が無い今日では、これも何とかしてゆかなければならない問題。ううむ、嵩が大きいベビーカーを駅ごとにシェアリングして共用、車内に持ち込まない、とかそういうのしか思いつかないけれども。
首都圏の通勤輸送ですがちなみに京阪神地区では、特急料金不要の特急であってもクロスシート車が普通に走ってますし、京阪電鉄のように二階建て、ダブルデッカー車を無料にしているところがあったりします。ラッシュ時は車庫に入るのですが、首都圏のロングシート天国、日中の時間帯は、クロスシート車があってもいいのでは、と少し思ったりしました。
首都圏は混雑するので、という話は結構効くのですけれども関西私鉄でも混雑するところは混雑している中でクロスシート車を投入しています。まあ、京浜急行電鉄なんかはクロスシート車を大胆に投入しているのですが、ううむ、クロスシートでゆったり、という声、乗客からの需要に少ないのでしょうか、あっていいとおもうのですが・・・。
もっとも、クロスシートを重視している鉄道が多い京阪神にも阪神電鉄のようにクロスシート車に全く興味のないロングシート第一主義の私鉄もあると言えばあるのですが、ね。・・・、ここは本線が短すぎるので座る時間が無い、という事ももしかしたらあるのかもしれませんけれども。
夜行列車について。あけぼの、日本海は来年あたり、・・・、なのでしょうか。こういう私もブルートレインは一回しか利用した事が無いのですが、廃止になった富士号。岩国基地に行く際に、早朝に到着するという事で便利なので利用しました。三沢行く時に、と考えているのですが無理でしょうかね。
日本海も使ってみたいのだけれども、青森到着が遅すぎるので使いにくいのが難点、0800時くらいに到着するのならば、と思ったり知るのですが客車方式では、あの速度が限界なのでしょうね。しかし、食堂車も個室寝台も無くて、B寝台で6300円、そこに特急料金というのは少々高いような気がします。
トワイライトエクスプレスも、客車部分は改造客車ですから寿命というものがあるでしょうし、北斗星とカシオペアも北海道新幹線の時代が到来すると時間帯によっては青函トンネルの関係で運行が難しくなるやも。しかし、夜行、という需要はあるのですし、思い切って新幹線の低速でも良いので夜行というのをやってほしくなりますね。
特急について。特急なのですが、昨今、貫通扉があるのかないのか、という安直なデザインがあったり、かつての流線形や展望車、そういうものが無くなってしまって、無難なデザインの特急車両が増加しているように、なんというか特急料金を払って待っていると、そういう電車が来た時にがっかりしそうな、そういう意味です。
もっとも、小田急のロマンスカーや京成の新型スカイライナー、頑張っているところは頑張っているのだけれども、JRなんかでは、そんな電車使うのならまだ485系のほうが、まだ良かったんでないの、というようなものが、設備もどんどん簡素化されていってるような印象もありますし、よくなったのはシートだけ、と。
ううむ、特急の簡素化、というのは車窓や旅の行程を楽しむ余裕が無くなっているようで、ちょっと残念な気がします。もちろん鉄道会社としては流線形よりも車両メーカーの基本型車両を特急とする方が安上がりなのでしょうけれども、ううむ、しかし、この283系みたいな車両が量産されていれば、と。
最盛期は1990年代、という印象が・・・。つまりこれはバブル期、ということになっちゃうんでしょうけれども、・・・、そういえば東武100系は個室料金が随分下がっているようで、余裕というか利用者の経済的な理由があって、あまり高いサービスも提供できなくなってるという事があるのかも。
まあ、いろいろ書いてみたのですが、そういう車両はラピートに対するサザンとか、ビスタカーの三代目と二代目の残念さとか、考えてみれば今だけではないのですし、十年後に今の鉄道車両をみれば、これは、というものもあるかもしれませんし、要は慣れ、ということなのかもしれませんね。
HARUNA
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)