学生時代に読んだフランツ・カフカの有名な小説に「変身」がある。ある朝、ザムザが突然毒虫に変身してしまう話である。同様な話は、ギリシャ神話にも、ヘラ女神の嫉妬によって雌牛にされたイオの話もある。
突然、今まで疑ったことも無かった自明の自分の土台、身体が変身してしまう。こうした不条理な変化は、ザムザやイオほど激しくないが、人間が直面する問題だと思う。今まで自分の信じていたものが、現実的に役立たないというような・・
40歳台の私にとっては、Aさんとの関係で、幼いころから培ってきたはずの、そしてサラリーマンとして生きていく上の価値体系が激しく揺さぶられて来たのだった。
そんな恐ろしい現実の中で、硬い本を貪り読んでいたのは何となく判る。学生時代に興味をもったいた東洋哲学書なども再読したりした。
「私って何だろう?」
こうした時、自力で新しい価値体系に切り替えることは、なかなか難しい。回答は問題を持っている人の中にあるというのが、「生き甲斐の心理学」の鉄則である。ただ一人で気づくには、従来の価値観が邪魔し、心も逃避などの自己防衛で鈍くなっており、おまけに現実を見る眼も歪んでいた。
打開策に気づくことは極めて困難であったと思う。
こういった中、「気づき」を得るには、心理学者カール・ロジャースが発表した、心理療法上の必要にして充分な6条件を満たせば、気づき易くなることが世界の常識となっている。これは受容・共感そして純粋と一致で傾聴するということである。
私の場合、具体的にカウンセリングを受けたのででないが、必然的な摂理かあるいは偶然が重なったか、前述した「Something Greatに出会う日!」のような展開でいつの間にか6条件が満たされ、そして新しい価値体系に「気づいた」と言える。
信仰との出会いは、人の価値体系、アイデンティティを劇的に変化させると思う。
この事件により、こころの状態はプロセススケールでいうと底辺から中辺に変化し、防衛機制も信仰を持つことにより、逃避・抑圧から、摂取・同一化・補償等へ変化した。
そして、何よりも平安感など明るい感情が増加した。また現実吟味力も高まりより健全になったと思う。
こうした大きな「気づき」により、アイデンティティの統合を中心に3つの要素が改善され、自分の生き甲斐がより健全に追求できるようになってきた。
ただ大きな気づきがあったが、Aさんに関する問題は急に解決するわけでもなく、引き続き問題が存在し、そして、第2、第3の壁が立ちはだかってくる。
つづく(気づき論3/5)
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