前にもCauchy-Lagrangeの恒等式のことを書いたと思うが、Cauchyの不等式とかSchwarzの不等式とかいうのとあわせて関心を持っている。
もっともあまり詳しく書いたものは少ないのだが、あちこちの本の中から拾い読みをしている。
このLagrangeの恒等式がどういういきさつで出てきたかというのが、一つの関心事である。
私の現在分かっているところではどうも不等式の方が最初のような気がしている。それを証明しようとしてCauchy-Lagrangeの恒等式が出てきたような雰囲気である。これらと三角不等式とかの関係を少し調べてみたいと思っている。
Cauchy-Lagrangeの恒等式の証明も定数の数によるのだが、四元数を用いた証明とかベクトルによる証明とかあることがわかっている。
全く何十年かぶりにソーヤーの「数学へのプレリュード」を拾い読みしていたら、これについて出ていた。それで関心が復活したというわけである。いつかまとめてみたい。
(2011.9.27付記) その後、Cauchy-Lagrangeの恒等式の題で5つのエッセイを書いて、愛数協の機関誌「研究と実践」に載せた。
正確には第5番目のエッセイは投稿中なのでまだ発表されていない。これが何の役に立つかといわれれば、何の役にも立たないだろう。
だが、これは私の知的な旅である。後世になって誰かが読んでくれたのでよい。誰かが関心をもったという痕跡があればいいのである。
(2020.5.20付記) このCauchy-Lagrange恒等式が私の小著『四元数の発見』(海鳴社)を書く動機となった恒等式であった。これは私の個人史にとっては事実である。もっとも、それは他人から見たら取るに足らない小さなことである。
(2024.10.25付記) 最近ではこの関心がフルヴィッツの定理まで膨らんでいる。まだ十分にこのフルヴィッツの定理についてよく知っているわけではないがこれをよく知るまで私の関心事の旅は終わらない。