Levi-Civita記号の縮約についてはすくなくとも3回にわたって論じてきた。これらのエッセイは小著『数学散歩』(国土社、2005)(品切れ)に収録された(その後、『物理数学散歩』(国土社、2011)に再録)。その後、岐阜大学におられた川崎さんのアイディアにしたがったエッセイも書いた。これは「数学・物理通信」1巻2号 (2010.3) に掲載されている。
しかし、Levi-Civita記号の縮約についてはいくつかの議論をその後にも見てきた。それでそれらをすべて(とはいっても私の目に入った限りで)を「そうさらい」として、どこかでとりあげて論じてみたいという気がしている。
Levi-Civita記号の縮約については、私がずっと以前に書いたことが一番基本的なのではないかといま思っている。ところが、書いた本人の私がその重要性に気がついていなかった。もっともこの拡張されたクロネッカーのデルタという考えは私のアイディアではなく、私は穂苅四三二(ほがりしさじ)さんの古いテンソル解析の本(『テンソルの理論と応用』(生産技術センター、1977)、この本は元のもっと古い本の翻刻である)から学んだことである。
また、分かりやすいのは前掲の「数学・物理通信」に書いた方法ではないかと思っている。この方法と同じような記述を一石賢さんの書でも書店の立ち読みでみたことがある。残念ながら書名は覚えていない。
ところで、まだその本を見る機会はないのだが、最近”Exercises of Tensor made simple”とかいうタイトルの本が出ているらしい。アマゾンコムでその本を検索すると、その表紙に「拡張されたクロネッカーのデルタ」の式かと思われる式が出ているので、私の知っていることを対比のために記録しておきたいと考えている。