鶴見俊輔さんは言わずと知れた「思想の科学」の創立者の7人の1人である。
この思想の科学の創立の提唱者の同人7人の内でアメリカやフランスへの留学の経験がある人が多数を占めた(注)。
鶴見さんは言う。「思想の科学」の多元主義は、しかしこれらのアメリカやフランスの留学者によって「思想の科学」の多元主義が出てきたのではなく、留学とかとは全く関係がなかった、武谷三男によって打ち立てられたのだと。
このことを見失うとその後の長く維持されてきた、「思想の科学」の多元性の評価を見誤るという。
いま、武谷三男はあまり評判がよくない。これはいま一番武谷三男に関心をもっている科学史の研究者である、NさんでもYさんでも、またかくいう私もそうかもしれない。
しかし、NさんもYさんも私も武谷三男の全否定をしてはいない。すくなくとも、私たちはこれからも武谷の考えに負うところは多いだろうと考えている。
その点ではいま私たちに不一致はない。
(注)「思想の科学」の創立の提唱者の7人の名を上げておくべきだろう。
アメリカ留学経験者(4人)
鶴見和子、鶴見俊輔、都留重人、武田清子
フランス留学者(1人)
渡辺慧
その他(2人)
丸山真男、武谷三男