8月26日の徳島科学史会の懇親会で熊本からやってきたNさんの隣の席となった。このNさん、なんでも自分で納得したい私のような人らしく、スピーノルが分らないとぽつりと漏らされた。
私もあまりよくはわからないと答えたのだが、1冊だけスピノールという本をもっていると言って、私のもっていた本
Cartan ``Theory of Spinors”(Dover)
を見せた。これはもちろんフランス語のCartanの講義ノートの英訳である。
私が学生のころだからもう50年よりも以前のことになるが、数学科の図書室から借り出して、そのフランス語の講義ノートをコピーした記憶がある。どこかにそのコピーも残っていると思う。だが、今ではフランス語で読む必要はまったくない。
なぜこの講義ノートのコピーをもっているのかといえば、私たちの先生であったOさんが、学生のころに読んだという話をセミナーの後だったかにされたことがあったからである。
それもOさんはフランス語であることを知らずに読もうとして全く読めなかった。友人からそれはフランス語だと聞いて急遽『フランス語修得4週間』でフランス語の初歩を学んでから、これを読んだというからすごい。
私は大学3年の前期に半年だけフランス語を学ぶ機会があったが、まったくCartanの講義録など4年のときも修士1年生のときにも思い及ばなかった。
ただ、いつか読むかもしれないと思ってコピーだけはとったという次第である。
‘‘Theory of Spinors"の3章がスピノールの章となっているので、この章だけでも日本語訳をしておきたいなどと考えている。訳ができたら、いつか「数学・物理通信」に掲載したいと考えている。
戦後直後の本で理論物理学新講座というシリーズがどこかの出版社から出ていたが、そのどこかの巻にスピノールのことを書いたのがあったような気がするが確かではない。大学図書館の書庫に行って確かめてみたいと思っている。
またはインターネットで調べてみたい。