時にはエンターテイメント的映画もいいのでは?と思い、週刊誌の映画評で評判の高かった「ザ・ファイター」を観た。プロボクサーの実話を描いた映画だということだが、隠れテーマとして家族愛、兄弟愛を描いていたようだった。
週刊誌の映画評で5人の専門家が5段階評価で5(2人)と4(3人)の評価をしていたのを見て、俄然観てみたいと思った。
4月5日(火)朝、札幌シネマフロンティアに急いだ。
映画は題名からもお分かりのとおりボクシングを題材にした映画である。
アメリカに実在した兄弟ボクサーの話である。
兄のデッキー・エクランドは「黄金のミドル(中量級)」と称された稀代の名チャンピオンシュガー・レイ・レイナードをダウンさせたという天才ボクサーといわれたが薬物に溺れてしまった。
弟のミッキー・ウォードもボクシングに取り組むが、無責任な兄や母のためになかなか芽が出なかったが、紆余曲折の末、ボクサーとして栄光を掴むというストーリーである。
映画は弟ミッキーが私から見ると必要以上に兄や母、あるいはたくさんの姉妹を意識していたことが気になった。つまりボクサーとして成功するためには兄や母から離れたほうが良いのではと思ったのだが…。
アメリカ社会、特に低所得者階級の場合、私が考える以上に家族や兄弟との絆を大切にしていることがうかがい知れた。
自分の仕事が、自分の人生が、家族や兄弟によって阻害されていると分かっていても断ち切れない家族や兄弟の絆というものを感じさせてくれた映画だった。
そのことが是か非か、難しい問題である。
話題は変わって、兄のデッキー役を演じたクリスチャン・ベールの薬物中毒の演技が秀逸だった。彼はこの役のために13kgの減量を自らに課したということだが、それ以上に役に徹していた演技は見事だった。
この演技で彼は2010年のアカデミー賞助演男優賞を獲得したということである。
映画評で高い評価を受けたとおりストーリーにどっぷりと浸かることができた「ザ・ファイター」だった。