田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

柳田邦男 絵本を語る

2012-06-25 19:40:07 | 講演・講義・フォーラム等
 ノンフィクション作家として著名な柳田邦男氏が絵本に造詣が深いとは恥ずかしながら初耳だった。しかし氏の履歴の中で絵本は重要な位置を占めているようだし、氏の奥さまであるいせひでこ氏は著名な絵本作家であることも初めて知った。 

               

 柳田邦男氏というと『マッハの恐怖』や『ガン回廊の朝』など緻密で重厚なノンフィクションの世界で世に知られた作家である。最近では福島原発事故に関わって文藝春秋誌で連続してその実態を報告し、評論している。

 その柳田氏が北海道学校図書館協会の主催で、6月24日(日)道新ホールで「人生を変える絵本たち」と題して講演をするという。有料(1,000円)ではあったがおおいに興味が沸いたので友人を誘い受講した。

 柳田氏は北海道立文学館で現在開催されている「いせひでこ・絵本の世界-私の木、心の木」原画展に併せて来道されたということだった。その中で氏は奥さまの真摯な創作の様子を語り、原画のもつ素晴らしさを強調された。夫唱婦随、互いに尊敬しあう夫婦愛を見た思いがした。(原画展は7月16日まで開催されている)

               
               ※ 柳田氏が絵本に関して著した中の一冊です。

 柳田氏と絵本の関係だが、氏は自らも絵本に関する著作を何冊も刊行し、また諸外国の絵本の翻訳も多く手がけられている。
 氏は長時間(140分間)にわたって絵本の魅力を私たちに語った。
 その話の柱は次のようだった。
 1.大人こそ絵本を ~乾いた心に潤いを~
 2.絵本の言葉 ~その深い意味~
 3.絵本・読書の新しい風
 4.感動の原体験 ~お父さんの出番~
 5.人生を支える灯

 講演の中で柳田氏は珠玉の言葉をいくつも私たちに与えたくれた。
 その中でも、氏が何度も口にした言葉が「絵本は人生に三度」出会うべきだ、という言葉だった。
 その意味するところは、自分の幼少期に、次は自分の子育て期に、この二つの時期はある意味当然であるが、最後はそうしたことから離れ自分自身が絵本に慣れ親しむべきだ、と氏は主張する。
 それは絵本は子供向けにやさしい言葉で表現されているが、作者によって、作品によってより深い意味が込められていると…。
 そして柳田氏は氏が翻訳した「だいじょうぶだよ、ゾウさん」という本を紹介してくれた。

               
               ※ お話の中に出てきた、柳田氏が翻訳したベルギーから発行された絵本です。

 そしてもう一つ、氏が放った意味深い言葉が印象に残った。
 人生における“癒し”とは、もがきながら必死になって生きることを模索することが“癒し”であると…。

 今度は柳田氏の主戦場(?)であるノンフィクションにおける氏の話を聴いてみたいと思った。