6泊7日という短い日程でアメリカの観光ポイントを駆け抜けてきた。それはまさに広大なアメリカの一端を垣間見たに過ぎない。そのようなわずかな体験でアメリカを云々評するのはおこがましい。それでも私なりの感慨は残った。今回の旅を記憶に留めるために旅の記録と共に、垣間見たアメリカを綴ってみたい。
感動と失望と ナイアガラ瀑布
ナイアガラの滝が目に入ったとき、バスの中から歓声が上がった。
これまでの観光ポイントではなかったことだ。
アクシデントを乗り越え、ようやく目にすることができた光景にみんなの思いが一つになったようだ。
※ いろいろと苦労して辿り着いたナイアガラは虹のアーチで迎えてくれた。
トロント空港からナイアガラまではバスで1時間強の移動が必要だった。
カナダの景色はこれまで見てきたアメリカ西部との風景とは異なり、緑豊かな風景だった。
同乗した日本人ガイドが言う。「カナダは水も緑も豊かだ」と…。
やがてナイアガラ地区に入った。
そして目にした光景は、あのナイアガラの大瀑布だった。
ガイドは連休が終わり観光客は少ないと言ったが、たくさんの観光客が滝を見入っていた。
バスは滝の上部に駐車したが、私たちはそこから写真をパチパチと撮りながら滝に最も近いテーブルロックに近づいた。
テーブルロックはほんとうに目の前を大量の水が滝壺に落ちるポイントだった。
凄い迫力に思わず吸い込まれそうになるくらいだった。
そこから少し離れて滝全体が見えるポイントまで移動してまた写真を何枚も撮った。
遠くにはアメリカ滝も遠望できた。
ナイアガラに着いたときは午後もかなり遅い時間だったけれど、晴れていたこともあり見事な虹がかかり私たちを喜ばせた。
滝そのものは期待通りの迫力だったけれど…。
意外だったのが、滝の周辺だった。
私は自らが描いていたイメージとして、ナイアガラの滝は自然豊かな中にあるものと思っていた。
ところが…。
ナイアガラの滝の周辺は見事に観光地化していたのだ。
カジノあり、お化け屋敷風の建物あり、ディスコ風の建物あり、観覧車あり、と周辺は完全にアミューズメント化していたのだ。
これには驚くとともにガッカリした。
※ 水煙に霞んでいますが、右がカナダ滝、左がアメリカ滝です。
ナイアガラの滝とともに世界三大滝と言われる南アメリカのイグアスの滝、アフリカのヴィクトリアの滝が世界自然遺産に登録されているのに対して、ナイアガラは世界遺産には登録されていない。
あのような周囲の情景ではそれも無理はないと思わされた。あまりにも俗化され過ぎている。
私は思う。ナイアガラの滝があまりにも早く発見されたことによるのだろうと…。
調べてみると、1700年代にはすでに観光地化されていたという。
まだまだ自然保護も、環境問題も叫ばれていなかった時代、世にも珍しい滝に人が集まってくるところに、さらに人を呼び込むための施設を建て続けたために今のナイアガラのような姿になったのであろう。
※ アメリカ滝の全景です。
地球が造った素晴らしい光景が人間の疎かな営為によって汚されているとも思えたが、そのことでナイアガラの滝の魅力が損なわれているわけではない。その姿はやはり誰もが一度は見てみたいと思わせるほどの圧倒的な迫力で見る者に迫ってきた。
ナイアガラ周辺の姿はきっと変えられないと思うが、ナイアガラの滝は現在も、そしていつまでも地球が造り出した奇景として人々を魅了し続けるであろうと思いながらナイアガラを後にした…。
※ ナイアガラの街の夜の光景です。