今回の北大講座「明日の観光を考える」シリーズは刺激的である。ただ講義を聴くだけという受身の講座から、講師からの課題に自らの考えを伝えるという点に新鮮さがある。講座内容にも興味があるので、積極的に関わっていきたいと思っている。
北大の公開講座「明日の観光を考える」の第2講が11月17日(木)にあった。
前半は、前回の講師(木村特任教授)が自ら出した課題に対して、受講者が提出した回答を紹介しながら講師がまとめるという形だった。
驚いたのは、相当多数の回答が講師に寄せられていたことだった。(その中に私の一通も含まれていた)受講する皆さんがかなり高い関心を抱いて受講していることの証のように思えた。
私が嬉しく思えたのは、私が回答した「札幌緑の回廊構想」を取り上げてくれたことだった。講師の木村特任教授は、札幌市が発行した「札幌緑の回廊構想」の冊子を探し出してくれたようだった。
さらには、市内に設定されているウォーキングコースをうまく繋いでみる、という私の提案に対しても、指導する学生たちを指導して実際にコースを繋ぐシュミレーションしてみた図を示してくれたのは嬉しかった。
他の方の回答では、実際に札幌市を中心としたロングトレイル構想を提案した方がいて、ウォーキング、あるいはフットパスに取り組んでおられる方が相当数いることを感じさせてくれた。
続いて、第2回目の講師である下休場教授が「自然・文化の保全と地域活性化につながるエコツーリズムとは」と題して講義され、やはり私たちに課題を提示された。
その課題とは、当初次のようなものだった。「札幌市には毎年、約1,300人の観光客が訪れます。これらの観光客に歩いて楽しんでもらいたい、あるいは自分自身が歩きたいエコツアーやフットパスの土地を選定し、コースを提案してください。また、そのコースの魅力とその提案理由を簡潔に述べてください。対象地域は、札幌市とその周辺とします」というものだった。
ところが、その課題が前回の木村特任教授の課題と重なると考えたのか、急遽次のように変えた課題を提示された。その課題とは、「札幌のオープンスペース(森林、河川、公園緑地、農地)、動植物、景観の環境保全に係る活動としてのエコツーリズム」というものだった。この問いだけでは、今一つ訊かれていることが分かりかねたので、前の問いも重ね合わせながら、回答を考えてみた。その回答が以下のようなものである。
北海道大学メディア・観光学高等研究センター
下休場 千秋 教授 さま
昨日の講義ありがとうございました。
エコツーリズムの発祥の地がアフリカだったとは初耳でしたし、少々驚きでもありました。しかし、その理由をうかがうと、「なるほど」とも思いました。
さて、いただいた課題についてですが「札幌のオープンスペース(森林、河川、公園緑地、農地)、動植物、景観の環境保全に係る活動としてのエコツーリズム」について考えよということでしたが、いただいた課題を十分に咀嚼できないままの回答となってしまうような気がしますがお許しください。
エコツーリズム的観点から札幌を考えたときに、札幌の最大の特徴は自然が非常に身近にあるという点ではないでしょうか。これほど都会と自然が隣接している都市を私は他に知りません。
その代表格が「藻岩山」だと思います。都心から車で僅か15分で登山口についてしまい、そこから直ぐに登山が楽しめる大都会など聞いたことがありません。その藻岩山もいたずらに人の手が加わっていないのも魅力です。
林間を縫い、ひと汗かいて頂に立つと札幌市内が一望できるというシチュエーションも大きな魅力です。
藻岩山からもう少し郊外へ行くと、「三角山~藻岩山~奥三角山の縦走路」もフットパスと登山の魅力を同時に味わえる魅力あるコースだと思います。
この他にも、札幌では少し車で走ると手軽に登山やフットパスを楽しめるところが数多く存在します。しかも、それらのほとんどは環境保全の面でも配慮され、特に問題となるようなところは少ないのではないかと感じています。
目を川の方に転じてみますと、札幌市内の中心を「豊平川」が貫いています。
私は冬期間に豊平川河口(石狩川との合流点)から豊平峡ダムまで7日間に分けてスノーシューで川沿いを遡行した経験があります。
この豊平川沿いを夏期間に歩いてみたいという思いがあります。(夏に川沿いを遡行することは、札幌市内部の河川敷を除いて現状では困難です)
私の経験から考えると、札幌市内から上流の川沿いを歩くことはかなりの困難に思われます。したがって、まずは豊平川の河口から既存の遊歩道までの河岸を人が歩けるようにフットパスコースとして整備していただけたらと思います。(それはけっしてコンクリート舗装をすべきということではありません)川の流れを間近に見ながらのリバーサイドフットパスは魅力あるコースになるのではないかと思います。
私が挙げたものは札幌の魅力のほんの一例だと思います。
都心からちょっと足を延ばせば、そこに豊かな自然が展開しているというのが札幌の大きな魅力です。こうした魅力をさらに整備し、発信していくことによって、札幌の魅力はますます多くの人を魅了することになるでしょう。
豊かな自然を体感した人は、けっして自然を壊したり、汚したりすることに手を貸すようなことはないと思います。ただ、それを信ずるだけでなく、やはり環境保全に対する啓発活動も同時に行っていく必要はあると思われます。
都心から近く、しかも魅力ある自然を体感してもらう観光。さらには、その地の環境が官民一体で護られていることを知った観光客は、その体験を必ずやSNSなどを通して発信してくれるでしょう。そうすることでさらなる観光客増にも繋がります。そうした好循環が実現する可能性は高いと思われます。
札幌の自然にはそれだけのポテンシャルがあると私は考えます。そのためには、一日も早く整備すべきところを整備し、札幌市、あるいは札幌市民が積極的に情報発信していくことが必要のように思われます。
はたして課題に対して正対していたのかどうか自信はありませんが、思うことの一端を述べさせていただき、私の回答とします。
公開講座「明日の観光を考える」受講者 〇〇 〇〇
近年は、〇〇ツーリズムと称することが一般的にさえなってきた。このことは、これまでの単なる物見遊山的観光から、何らかの意味を持たせた観光へと観光自身が変容を見せていることだと思われる。
これまでの観光が、どちらかといえば大勢の観光客が訪れることによってその地の自然に負荷がかかると考えられていたものが、観光客に来てもらって、そのことがさらに自然環境の保全に役立つことに繋がるというエコツーリズムの考え方は、観光地にとっても積極的にその考え方を普及・発展させる必要があると思われる。
北大の公開講座「明日の観光を考える」の第2講が11月17日(木)にあった。
前半は、前回の講師(木村特任教授)が自ら出した課題に対して、受講者が提出した回答を紹介しながら講師がまとめるという形だった。
驚いたのは、相当多数の回答が講師に寄せられていたことだった。(その中に私の一通も含まれていた)受講する皆さんがかなり高い関心を抱いて受講していることの証のように思えた。
私が嬉しく思えたのは、私が回答した「札幌緑の回廊構想」を取り上げてくれたことだった。講師の木村特任教授は、札幌市が発行した「札幌緑の回廊構想」の冊子を探し出してくれたようだった。
さらには、市内に設定されているウォーキングコースをうまく繋いでみる、という私の提案に対しても、指導する学生たちを指導して実際にコースを繋ぐシュミレーションしてみた図を示してくれたのは嬉しかった。
他の方の回答では、実際に札幌市を中心としたロングトレイル構想を提案した方がいて、ウォーキング、あるいはフットパスに取り組んでおられる方が相当数いることを感じさせてくれた。
続いて、第2回目の講師である下休場教授が「自然・文化の保全と地域活性化につながるエコツーリズムとは」と題して講義され、やはり私たちに課題を提示された。
その課題とは、当初次のようなものだった。「札幌市には毎年、約1,300人の観光客が訪れます。これらの観光客に歩いて楽しんでもらいたい、あるいは自分自身が歩きたいエコツアーやフットパスの土地を選定し、コースを提案してください。また、そのコースの魅力とその提案理由を簡潔に述べてください。対象地域は、札幌市とその周辺とします」というものだった。
ところが、その課題が前回の木村特任教授の課題と重なると考えたのか、急遽次のように変えた課題を提示された。その課題とは、「札幌のオープンスペース(森林、河川、公園緑地、農地)、動植物、景観の環境保全に係る活動としてのエコツーリズム」というものだった。この問いだけでは、今一つ訊かれていることが分かりかねたので、前の問いも重ね合わせながら、回答を考えてみた。その回答が以下のようなものである。
北海道大学メディア・観光学高等研究センター
下休場 千秋 教授 さま
昨日の講義ありがとうございました。
エコツーリズムの発祥の地がアフリカだったとは初耳でしたし、少々驚きでもありました。しかし、その理由をうかがうと、「なるほど」とも思いました。
さて、いただいた課題についてですが「札幌のオープンスペース(森林、河川、公園緑地、農地)、動植物、景観の環境保全に係る活動としてのエコツーリズム」について考えよということでしたが、いただいた課題を十分に咀嚼できないままの回答となってしまうような気がしますがお許しください。
エコツーリズム的観点から札幌を考えたときに、札幌の最大の特徴は自然が非常に身近にあるという点ではないでしょうか。これほど都会と自然が隣接している都市を私は他に知りません。
その代表格が「藻岩山」だと思います。都心から車で僅か15分で登山口についてしまい、そこから直ぐに登山が楽しめる大都会など聞いたことがありません。その藻岩山もいたずらに人の手が加わっていないのも魅力です。
林間を縫い、ひと汗かいて頂に立つと札幌市内が一望できるというシチュエーションも大きな魅力です。
藻岩山からもう少し郊外へ行くと、「三角山~藻岩山~奥三角山の縦走路」もフットパスと登山の魅力を同時に味わえる魅力あるコースだと思います。
この他にも、札幌では少し車で走ると手軽に登山やフットパスを楽しめるところが数多く存在します。しかも、それらのほとんどは環境保全の面でも配慮され、特に問題となるようなところは少ないのではないかと感じています。
目を川の方に転じてみますと、札幌市内の中心を「豊平川」が貫いています。
私は冬期間に豊平川河口(石狩川との合流点)から豊平峡ダムまで7日間に分けてスノーシューで川沿いを遡行した経験があります。
この豊平川沿いを夏期間に歩いてみたいという思いがあります。(夏に川沿いを遡行することは、札幌市内部の河川敷を除いて現状では困難です)
私の経験から考えると、札幌市内から上流の川沿いを歩くことはかなりの困難に思われます。したがって、まずは豊平川の河口から既存の遊歩道までの河岸を人が歩けるようにフットパスコースとして整備していただけたらと思います。(それはけっしてコンクリート舗装をすべきということではありません)川の流れを間近に見ながらのリバーサイドフットパスは魅力あるコースになるのではないかと思います。
私が挙げたものは札幌の魅力のほんの一例だと思います。
都心からちょっと足を延ばせば、そこに豊かな自然が展開しているというのが札幌の大きな魅力です。こうした魅力をさらに整備し、発信していくことによって、札幌の魅力はますます多くの人を魅了することになるでしょう。
豊かな自然を体感した人は、けっして自然を壊したり、汚したりすることに手を貸すようなことはないと思います。ただ、それを信ずるだけでなく、やはり環境保全に対する啓発活動も同時に行っていく必要はあると思われます。
都心から近く、しかも魅力ある自然を体感してもらう観光。さらには、その地の環境が官民一体で護られていることを知った観光客は、その体験を必ずやSNSなどを通して発信してくれるでしょう。そうすることでさらなる観光客増にも繋がります。そうした好循環が実現する可能性は高いと思われます。
札幌の自然にはそれだけのポテンシャルがあると私は考えます。そのためには、一日も早く整備すべきところを整備し、札幌市、あるいは札幌市民が積極的に情報発信していくことが必要のように思われます。
はたして課題に対して正対していたのかどうか自信はありませんが、思うことの一端を述べさせていただき、私の回答とします。
公開講座「明日の観光を考える」受講者 〇〇 〇〇
近年は、〇〇ツーリズムと称することが一般的にさえなってきた。このことは、これまでの単なる物見遊山的観光から、何らかの意味を持たせた観光へと観光自身が変容を見せていることだと思われる。
これまでの観光が、どちらかといえば大勢の観光客が訪れることによってその地の自然に負荷がかかると考えられていたものが、観光客に来てもらって、そのことがさらに自然環境の保全に役立つことに繋がるというエコツーリズムの考え方は、観光地にとっても積極的にその考え方を普及・発展させる必要があると思われる。