監督の山戸結希監督がトークショーで語った「映画は第8芸術だから…」という話が新鮮だった。そうか、映画は第8の芸術なんだ、と妙なところで納得している自分がいた…。
「CLARK THEATER 2016」の最終演目は、若手監督である山戸結希監督の作品である「おとぎ話みたい」(2014年製作)と「あの娘が海辺で踊ってる」(2012年製作)の2作品だった。どちらも上映時間が50分前後の中編作品である。
「おとぎ話~」は、田舎の女子高校生が中央でダンサーになる夢を追い続けたもの、一方「あの娘が~」は、AKBに憧れる自意識過剰な熱海に住む女子高校生の姿を追う映画である。偶然なのか、それとも監督の関心事がそこにあるのか、二つの作品共に田舎の女子高校生の生態を追った映画である。
「あの娘が~」は監督の山戸結希が上智大学の卒業記念に製作した映画だという。だから私からみると、趣味の延長線上のような映画にしか見えなかったのだが、彼女はこの映画で業界関係者からは絶賛を博したらしい。そして「東京学生映画祭審査員特別賞」を受賞したということだ。
そして、その2年後に製作した「おとぎ話~」は、「日本映画プロフェッショナル大賞新人監督賞」を受賞している。
ここにいたって、日本の映画界の動きと、私の感性には相当の開きがあることを自覚せずにはいられない、ということを悟らされた思いである。
さて、そんな山戸監督が2本の映画の上映後、トークショーとしてクラーク会館ホールの舞台上に登場した。そして彼女が発したのが、リード文で触れた言葉だった。
※ 山戸結希監督です。
彼女が発した「映画は第8の芸術」という言葉に興味を抱き、調べてみた。そのことに対する説はいろいろあるようだが、定説としては第1が「文芸」、第2が「音楽」、第3が「絵画」、第4が「演劇」、第5が「建築」、第6が「彫刻」、第7が「舞踊」、そして第8が
「映画」ということになるらしい。
その順は、一説によるとこの世に現れた順によるものということだ。ということは、「映画」は新しい芸術ということのようだ。
山戸監督が口にしたのも、映画はまだまだ可能性がある表現手段であるので、さまざまな可能性を追求していきたいという文脈で使っていた。
私も「映画」に対して、「映画は最高のエンターテイメントである」と記した記憶がある。また「コストパフォーマンスにも優れている」と…。つまり「映画」は映画以前に現れた芸術を総合的に駆使して表現する手段と言えそうである。
今回の「CLARK THEATER 2016」は、正直に言って、若い感性にはなかなかついていくことができなかった私、という結論が導き出せそうである。
そんな私であるが、さまざまな層を対象とした映画が公開されている現代である。新しい試みにはもはやついていけないかもしれないが、「映画」そのものはこれからも楽しんでいきたいと思っている。