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田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

北大講座⑥ 日本における多文化共生を考える

2018-07-22 21:04:53 | 大学公開講座

 我が国は基本的に移民を受け入れない国である。しかし、グローバル化の進展は国境の壁を低くし、世界の人々は流動を続けている。また、世界各地の紛争によって移民(難民)を余儀なくされている人々もいる。日本における移民、さらには多文化が共生することについての話を聴いた。 

 7月16日(月・祝)の北大公開講座の第2講目は「移民、民族、アイデンティティ:多文化共生は可能なのか?」と題して公共政策大学院の池 炫周 直美講師が講義した。

           

 池氏はその名が示すように日本に国籍を持つ方ではなくカナダ国籍を持つ方である。両親が日本在住の韓国人(日系二世)だったのだが、その両親が日本からカナダに移住し、そこで生を受けたのが池氏だという。彼女は韓国、カナダの両国の国籍を得る資格があったが、カナダ国籍を選択したそうだ。

 彼女は自らの出自にも関わることから、日韓の移民政策、日韓ディアスポラの比較、多文化主義の可能性などを研究対象としたということだ。

 “移民”には、大きく分けて三つの動機があるという。その三つとは…

 ①強制的な移住(奴隷など)

 ②難から逃れるための移住(貧困、迫害、環境破壊、戦争など)

 ③より良い機会を求めての移住(仕事、教育など)

 

 どのような形であれ、世界において移民(難民)は確実に増えていることは事実である。また、基本的に移民を受け入れないとする日本も、実は一部限定的に移民を認めているという事実もある。

 講師の池氏はタイトルを「多文化共生は可能なのか?」としたが、本当は「多文化共生社会を作っていかねばならない」と言いたかったのではないだろうか?

 日本の移民に関しては、前述したように基本的には受け入れてはいないが、戦前には朝鮮半島から多くの人たちが強制又は自主的に日本に移住し、在日韓国人・在日朝鮮人として今なお多くに人たちが暮らしている。(在日コリアンと称する場合もある)

 また、日本が好景気に沸いた1990年代に労働者不足を解消する手段の一つとしてブラジルやペルーに渡った日本人の子弟にあたる二世・三世が出稼ぎの形で来日し、そのまま国籍を取得し、結果として移民となっている例も多い。

 

 池氏は事例として、先のような形で実質的に移民となっている在日コリアンのコミュニティと日系ブラジル人コミュニティを紹介した。

  在日コリアンは日本各地に存在し、その多くは日本に溶け込んでいるかに見える。しかし、一方で民族的な意識も高く在日本大韓民国民団、在日本朝鮮人連合総会といった組織を作り、独自の学校やコリアンタウンなど運営しながらも日本に定着しているようだ。しかし、歴史的な背景もあってか根強い差別意識に苛まれているとも聞く。

                

             ※ 大阪生野にあるコリアタウンです。看板には「御幸通中央」と書かれています。

 一方、町の人口の約15%が日系のブラジル・ペルー人が住んでいる町として有名な群馬県大泉町には「大泉町多文化共生コミュニティーセンター」が設置されていたり、ブラジルの食品などが揃うスーパーがあったりと、こちらは日本側から積極的に共生を図っているかに見える。

            

            ※ 大泉町にある多文化共生コミュニティセンターです。

 池氏によると、各国における外国人居住者(必ずしも移民とは限らない)の割合は◇日本(2%)、◇韓国(2.9%)、◇ドイツ(8.2%)、◇カナダ(海外出生者20%)、◇オーストラリア(海外出生者25%)だそうだ。

 世界的に見ると、日本や韓国はまだまだ少ないと言える。

 先にも記したが、これからの時代はグローバル化がますます進展する中で、移民を含めた人々の流動化は避けて通れない流れのように思える。

 という前提に立った時、それぞれの民族性を尊重しながらも、それぞれの地域において互いを理解し合いながら共に生きていくという社会(共生社会)を創っていくことが必要不可欠な課題なのではないだろうか?

 

 ※ 今日は12時から20時まで、8時間にわたってJAZZの音を浴び続けた。芸術の森野外ステージで開催された「NORTH JAM SESSION」に参加し、先ほど帰宅したばかりだ。綾戸智恵、上田正樹、熱帯JAZZ楽団、etc.etc.…。大感激の半日間だった。明日そのことをレポできたらと思っている。