戦後において日本人の寿命が急激に伸長し、いまなお伸び続けていることは周知の事実である。今や人生90年、いや100年時代ともいわれている。この高齢期をいかに生きるか、この課題に取り組む講師からお話を聴いた。
7月12日(木)夜、北大の全学企画公開講座「去る時代、来たる時代を考える」の第7回の公開講座があった。
この回は、「人生90年時代に自分らしく生きることを目指す」と題して、北大大学院保健科学研究院の村田和香教授が講師を務めた。
講義の冒頭に村田氏は「自分は作業療法士であり、さらには作業療法士を育てる立場の人間である」と話された。
不勉強の私は「作業療法士」なる職業についてほとんど知識がなかった。
村田氏によると、ここで言う「作業」とは、私たちが生活するうえでの活動の全てを指すという。つまり、「くらす」、「はたらく」、「あそぶ」といった日常生活に関わる全ての諸活動が、ここで言う「作業」だということだ。
そして人は「作業」を通して社会と接点を持っているという。逆に言うと、その「作業」のどこかに欠点が出てくると、社会との繋がりを持てなくなる恐れが出てくるということだ
したがって、作業療法士の対象となるのは、病気やケガ、もしくは生まれながらに障害のある人など、年齢に関係なく、日常の生活に支援が必要な人すべての人が対象となるということだ。
ということは、私たちシニア世代は作業療法士の対象となる予備軍ということである。
作業療法士は、支援を必要とする人々を「作業」を通じて社会との繋がりを作っていくためのお手伝い(支援)をする役割を担う人、というのが私の理解した作業療法士だった。
最近は、作業療法士とともに、理学療法士という名称もよく耳にする。この二つの違いは、理学療法士が身体の機能回復のためのリハビリを行うのに対して、作業療法士は社会適応に向けた心と身体のリハビリを行う職務という違いがあるという。
以降の話は私には難しかった。
つまり作業療法の実際に関するお話だったが、作業療法の場合はクライアントによってその対処方法は千差万別である。クライアントの心身の状況を的確に把握し、的確な対処方法を選択するという難しい作業がある。特にクライアントの心の状況把握はかなり難しいようにも思われる。
その対処方法について話された内容はちょっと専門的なこともあって、私は十分に咀嚼することができなかった。
村田氏は最後に、「自分らしく生きることを目指すために」として、次のようにまとめられた。
◇病気や障害を持っても、年をとっても、自分らしく生きることをあきらめるな。
◇自分の生き方に面白みや風情、華やかさなどを付け加えることが必要。
◇心身が健全であるように努める。
◇「してみたい」と考えることが大切。
◇「しなければならない」ことをしようとする気持ちも大切。
◇日々の自分の生活をより良くしようとする気持ち持つ。
◇自分の中でバランスよく生きようする気持ちを持つ。
いつか自分も作業療法士のお世話になるときが来るかもしれない。作業療法士のアドバイスを素直に聞き入れ、自分のQOLの維持に努めたいと思う。