「大人の遠足」と称して石狩市民カレッジでは、夕張市を訪れた。財政破綻をした背景、そこからの再起を図る夕張市について市役所職員からお話を聞き、その後「石炭博物館」、「幸せの黄色いハンカチ 想い出ひろば」、「滝之上発電所」を巡って歩いた「大人の遠足」だった。
※ 石狩市の所有するバスでの「大人の遠足」だったために割安で実現できたようだ。
7月11日(水)、石狩市民カレッジが講座の一環として「大人の遠足」と称して夕張市を訪ねる企画があり、参加した。この企画は、参加費400円(市民カレッジ生)だけでバス代の徴収はなく、道民カレッジと連携しているため7単位が取得できるという美味しい企画なのだ。(ただし、入館料など別に1,200が必要だったが)
本日のレポでは、夕張市の職員からお聞きした話で一項起こせそうにも思うので、そのほかの三カ所を訪れた印象を記すことにする。
【夕張市石炭博物館】
※ 夕張石炭博物館の概観です。
石炭博物館は旧北炭夕張炭鉱跡に立地された施設のようである。
博物館の建物は2階建てで、そこに常設展示があり、それに続く地下展示室・模擬坑道がこの博物館のセールスポイントらしい。
博物館は今年4月にリニューアルオープンしたということだが、博物館の周辺には1980(昭和55)年当時開館した観光客向けの売店などの廃墟がそのままになっていて、わびしさは隠せようにもない感じだった。
博物館の展示室に入ったが、正直な感想としては広い展示室を持て余している感じだった。特別に目を止めるような展示もなく、「これで入館料1,080円(団体は860円)は高すぎ!」と思ったほどだ。
※ 石炭博物館の展示場に展示されていた当時をしのぶ各種の掘削道具や安全対策器具です。
展示室からはエレベーターで地下展示室、並びに模擬坑道に導かれるシステムになっていた。エレベーターに面白い工夫が施されていた。エレベーターが下降を始めると室内が暗くなり、一気に地下坑道1,000m地点に向かうという仮想体験ができる仕組みとなっていた。(実際には地下2階程度のところ降りたと思われる)
石炭博物館の真骨頂はここからだった。
地下坑道のような形づくられた室内では、炭鉱の技術の推移、作業の様子、さまざまな発掘機械や道具が鉱員のマネキンとともに展示されていた。
※ 手掘りによる採炭現場の様子を再現した様子です。
※ 少し時代は下って、機械(機械名は分からない)を使用した採炭現場の様子です。
※ そして人力に頼らないで完全に機械化した採炭現場を再現した様子です。
中には大型機械(ドラムカッター?)が実際に動いているところを展示しているコーナーもあった。時代とともに、採炭現場が機械化だけではなく、安全対策にも進展が見られたことが良く理解できた。それでも悲惨な事故がかなり起こったようだが…。
その後、見学者はさらに地下に導かれた。そこは模擬坑道となっていて、採炭現場(切羽)を再現していた。そこには本物の石炭の層がはっきりと見て取れた。
石炭博物館の建物内の様子では入館料が高すぎ!と思ったが、地下展示室や模擬坑道を見物にして、「少し高いと思うが、妥当なところかな?」と思い直した私だった。
※ 模擬坑道を出ると、そこには石炭の露頭がありました。
【幸せの黄色いハンカチ 想い出ひろば】
こちらは、以前は見学料金など取らなかったはずだが、昨年リニューアルと共に見学料金540円(団体シニアは340円)が徴収されるようになったようだ。財政破綻した夕張市の再建のために協力するという意味のあるのかな?
※ 映画「幸せの黄色いハンカチ」の象徴的シーンを再現した黄色い旗がなびいていました。
展示そのものは以前見たときとそれほど印象は変わっていないように思えた。というのも、展示でイン使用的なのは、黄色いハンカチが屋外のポールにはためくところ、屋内の壁や天井に来場者が書き残したおびただしいメッセージが張り巡らされた部屋、そして赤色のファミリアの車である。
※ 当時の炭住の長屋が保存され、その中に映画に関する諸々が展示されていました。
あえてリニューアルした思えるところは、映画撮影時期と今日の夕張の様子を展示したパネル写真と、山田洋二監督のインタビュー映像が流れていたことくらいか?
まあ、夕張まで行ったら立ち寄ってみたい観光スポットということなのだろう。
※ 来場者が書き残したおびただしい黄色い紙片が張り巡らされていました。
※ 山田洋二監督、鈴木夕張市長などのメッセージが記されていました。
【滝之上発電所】
ここは一般の観光客では見学が叶わぬところである。
夕張市内を離れた夕張川沿いに、時代を経たレンガ造りの建物がある。この発電所は1925(大正14)年、当時夕張で石炭を発掘していた北海道炭礦汽船(株)が建設した水力発電所である。
※ 大正14年に建設されたというレンガ造りの滝之上発電所です。
その後炭礦汽船の採炭事業からの撤退に伴い、幾多の変遷を経て1994(平成6)年に北海道企業局に譲渡されたそうだ。発電所は老朽化に伴い、レンガ建屋の発電設備は平成25年に廃止され、隣に新しい発電機を備えて、平成28年10月から運転を再開しているとのことだった。
レンガ建屋の方は産業遺産(?)として保存されているようだ。
この発電所を見学できたのも、北海道の特別の計らいによって実現したようだった。
※ 内部に二つ置かれていた発電機の一つです。今は使われてはおりません。
以上、けっこう中身の濃い「大人の遠足」だった。