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北大法学科公開講座№2 外国人の流入にはプラグマテックに!

2019-08-06 19:48:42 | 大学公開講座

 世界はすでに自国以外に居住する人が2億5千万人を超え、グローバル社会に突入しているという。そうした中、日本も例外ではなく外国人の流入は避けられない状況の中で、私たちはそのことをどう考え、どう対応すべきかについてお話を伺った。

  北大の法学研究科附属高等法政教育研究センターの公開講座「外国人の流入と日本社会の変容」第2回講座が8月1日(木)夜に開講された。第2回目は北大大学院法学研究科の教授の尾崎一郎氏「異文化/他者といかに向き合うか」と題して講義された。

             

 尾崎氏はまず、前回の遠藤氏同様、日本における在留外国人の現状について話された。それによると、在留外国人全体で260万人、うち労働者170万人であり、17年~18年の1年間で10万人が増加しており、加速度的に流入する外国人が増えていることを指摘された。

 それでも現状では日本人に対する外国人の割合は2%程度だという。これが積極的に外国人労働者や難民を受け入れているドイツではすでにドイツ国民の23%が外国人だそうだ。23%ということは4人に1人近くが外国人ということになる。そうしたことから、ドイツの中では危機感を感ずる層が生まれ、そうした層が外国人排斥運動を展開していることがメディアで伝えられるようになった。日本において、果たしてどの程度まで外国人を受け入れていくのか、という議論はまだなされていないが、少なくとも今後ますます増えていくことは容易に想像される。

 そうした中で流入外国人(移民)をどう受容するか、について二つの道があるという。一つは、良好な包摂 ⇒ 魅力的な社会 ⇒ 移民の増大 ⇒ なお一層の包摂…(努力して良くなれば、より努力しなければならない)

 もう一方は、排除/敵対 ⇒ 周縁化・分断 ⇒ 排除/敵対…(排除しようとすれば、より排除に傾注しなければならない)

 このようにどちらの方法を取っても受容する側にとっては困難が待っているという。そのことを尾崎氏はlesser evilの選択」と表現した。その意味するところは「どちらも悪い選択肢のうちで、まだましな方法を選択しなければならない」という意味だそうだ。

 私の理解では、ドイツは「良好な包摂」の方法を取ったが、その結果移民の増大を招き、そのことによってドイツ人自体がより努力しなければならない状態となったことに対してドイツ国民の不満が増大している状況にあると私は理解している。

 対して、フランスは移民に対して同化主義を取っているそうだ。いわゆる「郷に入っては郷に従え」式であるが、これも成功しているとは言い難いという。

 それではどうすれば良いのか?世界的に明確な成功モデルは存在しないようだ。そうした中、尾崎氏は「教条的にではなく、プラグマテックに!」と提起した。このことは、流入外国人に対して、それぞれの国の文化の根幹に触れる部分については教条的にはならずに寛容に接し、その他の部分については実利的・実際的に接しながら包摂していくことではないか、と尾崎氏は言われたと私は理解した。いずれにしても、前述したように流入外国人は今後増加傾向にあることは間違いない。そうした中で、我が国にとっても、流入外国人にとっても、プラスとなるウィンウィンの関係をどう築いていくのかが大きな課題となってくるようだ。