北国北海道もこのところ連日気温が30度以上の真夏日に見舞われている。このことを私は“一瞬の夏”と呼んでいる。北海道で70年以上生活してきた私にとって、7月下旬から8月上旬の僅かな期間だけ人々は「暑い!暑い!」と嘆くが、やがて早々と秋が到来することを知っているからだ…。
“一瞬の夏”というと、ノンフィクションライターの旗手である沢木幸太郎が1980~1981年にかけて朝日新聞に連載した「一瞬の夏」を著したことで、私は一瞬にしてこの言葉の虜になった。
ノンフィクション「一瞬の夏」は、天才ボクサーと言われながら優しい性格が災いしてチャンピオンに届かなかったカシアス内藤を再起させようと沢木幸太郎自身がマッチメークに奔走するなど、内藤と共に闘い続けた夏を描写する作品である。結果はやはり最後の最後に内藤の優しさが彼の戴冠を阻んでしまうという結末を迎える。その夏の一連の出来事は沢木幸太郎にとってはまさに「一瞬の夏」のような感覚にとらわれたのだろうと思うと、沢木ファンである私でなくともこの言葉の魅力を感ずるのではないか!
以来、私は北海道の夏を想う度にこの“一瞬の夏”という言葉を思い出していた。
真夏日が続く札幌で、私がどのような状態かというと…。昨日、今日と午前中は児童館で子どもたちの学習支援をしているのだが、ただ立っているだけで汗がじわっと浮き上がってくるのだ。私がしていることといえば、子どもたちの学習の様子を後ろから眺めていて、躓いている子にアドバイスを与えるだけなのだが…。私の中では早く帰宅してエアコンの効いた部屋に身を置きたいと願望していることに内心驚いている私だった。
また、一昨夜、昨夜と札幌は熱帯夜を記録したという。吝嗇家を自認する我が家だが、二日共にエアコンをフル回転したまま一夜を過ごした。おかげて快適な夜を過ごせたのだが…。
というように、一年の中でもそうそう体験できない暑さを今体験している。
それでもこの暑さは“一瞬”なのだろう。8月も中旬を迎えると「あの暑さはどこへ行ったんだろう?」と思われる時がやってくるはずだ。それまでの“一瞬の夏”を楽しみながら、十分に味わおうと思っている。あ~あ、それにしても暑~いよ~!
※ 本日の写真は、私たちがボランティアで維持・管理している街路樹升内の花壇の花の写真を挿入した。