北大構内には五つのクラーク像があるとされている。その全てを観るという願いは叶わなかったが、三つの胸像と二つのミニ胸像を観ることができ、最終回の講座を無事に終えることができた。
※ 講座開始にあたり、ボランティアガイドの梶本氏から緑陰にてレクチャーをいただきました。
「めだかの学校」が企画運営する講座「さっぽろの古を訪ねて Ⅱ」の第6回講座(最終講座)を昨日10日(火)、北大構内を会場に開催し、無事終了することができた。
今年度のテーマは「お雇い外国人の事績を辿る」として、
◇第1回が講座全体のレクチャーと大通公園のホーレス・ケプロン像と黒田清隆像の見物
◇第2回がW.ホイラーやW.P.ブルックスの事績を辿って北大の第二農場へ
◇第3回が幌内鉄道を敷設したJ.U.クロフォードの事績を訪ねて小樽市総合博物館へ
◇第4回がクラークの影響で創立された札幌独立キリスト教会を訪ね
◇第5回がW.ホイラーの計画で建てられた旧札幌農学校演舞場とお雇い外国人に関わる絵画で展示されている道庁赤れんが庁舎を訪れた
そして、最終回の今回である。
最終回はお雇い外国人として最も著名で、後世への影響力も大きかったW.S.クラーク博士を取り上げることにして、北大構内にあるクラーク像を巡ることにした。北大構内のクラーク像は、
◇北大中央ローン
※ クラーク像の中でも最も有名な中央ローンのクラーク像を観る受講者です。
◇北大本部会議室
◇クラーク会館
※ クラーク会館三階に置かれているクラーク像です。
◇北大文書館
※ 北大文書館内の展示物を見る受講者たちです。
※ 北大文書館内に設置している石膏製のクラーク像です。
※ 文書館内には新渡戸稲造書の「Boys Be ambitious」の書です。これはレプリカですが、真書も保存しているとのことです。
※ 北大では成績優秀者にミニクラーク像を贈呈していたそうです。これはその一つではと思われます。
◇保健センター
の5か所にあるとされている。私たちは事前に見学が可能か否かを尋ねて歩いたが、本部会議室と保健センターは外部公開をしていないとのことで断念し、残り3ヵ所と、文書館と総合博物館にあるミニ胸像を観て回ることにした。案内は前回同様に札幌市の観光ボランティアガイドの梶本孝氏にお願いした。梶本氏は私たちの期待に応えていただき、今回も素晴らしいガイドぶりを披露していただいた。5つのクラーク像を観て回るだけなら、30分もあれば終わってしまう。ところが梶本氏はクラーク博士についての蘊蓄をあれこれと披露していただき、2時間たっぷりと使って私たちをガイドし、引率してくれた。その蘊蓄の一つに、クラーク博士が日本から帰国後に事業に失敗したりして失意のうちに人生を閉じることになってしまったことなど、私がこれまで知らなかったあれこれを教えていただくことができた。
※ 北大総合博物館内のクラーク博士コーナーに設置されているミニ胸像です。(右手)
以上6回にわたって「お雇い外国人の事績を辿る」というテーマのもとに講座を組んできたが、お雇い外国人が北海道を開発する初期において果たした役割には大きなものがあるが、さすがそれから150年近く経過するとそれらの痕跡を辿ることにも難しさがあった。訪れることができたところは、微かな点に過ぎず、その全てを今に観ることなど不可能である。私は最後に受講者に向けて「今回観たことを、皆さんのこれまでの知識と、これから得る知見を加え、それらを融合することによってお雇い外国人の事績をより深く理解していただければ…」と訴えた。それはまた、私自身への課題でもある。
今回の講座においては毎回受講者にアンケートをお願いしてきた。幸い毎回受講者からは高い評価をしていただいた。今は一連の講座を無事に終えることができ、ホッと安堵しているところである。