キリスト系の教会としてはとてもユニークな形をした教会だった。正面から見える大屋根の勾配が途中で変化する形や、ガラス窓に張られた幾何学模様の切り出した和紙がまるでステンドグラスのような効果を発揮していた。
「札幌聖ミカエル教会」は都心からはかなり離れた北19条に建てられていた。このあたりは明治、大正時代にはまだそれほど発展していなかったと聞くが、建設年が昭和35年というからもう住宅がいっぱいに建っていて市街地が形成されていたのだろう。
※ 「札幌聖ミカエル教会」の正面です。
その住宅街の中にひと際ユニークな外観を見せる「札幌聖ミカエル教会」が建っていた。建物全体はレンガ造りなのだが、正面から見ると屋根の形が途中から傾斜が変わっているのが一つの特徴だった。また、建物正面のガラス面に白い幾何学模様が施されていた。それは和紙を切り出して窓に張り付けたものだというのだが、面白い試みである。
建物の前には例によって〔札幌景観資産〕の標柱が立っていたが、そこには概ね次のように説明が書かれていた。
「この建物は1960(昭和35)年建築されました。設計者はチェコ出身の著名な建築家アントン・レーモンドです。軒先が低く葺きおろされ勾配が途中で変化している大きな屋根、室内に光を取り込むためのスリットを入れたれんが壁の配置、格子状のガラス窓に張られた幾何学模様に切り出した和紙など建物全体が安定感のある優しさがにじみ出ている」とあった。
こうしたことが評価されて〔札幌景観資産〕の一つに指定されたのだろう。しかし、私はここまで来てある疑問が浮かんできた。というのは、〔札幌景観資産〕に指定されている宗教施設がキリスト教関係施設に集中していることだ。これまで巡ってきた「日本基督教団札幌教会礼拝堂」、「カトリック北一条教会司祭館カテドラルホール」、「カトリック北一条教会聖堂」、そして「札幌聖ミカエル教会」と四つも指定されている。さらには〔札幌景観資産〕より格上ではと思われる〔景観重要建造物〕にも「日本福音ルーテル札幌教会」が指定されている。
※ 教会の裏正面です。こちらには教会附属の幼稚園の園舎が建っていました。
私の疑問はもうお分かりだろう。キリスト教的な施設に対して、仏教的あるいは神道的な施設が一つも指定されていないことに単純な疑問を持った。そこには指定するにあたっての基準が存在し、それに該当しないと判断されているとは思われるのだが…。札幌市内に数多く存在する寺社には一つも指定に値する建物はないということなのだろうか?いつかそのことを聞いてみたい気もしている。
《札幌聖ミカエル教会 情報》
◇所在地 札幌市東区北19条東3丁目4-5
◇建設年 1960(昭和35)年
◇構 造 レンガ造一部木造
◇指定年 2007(平成19)年12月19日
◇その他 教会行事がなければ見学可 ※ 事前に許可が必要
◇電 話 011-721-2446(札幌聖ミカエル教会)
◇訪問日 2021年11月6日