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最後まで魅せてくれた今年の日本シリーズ

2021-11-28 18:15:12 | スポーツ & スポーツ観戦

 結局、今年の日本シリーズはヤクルトスワローズが4勝2敗で日本一を決めたのだが、昨夜の対戦も延長12回、5時間強に及ぶ接戦は最後の最後までどちらに勝利が転がり込むのか分からない手に汗握る接戦だった。今年の日本シリーズは最後まで魅せてくれた接戦・熱戦だった。

 正直に言って一昨日に日本シリーズの話題を投稿した際に、「もう野球の噺を取り上げなくてもいいかな?」と思っていた。しかし、昨夜のようなしびれる試合を見せつけられると、取り上げないわけにはいかなくなった。

   

 本当に今年の日本シリーズは最初から最後まで野球ファンを魅了し続けた対戦だったのではないか。例えひいきのチームが敗れたとしても…。

 第5戦までの戦いについては一昨日の投稿でざーっと振り返ったので、ここでは昨日の対戦にだけフォーカスして振り返ってみたい。

 まずはオリックス先発の山本投手が魅せた!オリックスの絶対エース山本はけっして絶好調だったとは思えなかった。3回、4回と連続して先頭打者に2塁打を奪われピンチになった。しかし後続を難なく切って取るところに凄みを感じさせた。5回にはヤクルト塩見に詰まりながらのヒットを許し先制点を献上したが、失点はそれだけ。結局9回を1失点で乗り切った。沢村賞投手のプライドを見せつけたような投球だった。

 一方、ヤクルトの先発高梨も粘り強い投球をみせた。変化球を効果的に操り、オリックス打線に的を絞らせなかった。しかし、ヤクルトが先制した裏の5回裏、オリックスは1番福田がこれも詰まりながらのヒットで同点とした。するとヤクルトベンチはスパッと投手交代でスアレスをマウンドに送った。

   

 このあたりが昨夜の勝負の綾だったのではないだろうか?ヤクルトは第一戦で先発し好投した奥川投手の先発を回避した。奥川がまだ高卒2年目ということで中6日では負担が大きいと判断し、6人目の先発投手として高梨を送っていた。つまり高津監督としては高梨が5回途中までよく凌いだと評価し、信頼のおけるリリーフ陣に後を任せたのだろう。事実、その後スアレス、清水がそれぞれ2回、さらには田口を挟み、最後は守護神マクガフをもってきたのだろう。私は高津監督がマクガフを起用したことに疑問符を抱いた。マクガフは初戦で逆転を許し、第6戦では決勝点となるホームランを喫している投手である。しかし、高津監督は彼を信頼してマウンドに送ったところに高津監督の潔さを見た思いだった。

 一方、オリックスは9回を投げ切った山本に継いで、平野→能見→比嘉→富山と繋いで最終12回を迎えていたが、12回からマウンドに立った富山が簡単に二死を取った後に中島監督は吉田(凌)をマウンドに送った。中島監督のこの判断は何だったのだろうか?吉田(凌)は確かに1・2戦では好救援を見せていたが、第3戦には決勝2ランを浴びるなどこのシリーズでは危うさも覗かせていたのに敢えて2死から交代する必要があったのだろうか?迎えた塩見にレフト前にもっていかれ、暴投で2塁を陥れた後にヤクルトの代打の切り札川端が執念でレフト前に運び、虎の子の1点をもぎ取り、その裏をマクガフが抑えて日本一に輝いた。   

 1点をめぐる攻防は片時も目を離せない戦いである。いつ一発が出るのか? 致命的なエラーは出ないのか? 一瞬で勝負の行方が左右される試合展開は痺れるような緊張感の中で終始した。

 正直言って、今シリーズは投手陣に比べて攻撃陣が両チームともにやや不振だったことが、このような接戦続きの日本シリーズとなったようにも感ずる。そのためにシリーズのMVPが誰になるのか、NKK・BSの解説を務めた早川氏も候補の名前さえ明らかにしなかった。それくらい選考は難しいものになったと想像される。結果的は、ヤクルトの投手陣を好リードした中村悠平捕手が選出された。

   

 投手をリードするという捕手の役目は、素人が外から見ているだけではその重要性がなかなか分からない。解説の方々が中村のリードぶりを褒める場面が多々あったので、中村捕手のMVP選出には私も納得である。そんな中村捕手のリードで象徴的な場面があった。どの試合、どの場面だったかは忘れたのだが、中村のサインに投手が首をふった後の投球が見事にはじき返された場面があった。中村捕手の打者を見る目の確かさを見た思いだった。どちらといえば、一見地味な中村選手がMVPに選出されたことは今季日本シリーズの全戦が接戦続きになったことを象徴していたとも思えた。

      

 久しぶりに痺れる試合を楽しめたこの一週間だった…。

 

※ 本日も掲載した写真は全てウェブ上から拝借しました。