今秋三度目の自然観察会への参加である。今回のテーマは「木の実と紅葉」ということだったが、植物に対する造詣の深い指導員の案内によって興味深く木の実のことなどを伺うことができた。
昨日(10月31日)、北海道自然観察協議会の主催による「秋の円山公園」観察会が開催され、参加してきた。参加者は18名程度だったが、ほとんどが主婦層の方々だった。指導者が3名いたために3グループに編成されたが、私のグループの6名は私以外は主婦層の方ばかりだった。(一人の主婦に付いてきた小学3年生の子がいた)指導者の方は植物に対する知識が大変豊富な方に見えた。そしてグループに付いてきた小学生への対応をうかがっていると、学校の教師をされていた方かな?と思わせる方だった。
観察会はいわゆるメインの円山公園ではなく、坂下野球場の周囲の円山自然林の近くの森を散策するものだった。以下、私が書き留めることができたメモと写真によって観察会の様子を書き起こすことにする。
◆ツタ(ナツヅタ)
秋になって紅葉するのが一般的なツタでナツヅタと称されているという。一方で紅葉しないツタをフユヅタと称するそうだ。ツタは他の木に寄生する植物であるが、寄生した木の周囲を巻くようにして樹液を吸収するのではなく、自ら地中から水分や養分を吸収するために寄生した木に害を及ぼすものではない、との説明だった。
そのツタの蔓に実を見つけてくれた。山ブドウの実より小粒の実だった。
◆シンジュ
別名ニワウルシとも称される木であるが、木の全体像を写すことは出来なかった。写真はシンジュの種子である。シンジュの種子は写真の翼のような形の真ん中にあり、翼でもって母木より遠くに飛んでいける仕組みを持っている。
◆アカマツ
アカマツは北海道に自生する樹木ではなく、円山公園は明治時代に「円山養樹園」として北海道に適した樹木を探るための樹木試験場の目的をもっていたために、本州から移植したものが今に繋がっているとの説明だった。円山公園内にはそうした樹木がけっこうあるようである。独特の木肌をもったアカマツは北海道ではなかなか見ることのできない樹木である。
なお、アカマツの木の肌が一部剥がれてしまっているものがあったが、お聞きすると特に問題は無いとのことだった。
◆チョウセンゴヨウ
この木も全体像を写すことは出来なかったが、独特の種子が珍しかった。チョウセンゴヨウは松の一種であるから種子はマツボックリなのだが、形がちょうどパイナップルのような形をしているのが面白い。このマツボックリの中の実をリスたちが好んで食べているようである。
◆ユリノキ
この木も全体像は撮れなかったが、種子が面白い形をしている。この細長い種子の一片一片が剥がれて周りに散っていくという。
◆ブナ
ご存じのブナである。このブナも群生しているのは黒松内が北限ということで、札幌で見られるのは移植したから見られるとのことだった。ブナの実も見せられたのだが、残念ながらカメラには収めることができなかった。
◆カツラ
円山公園内には大きく育ち、すでに老木化したカツラをたくさん見ることができるが、写真のカツラもその一つである。説明では最初の代の親木はすでになく、見られるカツラの木は “ひこばえ” のものだそうだ。指導員の方がカツラの種子を見せてくれた。写真の種子は大きさ1mm程度である。そんな小さな種子が天を衝くような大木になる自然の不思議を感じさせてくれた。( “ひこばえ” とは、切り株や木の根元から出る若芽のこと)
◆スギ
この木もまた円山公園が「養樹園」だったことをうかがわせる樹木である。スギの木は北海道神宮の神社木として植樹されたそうである。スギが植わっている所は円山川という小さな流れのほとりである。スギの木は水分を大量に必要とする木のため、流れのほとりに植えられたそうだ。
◆サワラ
ここからは円山川のほとりから、丘の上の北海道神宮内に歩を進めた。
そこに植えられていたのがサワラである。これも神社木として植えられたそうだ。スギに対してサワラは水分をそれほど必要としない木なので丘の上になる北海道神宮内に植えられたようだ。スギの木もサワラの木もスクッと真っすぐに伸びているのが特徴である。神社木としてはそのような木が好まれたということだろう。
この他にもいろいろな木、種子、実を紹介されたが、聴き取れなかったり、メモしきれなかったりしたものも多かった。この日私たちが足を踏み入れたところは、私は普段あまり足を踏み入れないところである。しかし、興味深い木々が植わっていることを改めて知ることができた。観察会は四季毎に開催されているという。できればこれからも参加できれば、と思っている。
なお、この日は2度ほどエゾリスが私たちの前に姿を現したが、動きが早くカメラに収めることができなかったのは残念。