もちろん札幌交響楽団の演奏に心から浸った一夜だったが、演劇ユニット「TEAM NACS」のリーダー森崎博之さん、シンガーソングライターの半崎美子さんの瞬時に自分の世界に惹きこむ技にプロの素晴らしさを見た思いだった。
イベントの正式名は「札幌オリンピック50周年記念式典 & アニバーサリーコンサート」である。記念式典、あるいはアニバーサリーと銘打ってはいても、開催のねらいが2030年冬季五輪を札幌市に招致するためであることは誰もが承知しているイベントだった。
昨夜(3月26日)、札幌コンサートホールKitaraにおいて標記コンサートが開催されたが、幸いにして入場券が入手できたので参加することができた。
全体のプログラムは下の写真のとおりである。
オープニングは1972年の札幌冬季オリンピックの開会式入場行進曲「白銀の栄光」(山本直純作曲)の力強い演奏で始まった。そしてお三方(秋元札幌市長、鈴木北海道知事〈VTR出演〉、山下JOC会長)の挨拶があった。山下JOC会長が直接会場に顔を見せたのには正直言って驚いた。
そして期待のアニバーサリーコンサートが始まった。ここで札幌交響楽団は7曲を演奏した。残念だったのは事前に曲目が紹介されなかったことだ。途中でMCを務めた北川久仁子さんが曲目を紹介してくれたが、早口のために十分に聞き取ることができなかった。その中から聞き取ることができたのは、◇シベリウス/フィンランディア、◇プッチーニ/誰も寝てはならぬ、◇村井邦彦/虹と雪のバラード、◇ゆず/栄光への架け橋、◇ドリーム・カム・トゥルー/2017冬季アジア大会イメージソング、はなんとか分かった。
そしてアニバーサリーコンサートの最後に登場したのがシンガーソングライターの半崎良子さんだった。彼女は自身が創った「明日を拓こう」という曲を披露したのだが、曲を披露する前のほんの数分間マイクを握ったのだが、そこで瞬時に聴衆を彼女の世界観に惹きこんでしまった。彼女の歌に対する好き嫌いはあると思われるが、瞬時に惹きこむ凄さを見せつけられた思いだった。
休憩を挟んでのトークセッションでは、もう森崎博之さんの独壇場である。ステージに顔を見せた瞬間に、彼は聴衆の心を鷲掴みにした。原田雅彦さんをはじめとしていろいろなゲストが登場したが、もうすっかり森崎ペースで話は進められた観があった。話は当然のように2030年の冬季オリンピックの札幌開催を期待する声一色だった。
そしてフィナーレはトークセッションに参加した人たち全てがステージに再登場し、森崎博之作詞・作曲の「ともに生きよう」という曲、そして最後は河邨文一郎、村井邦彦の名コンビが創った「虹と雪のバラード」を全員で合唱して全てのプログラムを終えた。
2030年の札幌冬季オリンピック招致については賛否両論が渦巻いている状況である。オリンピックムーブメントに対する拒否的な言論もその声を高めている。確かにオリンピックは今岐路に立たされているとも言えるかもしれない。そうしたときだからこそ、成熟した都市・札幌がオリンピックの原点に立ち戻った大会の在り方を提示してほしい、と思っているのだが…。