大型客船が津波によって転覆し、そこからの脱出を図るというパニック映画である。フィクションとはいえ手に汗握る脱出劇は純粋に娯楽作品として楽しむことができた。
1972(昭和47)年に制作されたアメリカ映画で、大ヒットして続編が何本も作られた作品である。7月15日(木)、BSプレミアムで放送されたものを録り貯めておき、昨夜観たものである。
総トン数81,000トンの豪華客船「ポセイドン号」は1,400名の乗客を乗せ、ニューヨークからギリシアのアテネに向かっての航海中だった。ところが航海中に海中地震が発生し、その影響から大津波が発生したことにより、「ポセイドン号」はあえなく転覆してしまった。映画は1,400名の乗客の中のほんの一部の客が英雄的な牧師の道引きによって、脱落者を出しながらも転覆した船からの脱出に執念を燃やす映画である。その様はまさに「アドベンチャー」そのものだった。
英雄的な牧師フランク・スコットを演じるジーン・ハックマンは言います。「戦おうとしない者は神に見捨てられる」と…。しかし、脱出劇の中で次から次へと襲って来る苦難に対して彼は「あなたはどこまで我々を苦しめるのか。あなたになど頼らないから、その代わり邪魔しないでくれ」と叫び、彼は仲間を助けるために煮えたぎる湯の中に身を投げたのだった。牧師である彼はいみじくも「神は頼るべき存在ではなく、戦うべき相手である」と言っているように思えた。
※ 絶体絶命に追い込まれた牧師フランク・スコットは写真の場面で神に対して叫んだあと、力尽きハンドルの手を放し、煮えたぎる湯の中に身を投じたのだった。
余談ではあるが、この映画の続編「ポセイドン・アドベンチャー 2」の企画が持ち上がった時、ジーン・ハックマンにオファーがあったそうだが、彼はそれを断ったという。本編で亡くなったものが再登場するのは不自然だと感じたハックマンの矜持だろうか?
フランク・スコットの英雄的な活躍によって、1,200名の乗客の中からわずか6名ではあるが無事に生還することができ、映画はTHE ENDとなった…。楽しめた2時間だった。
主人公である牧師のセリフですが、ぼくが観たバージョンでは、
「神よ、あなたは○○氏を殺し、XX氏を殺し、そして△△婦人を殺した。まだ殺し足りないのなら(間)、わたしを殺せ!」と叫んで手を放し、熱湯か何かに落ちていったんでしたっけか?
あの場面は子どもながらに(小学生か中学生だったはず)、心にずしんと響きました。
天地がひっくり返った船のセットも見事で、逆さまのトイレがシュールだったり、パーティー会場で床から天井に落下(!)して、シャンデリアの中に落ちていく男性も衝撃的でしたー。
「パニック映画」としては、なかなか素晴らしい映画でした。
コメントいただいた牧師のセリフをいまだに鮮明に覚えているという記憶力に驚きました。文面からは4~50年前の話ですよねえ…。私は昨日のことも忘れてしまいますが…。