それにしても「泌尿器」とは言いえて妙な感じがした。女性も男性も尿器が秘密の箇所にあるということなのだろうが、英語ではどうなのだろうと調べてみた。すると、「The urinary organs」とあった。「urinary」は「尿の」という形容詞、「organs」は「器官、臓器」という名詞だった。ということは「尿の器官」ということだから、英語はごく普通のネーミングということがいえる。日本語はなぜかそこに特別の意味を添えているように思える。誰が名付けたのでしょうね?
4月8日(日)日本泌尿器科学会の設立100周年記念事業として全国各地で一斉に市民公開講座を開催したそうである。札幌では北大のクラーク会館を会場に開催された。
講座は、「女性に多い膀胱のトラブル」、「お父さん、おしっこの勢い悪くないですか?」、「増えている泌尿器がん」と題して道内各地の大学の泌尿器科の先生たちが講義した。
それとは別に「放射線の鋼材と最先端陽子線治療への期待」と題する放射線医学を研究する大学教授の講演もあった。

※ 公開講座前に会場内に映し出されたプログラムです。
上記のように講座が多岐にわたったため、私の関心事のみについて記すことにする。
まずは男性特有の症状である「前立腺肥大症」である。この病気には尿が出にくくなる「排尿症状」、尿がためられなくなる「蓄尿症状」、尿をし終わった後にみられる「排尿後症状」と分けられるそうだ。なるほどそう言われてみると程度の差こそあれ、身に覚えのあるところである。命に関わる病気ではないということもあり放っておく人が多いということだが、65歳以上では5人に1人は治療が必要だということだ。
命に直接関わらないとはいっても症状が進むといろいろな病気を併発するということで自覚症状のある人は医師の診断を進められた。
秘密の箇所の診断には恥ずかしさが伴うが、最初の診断はそのあたり十分配慮しているとのことだった。
次に泌尿器がんに関することだが、泌尿器がんには「腎がん」、「膀胱がん」、「前立腺がん」の3種があるとのことだ。
「がん」についてはどのようながんでも早期発見が大切といわれる。
「腎がん」の場合は、血尿、発熱、体重減少、わき腹痛、下腹部痛などがその症状として現れるという。
「膀胱がん」の場合は、血尿、排尿痛、頻尿、尿意切迫感などに留意が必要とのこと。
そして「前立腺がん」では、骨への転移があるのでがんこな腰痛などには要注意とのことだった。

※ 講座全体の司会をされた北大泌尿器科の田中准教授です。講師の方々は会場が暗くて遠いため写せませんでした。
最後に放射線によるがん治療について、研究の進歩によりピンポイント照射率が向上して、外科治療や化学治療(抗がん剤)以上の効果も望めるようになってきたという放射線医の講演があった。(もちろんリスクもあるだろうが…)
私たち人間は経年によって泌尿器ばかりでなく、さまざまな臓器に不具合を生じる率が高くなってきていることは覚悟しなければならないことである。
その不具合に罹る率を少しでも軽減するには、今回の講座でも各講師が力説していたが、禁煙・節酒・食生活の改善・適度な運動である。今さらストイックな生活をしようとは思わないが、できるかぎりこうした専門家の呼びかけに耳を傾け、自分の生活の中に取り入れていきたいと今回の講座を受講しても思ったのだが…。