鮎と戯れて・・・魚族に感謝

東北地方を中心とした短い夏のあまり多くない鮎釣りの記録。家族に感謝して。近くの広瀬川の環境等にも拘るも、オフは時事問題も

東北地方太平洋沖地震から11ヶ月

2012-02-11 21:29:24 | 思いつくまま

 早いですね、もう大震災から11ヶ月が経ちました。 そして寒いです、本当に冷え込んでいます。 心も萎えてきます。

 みなさまは読んでみましたか、この2冊の本。 辛い本ですが、去年の東日本大震災を忘れない、忘れてはならないと思っているのであれば、記憶しておくために是非とも読んでおくべき、また記録としても貴重な本だと思います。 こういうことが現実としてあったのだということを知っておく必要があると思います。

    

 この、「遺体」という本は、釜石市における遺体安置所で、いろんな職種の人が遺体とどのように対面したか、どのように動いたか、そのような人たちにに寄り添い続けた石井さんだからこそ書くことができた稀有な記録だと思います。 泥だらけの遺体がどのように悲惨な遺体であったかも分かります。一人ひとりの死が厳然とあり、決して員数として処理されるものではないことが分かるかと思います。

 くどいかもしれませんが、どのような人たちの活動記録だったか書いてみます。

 民生委員・釜石医師会会長・岩手県歯科医師会常務理事・釜石歯科医師会会長・歯科医・歯科助手・釜石市長・釜石市職員・釜石消防署署員・消防団員(3人)・陸上自衛隊員・海上保安部職員・葬祭会館社員・先寿院住職 の約3週間の動きを追い、遺体安置所で展開する様々な光景を記録しています。

 それぞれの人がそれぞれの任務を黙々とこなし続ける姿、悩みながら遺体と向き合い、苦悩しながら対応している姿が淡々と綴られています。 気が重くなる本ですが、読むべき、読み継がれるべき本だと思います、記憶を風化させないためにも。

 「取材を終えて」で筆者はいいます。 

 『 震災後間もなく、メディアは示し合わせたかのように一斉に「復興」の狼煙を上げはじめた。 だが、現地にいる身としては、被災地にいる人々がこの数え切れないほどの死を認め、血肉化する覚悟を決めない限りそれはありえないと思っていた。 復興とは家族や道路や防波堤を修復して済む話ではない。 人間がそこで起きた悲劇を受け入れ、それを一生涯十字架のように背負って生きていく決意を固めてはじめて進むものなのだ。 ・・・ そこに(遺体安置所)集った人々を追うことで、彼らがどうやってこれほど死屍無残に散乱する光景を受容し、大震災の傷跡から立ち直って生きていくのかを浮き彫りにしようとしたのだ。 ・・・ (釜石市では)街の機能の半分が津波の直接的な被害を受けずに残ったことにより、同じ市内に暮らす人々が隣人たちの遺体を発見し、運び、調べ、保管することになった。 私はそこにこそ、震災によって故郷が死骸だらけとなったという事実を背負って生きていこうとする人間の姿があるのではないかと考えた。 遺体という生身のものを扱うことでそれはもっとはっきりしてくる。 』

 もう一つは、心温まる本です。 数年前映画「おくりびと」が感動を与えてくれましたが、この遺体を復元する人、「復元納棺師」の命の活動はとっても感動的なものです。 身内のむごたらしい死を受け入れるためにも、こういう仕事をする人が必要なのだということが分かります。

    

 表紙カバーの裏に書かれている文言;

 ”” 「うん、ママだ・・・・ママだ・・・・」 2011年3月11日、東日本大震災。 津波がうばった母親の面影を、ひとりの女性が生前の姿にもどしていく。 何時間もかけて、ていねいに、絶対に元にもどすと思いながら。 その手で復元された生前の姿に、家族はようやく涙を流し、子どもたちはお別れを告げることができるようになる。 人の最期の姿は、残された家族の今後を決める。 ””

 『故人を見送る最期の顔が変われば、記憶も変わる。』

『だれでも、どこにいてもできる支援が存在する・・。・・・ 忘れないってことだよ。みんながこのできごとを絶対に忘れないってこと・・・それがつながるってことなんだと思う。忘れないことこそ最高の支援だよ』

 復元納棺師、笹原留似子さんが復元した遺体の数は、震災後5ヶ月で300体を超えたそうです。

 

 最後に、AERA 2012.1.2-9 の姜尚中「愛の作法」第222号です。「数字で語れない3・11願わくば来迎引接(らいごういんじょう)」からの引用です。

 『 (遺体の)検視に立ち会ったり、何らかの形で世話しなければいけない自衛官、消防隊員、警察官もいたと思うのですが、そうしたことへの想像力を私たちは共有できていないのではないか。・・・・ 今後、犠牲者が死の間際までどういうふうに、何を思って、どうしていたのかを想像してみる必要があると思います。 』

コメント (2)
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