
前回のつづき。
04:30
夢を見ていたようだ。ふと目が覚め一瞬自分が何処にいるのか分らなかった。テントのジッパーを開け外を見るとやはりここは青年小屋テント場。濃い霧が出ているものの雨は上がっている。テント生活をして迎える朝はいつも緊張する。やはり撤収に向け天気がいいに越したことはない。
一安心しつつ外に出てあたりを散策。しばらくは霧の中だったが、時間が経つにつれ時おり前の日に登頂を果たした権現岳の岩場が見え隠れしている。どうやら二日目は晴れそうだ。
その頃には他のメンバーも起床、早速朝食の準備。

これまで我が登山隊の朝食といえばこれまでずっとパンだったのだが今回は何かの雑誌で見て試した「フルーツグラノーラ入りパンケーキ」。別にパンでもいいのだが、たいていザックに詰められてつぶれてしまっているので何か別の朝食はできないものかと常々思っていた。
コーヒーと共に食べ一休み…、かと思ったら撤収及び出発準備の時間だ。何せ天気がいいので青年小屋から行けるもう一つのピークである編笠山で景色を眺めてから下山しようということになったのだ。
七時過ぎにテント場出発。前日の疲れが残る足腰にムチを打ち大きな石が転がるルートを歩き始めた。重い荷物を背負っているので結構タイヘン。

岩場を越えると展望が開けてきた。青年小屋も下に見える。そして低木の林を抜けいよいよ編笠山登頂。



これまで2000米を越える山頂にいくつか登っているが、これまで見た山頂からのどの景色にもひけをとらない眺め。360度の展望の中、雲海の先に富士山や南アルプス、そして振り返ると八ヶ岳の山並み。前日の権現岳は登頂したということに対する喜び、そして編笠山ではその山頂からの景色に満足感を味わうことが出来た。
その後岩場を下り雲の中の原生林を歩き下山。富士見高原の温泉に浸かり、ビールでココロもカラダもフニャフニャになりつつ帰路に。
帰りの電車の中で、あの権現岳の岩と編笠山からの景色に体の中のどこかが突然変異を起こしてしまったかも知れないなぁ、とワンカップワインにふんわり酔いながら考えていた。
おしまい。