「BMWミニ」「フィアット500」「ホンダN-ONE」等、現在は過去のクルマのオマージュ系の花盛りである。その先鞭を切ったのが、「ニュービートル」だったのかもしれない。
そして、それは「ザ・ビートル」に進化したという。ニータ氏と私は、それを確認すべく、VWのお店へと向かった。
この「サターンイエロー」という淡い黄色のカラーが素晴らしい。
初代ルノー・カングーのグレイッシュなイエローも良かったのだが、ザ・ビートルも黄色の似合うクルマだ。
試乗させていただいたのは、「デザインレザーパッケージ」(7DSG:税込車両本体価格303万円)だった。
近年の欧州車の例に倣い、このクルマも全幅1815mmと、幅の広いクルマだ。
この張り出したフロントフェンダーが、運転時のプレッシャーになるのではなかろうかと、私は恐れおののいていた。
だがしかし、実際に公道に出てしまえば、車幅はさほど気にならなかった。
ボンネットがしっかり見えるので、その辺はミニヴァンルックの国産車よりも、むしろ車両感覚は掴みやすい。セールスマン氏によると、「ニュービートル」よりもこの「ザ・ビートル」の方が、フェンダーの張り出しが若干薄いので、取り回し性は向上しているとのことであった。まあ、パーキングは試していないので、その辺について実際どうなのかは判断できませんが・・・
エンジンやトランスミッションなど、ゴルフと共有部品の多いクルマだが、印象は結構違う。質実剛健なゴルフと比べると、デザイン全体の「ゆる~い感じ」が、なんとも心地いい。
とはいえ、電光石火のDSGや優れた直進安定性には、やはりVW車ならではの緻密さと骨太さを感じる。
なお、ビートル代々のアイコンともいえる「一輪挿し」については、税込4200円のオプションとのこと。
また、当然のことながら、「テンポラリースペアタイヤ」は標準装備。過去数度のパンク経験を持つ私には、見逃せないチャームポイントである。
ザ・ビートル。日本ではほぼ絶滅したといえるスペシャリティ・カーだが、欧州車には、まだそれが残っている。
しかも、本革シートでない素の仕様であれば、税込車両本体価格250万円なのだ。お買い得とまでは言えないながらも、決して、高くはない。大したものだ。VWには、またしても降参です。