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『旗本夫人が見た江戸のたそがれ―井関隆子のエスプリ日記』

深沢秋男、2007、『旗本夫人が見た江戸のたそがれ―井関隆子のエスプリ日記』、文芸春秋 (文春新書 606)

幕末の旗本婦人が残した日記をもとに、幕末の裏面史を明らかにしようとする。裏面史といっても、何か隠されていた事を明らかにするというよりも、むしろ、公式記録を補間するという事であろうか。ただし、加えて、当時の旗本の生活も伺い知る事が出来るという意味に置いても、貴重な日記を新書のかたちで明らかにしたのは、大変面白い。
歴史的知識の常識、例えば、江戸時代の人々は自分の住まいからはなれる事は難しかったとか、女性は虐げられていたとか、明治維新で改めてそうした封建遺制から免れる事が出来たという定番史観から免れる事の出来るもののひとつが、こうした日記に基づく、歴史の再構成であろう。
家に閉じ込められた女性の日記ではなく、様々な教養にあふれ、離縁(どのような理由かは本書では明らかにされたい)された後、後妻にはいり、なさぬ仲の跡取りの息子や孫との関係をうまく維持しつつ、彼らの得た江戸幕府における職責の中で知り得た情報を日記に記す。まさに彼女は、明らかに、後世に残る事を意識しつつ書き残し、その事は、彼女の確立した地位に置いて、当然知りうる情報であった訳である。
読むべし、そして、江戸末明治に関する自らの歴史知識を疑うべし!

旗本夫人が見た江戸のたそがれ―井関隆子のエスプリ日記 (文春新書 606)
深沢 秋男
文藝春秋

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2008-03-04 21:02:35 | 読書 | コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


シドニー・チャイナタウン「東海酒家」

今日は、午前11時にシドニー大学、午後18時にシドニー工科大学にアポがあって、その間、シドニーのジャクソン湾口のマンリーにいって、前から何回かいった事のある「barking Flog」で昼食をとった。
今の季節は、当地の大学では新学期が始まったところらしく、教科書を買うためにキャンパス内の書店は長蛇の列である。
オーストラリアは、みんな寛容に列を作る。また、順番が曖昧なときにでもたいがいの人が我先にではなく、誰が自分よりも先にいるかを気にしているようで、押し出しの弱い「日本人」がまごまごしていると、「おまえだ」といってくれる。この点、なんとか横入りしてしまおう、誰も気にしちゃいない、などと考えるどこかの国とは違う。神様が見てるという訳ではなく、やはり、いろんな人がいる以上、何か、超越するルールには従う、という、認識であろうか。
とはいえ、夕方のミーティングでわかるが、オーストラリア人は、他人の事は認めたがらない。例えば、共同のプロジェクトをやればいいと思うが、そうではなく、何かと、他人に難癖(というほどでもないのだが)をつけて、一緒になりたくない、という意向を表明しがちである。だから、こちらは、各戸撃破という事になるのだけれど。別のグループを引き合いに出してもよい。どうして、大きなグループが出来ないのかと思うのだれれど。

シドニー・チャイナタウンの「東海酒家」は、もう10年以上も通っていて、知り合いになったフロア・マネージャーの「レオン」とは、久しく顔見知りだった。今回、見かけないので聞いてみたら、どうも独立してどこかでカフェを出したらしい。それはそれとして、彼の前途を祝いたい。それに変わって、ごひいきにといってきたのが「クリス」だ。顔には覚えがある。

ピータンとクラゲのサラダ
シルバー・パーチの清蒸

クリスは、シルバー・パーチは真水の魚だから泥臭いから、パロット・フィッシュをすすめるといったのだけれど、でも、泥臭いからいいので、勧めには従わなかった。

東海酒家にて:

2008-03-04 20:33:23 | 夕食・外食 | コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )