洋泉社新書yの増補改訂版。NHK大河の「鎌倉殿の13人」を見ていることと、昨年あたりから伊豆に遊びに行ったついでに北条氏関連の遺跡を見ていたことに関連して、つい手が出てしまう。「御家人」という呼び名そのものが、鎌倉殿こと頼朝の家の者を指しているとの指摘で、納得。鎌倉時代からの武家政権の始まりがよく理解できる。また、補遺のなかに書かれている神護寺の「源頼朝像」の真贋についての論考、面白く読んだ。頼朝の地位である右近衛大将と新たにこの像の人物と比定される足利直義の地位である左兵衛督を根拠として、やはり源頼朝だとする論旨、面白く読んだのだが、ただ、もう一つ根拠が必要なのではないか。同じ時代に描かれた肖像画が地位の左右と描き方の左右とが合致している事例を色々と並べてもらうとより説得的だと思うのだけれど・・・。
和漢文調の「吾妻鏡」を古文に書き下し、さらにそれを、ざっかけない現代文に書くという手法で頼朝一家である「御家人」たちのリアリティがましたと思う。楽しく読み進めることができた。