『木に学べ:法隆寺・薬師寺の美 (小学館文庫)』
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最後の宮大工西岡棟梁の語り。木造建築の素晴らしさ、それに引き換え、鉄を中心とする近代建築との違いを指摘する。そもそも、火災を免れれば、地震に耐え、千年以上の命を永らえてきた木造建築に対して、全く歴史的な証明がなく、明白に酸化という大問題を抱える鉄、現代に生きる宮大工棟梁の葛藤が法隆寺五重塔の解体修理という経験に裏付けられた語りが重い。
ましてや環境破壊の結果、大きな木造建造物を再建しうる巨木を見出すことは困難な現在、それに変わる鉄構造物+コンクリートに頼らざるを得ないのだが、はたして、それに代替できるのか。むしろ、巨木をいかに保全再生するかのほうが喫緊の問題であると思える。
西岡棟梁の語りは、現代社会の本質をついていると思える。
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