子供たちは等しく社会の財産であり、すべての子供たちを大事に守る義務が社会にはある、というのはわかりきった話では決してない。この社会は現実にそんなふうにはできていないし、大人たちの誰もそんなことは考えていない。もしも考えていたら、夜の繁華街に子供たちがいるはずがないし、夕食も食べずに塾に通う子供も、駐車場に放置された車の中で死ぬ幼児もいないだろうし、人知れず親に虐待される子供の数も減るはずだ。端的に、この国では今、子供たちは大事にされていないし、彼ら自身がそう感じているのである。
高村薫『半眼訥訥』(文春文庫)
県都の駅前広場、午前9時50分。
磨かれた石で設えられたベンチがあり
そこに膝を抱えたように眠っている娘たちがいた。
こんな風景は日常なのだと思う。
ひんやりした石の感触が、夜遊びの娘たちには心地よい。
そんな国を作り上げてきた私たち。
高村薫『半眼訥訥』(文春文庫)
県都の駅前広場、午前9時50分。
磨かれた石で設えられたベンチがあり
そこに膝を抱えたように眠っている娘たちがいた。
こんな風景は日常なのだと思う。
ひんやりした石の感触が、夜遊びの娘たちには心地よい。
そんな国を作り上げてきた私たち。