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遅ればせの読書メモシリーズ①

2012年07月09日 | 読書
 手に入れながら,なかなか感想を書き出せないままの本が結構溜まってしまった。
 今まで続けてきたことだから,夏休みに入るまでには,一応の短いメモを残しておきたい。
 まずこの本である。

 『対話がクラスにあふれる!国語授業・言語活動アイデア42』(石川晋 明治図書)

 国語科実践,学級づくり実践集として,とても魅力ある内容だし,多くの中学校,小学校高学年の教室で取り入れられたら楽しく活発な活動になるだろう。
 しかし,やはり肝心なのは第4章までの理論編である。
 石川さんが今までブログ等で語っていたことが整理されて,その立ち位置が明確にされている。
 「対話」は,流行りのキーワードだが,石川さんにとっては不易の姿勢なのだと思う。

 対話に慣れない,唯一解を求めたい,考え方に柔軟さを欠く私のような世代(こう括るのは極端かもしれない)にとって,遠くにあって,かつ眩しく光放つ存在のように見える。
 教育にとって,人との関係性をどう作り上げていくのか,という点は大きい。
 そしてそれは自分が今まで学んできた,築いてきたことを抜きには考えられないものだ。
 従って,WinWinを目指したり,相反するAとBからCを導きだしたり,それらの重要性を頭では十分わかっていても,心や身体で追いついていけないもどかしさを抱える人は少なくないだろう。

 自分もそう感じながら,それでも今年「共に学び,共につくる力を伸ばす」…こんなふうに目標を掲げた。
 この本には,そこへの筋道をたどるための,貴重な実践群があふれている。
 またそこにある自覚的な教授行為を取り出してみれば,新しい実践の創造のヒントとして役立つことも多いはずだ。

 現状を素直に語れば,「対話」と言いながら,かなり予定調和的なことに支配されている学校現場がほとんどではないか。
 自分で開けられる風穴の大きさや位置をしっかりと把握して,この本と対してみたら面白いと思う。
 著者が描いたデザインの形や色,その一部分であっても継続的に取り上げられれば,そこに生まれるものは小さくない。