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遅ればせの読書メモシリーズ②

2012年07月10日 | 読書
 この本もネット上で話題になっていた。

 『先生!親ってそんなに怖いんですか? 親対応の基本中の基本』(星幸広 立花書房)

 著者は警察のキャリアを重ねてきた方で,現在は学校の危機管理を専門に大学で教えたり,講演活動を行ったりしている。
 組織論,人間関係の調整を図る仕事論と括っていいと思うが,実に明快である。
 それはまた,学校という組織が外に対していかに脆弱かを物語っている内容だ。

 今学校に求められている「信頼のあり方」については,大きく再考すべき時期であることは間違いない。
 都市部ではもちろんだし,こんな田舎の学校においても,情報化社会がもたらした価値観の多様化への対応は時を待たない。
 保護者や地域社会に対して受容的にかつ友好的なスタンスを貫こうとするだけでは,現実的に立ち行かなくなるだろう。

 保護者の変化の理由として掲げられた三つの事項があった。
 その最後にある「長年にわたる学校の対応のまずさ・誤ったリードの積み重ね」は,具体的にこんなことではないかと,職員間で話し合っておくことも大切ではないか。
 「荒波を立てずに」「何より表沙汰になることを極力さけて」という事ばかりに目が向き,組織としての本質,教育機関としての役割に立ち戻れなくなってしまっていることを直視したい。

 大人を変えることは私たちの仕事ではない。
 子どもの変容を通して保護者や地域に働きかけることが主であろう。
 しかし今,組織人として,責任の重い職業に携わる人間として,ぴしっとした態度を持ち続け,厳として示さなければ,子どもの成長保障どころではなくなる。

 キーフレーズを挙げておくと,以下のようになる。

 常に積極策を
  
 情報の終着駅にならない
  
 問題ある保護者を取り込め


 もちろんクレームがないことに越したことはないが,クレームによって一皮むけることもあるし,本質的なことに気付かされる場合も少なくない。
 現に数か月前に痛切に感じたことがある。もの別れに終わったが,反撃?に転じられたのは,自らの信念しかなかった。

 見通しを持ちながら「攻めの発想」を手放してはならない。