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また遅ればせの読書からふりかえる

2012年07月18日 | 読書
 自分が担任をしていた頃に,学級経営や授業を考え,組み立てていくとき,いくつかのキーフレーズを持っていた。
 90年代以降,「システムとレパートリー」が大きな位置を占めていた。
 藤岡信勝先生の言葉だったと記憶している。

 今でもその言葉を引きずっているような仕事をしているが,堀裕嗣さんの著書に触れると,つくづく自分の抱えているスタイルの古さということを思い知らされる。

 『教室ファシリテーション 10のアイテム 100のステップ』(堀裕嗣 学事出版)

 題名だけを取り上げても見えてくるものがある。
 語義として正確とは言えないだろうが,システムは固定的なイメージが強いし,アイテムは流動的・選択的ととらえられる。
 その意味で難易度や目標に段階はあるけれど,アイテムという提示の仕方はやはり新しい。汎用性が高い。
 そしてレパートリーは単発で羅列的だが,ステップは段階であり関連が強い。


 実は昨年9月,新潟十日町の研修会で「毎時間に8分以上のグループの話し合いを入れる」ということを語った堀さんの意図を理解はできたが,少しイメージできない部分が残っていて,これらのアイテムによってすっと入った気がする。

 さて,小学校教員の立場から,これらのファシリテーションのいくつの取り込みが有効かという点がどうしても頭をもたげる。
 高学年で意欲的に導入を企てれば半分程度はそんなに困難なことではないだろう。
 個人的には,それよりもこうしたファシリテーションをこなしていくために素地になる力を,どんなふうに教育課程や実際の学習活動として組織するかという点に興味がある。
 堀さんは,その点に関しても新潟十日町の六年生相手に授業提示してみせたとも言えるだろう。
 http://blog.goo.ne.jp/spring25-4/e/a9d65af11cd1a3655eb0c9627d624f94

 読むこと,書くこと,聴くこと…それらの活動で培う力を生かしながら話し合いに入り,そしてまた読み,書き…そのスパイラルが子どもたちを鍛えていく。
 グループの話し合いを8分と言ってみせたところに,100のステップの揺るぎなさが詰まっていると予想がつく。