すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

ファッションとしての言葉

2012年11月10日 | 雑記帳
 秋田市で行われた国語教育の東北大会に参加した。

 事情があって中学校の分科会へ。各学年7~8学級規模の大きな学校だった。
 
 授業も発表も充実したものだった。そのことについてはいずれ何かで振り返りたいが,学校ウォッチャー,特に言語環境ウォッチャーを自称する(今ですが)私には,教室掲示が気になって…。

 授業者の教室の正面掲示に,ほほおぅと思った。
 図化は難しいので言葉のみにて説明すると…

 ○○組の団結力に注意!
 ~うちらの愛,なめんなよっ~


 ○○は担任の姓。交通標識の「stop」マークを配し,まわりを「keep out」の黄色い線で斜めに囲む,なかなかこじゃれたデザインである。

 昨年訪れた近隣の中学でも一クラス目についたものがあったが,ここまでくだけてはいなかった気がする。
 まあ,さすがに県都の大規模校,授業を見るとなかなかの熱血教師系でもあるしこれもありかな…隣の教室を覗いてみたら,ごく普通のものだったし…と,次の時間に訪れた別棟同学年教室の正面を見上げたら…

 天下統一,よんくみこ
 ~○○将軍,今行くぜよん!~


 と,きた。ここも○○は姓のようだから担任だろう。

 これはこれは。一種のブームだろうか。
 念のためと思い,生徒の来ていない隣の教室を見てみる。

 団結○組
 DANGO
 和菓子でも買えない○組の愛


 ○は組名で,担任の名前も下部に配置されていた。

 
 「ファッションとしての言葉」

 そんなふうな思いが浮かぶ。
 もちろん,担任にはそれなりの考えがあり,指導の末に掲示したわけだろう。
 だからその言葉をファッションではなく,身体化,内実化したいと願いを持っている。
 例えば,単に「団結」とか「集中」とか掲げるよりは,生徒の気持ちをひきつけ,鼓舞できるのではないか,という考えなのかもしれない。
 また生徒中心に製作させることの意欲付けは当然あろう。

 しかし,それにしても劇画っぽくないかい。
 個人的には正面掲示の効用の一つには,随時その言葉を取り上げて行動を促したり律したり役目があると思う。だから担任はその語を取り上げる心構えを持っていなければならない。
 そこに「愛」を持ってくるのは,少々重すぎるし,イメージのみの上滑りが予想される。

 そんなことをつらつら思いながら廊下に出ようとした。
 その時,手をかけた教室後方の扉にぺっりとはられた,一つの掲示が目に飛び込んできた。
 えええっ!

 つづく(笑)