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脳はそんな者を味方する

2018年05月06日 | 雑記帳
 NHKの朝ドラ『半分、青い』は、今のところ可もなく不可もなくという感じで見ている。多彩な俳優がキャスティングされているが、まだくっきり迫ってこない気もするのだ。さて金曜の放送で主人公の鈴愛(すずめ)が面白いことを言ったなと感心した。漫画家を目指して上京することを反対される場面があった。


 就職試験を落ちた訳を母親に非難された時、自分はわかっていて正直に立ち向かったと鈴愛は返答した。結果、その意気込みに負け漫画家志望が許されるのだが、後日その返答が「まったく口から出まかせ」だったとサラリという場面がある。あまりに意図的でないその発言は、キャラクターの特徴をよく表していた。


 ここでふとTwitterで紹介されていた池谷裕二氏の文章が浮かんできた。「脳は理由を問われると作り話をします」ドラマ中の鈴愛も、何も考えず言ったのかもしれない。池谷氏の文はこう続く。「しかも、でっちあげたその理由を本人は心底から『本当の理由』だと勘違いしています」そこは微妙だが近い感覚が見える。


 というのは、何故そんな出まかせを言ったかを問われ、「勝負のしどころだと思った」という言い方をしたからだ。問い詰められて本能的にそう感じた脳は、もっともらしい理由を作りだす。池谷氏は言う。「真の理由は、自分ではアクセスできない無意識の世界に格納されています」。そこにアクセスできる力を感じた。


 あくまでドラマ上の話ではあるが、そうした人物こそが波乱の世を生き抜く資質を持つ。ここが分岐点、踏ん張りどころという時に、独特の感性で切り抜ける…それは口任せ、身体任せという面が強いのではないか。天性のものか、培った能力かは違いがあるにしろ、「脳」はそんな者を味方する、と思えてならない。