すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

40年目の「成田屋」顛末

2018年05月17日 | 雑記帳
 教職員の中央研修に参加したことがある。期間約4週も最後に近づく頃、センター外の研修が催された。なんと、歌舞伎見学である。確かこうした内容は翌年から廃止になったはず…(時代の流れを感じる一コマ)。歌舞伎は初めてではなかったが、衝撃を受けたのはその時である。あの坂東玉三郎の花道登場場面だった。


 上体のブレのなさに驚愕した。それは舞台上での踊りでも揺らがなかった。歌舞伎に限らず「生」の「本物」の良さを体感することは、本当に素晴らしい時間になることを改めて感じた。そう言えば歌舞伎初観劇は、新任校での研修旅行。旅行社にかなりいい席を用意してもらった。40年前だ!今でも目に浮かぶ。


 花道で見得を切る市川海老蔵(12代目団十郎)を間近で見て、ほおうっと口をぽかんと開けていたことだろう。全く縁がなかった(というより遠すぎて想像もできなかった)世界を垣間見たのだから。縁遠さはしばらく続いたが上に書いた「衝撃」もあり、十数年前から何度か足を運ぶようになった。少しずつ理解も進んだ。


 今回久しぶりに運よくいい席を手に入れることができた。花道近くの前方席。役者を間近で見られる絶好のポジションである。今月は「團菊祭」となっていて、市川家、尾上家が中心となった舞台。午前の部は現市川海老蔵が一人五役を務める通し狂言がメインである。多彩な役どころを見事に演じ、さすがと思わされた。


 中々できない歌舞伎での掛け声…「○○屋!」というアレである。何度か聞いた経験から実は大声ではなく、さりげなく叫ぶ感じが粋と言われるようだ。チャンスがあればと心秘かに…。しかし、今回見事に(笑)周囲の拍手に紛れさせ「成田屋!」と海老蔵に掛けて念願達成。されど、通常一階席はご法度と知る田舎者(泣)