すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

読書絶対禁止の場所で

2021年02月22日 | 雑記帳
驚いた。こんな貼り紙が目に入ってきた。
ナニッ?

読書絶対禁止!

 でかでかと書かれたその6文字は、ガラス扉のこちらと向こうの両面に、びしっと貼られていた。
 下部には「不快、迷惑という声が多く寄せられています」という理由が書き込まれている。

 人が本を読むのを「不快」と感じるのは、いかがなものかとも思うが、「迷惑」になるのなら仕方ないだろうか。

 何せ、この場所は大浴場であるから。

 ここでおそらく、大抵の方は「読書絶対禁止!」の意味を理解できるだろう。



 しかし、そこはちょっと突っ込んで思いめぐらす余地がありそうだと、身体をタオルで拭きながら考えた。

 多くの人は汚れを落とし、疲れをいやし、リラックスするために風呂に入る。
 しかしまた、読書するという行為にもリラックスの要素は十分あるだろう。
 風呂場読書を日常とする自分にとっては、それこそ至福の時間。

 ところがこれが温泉など公衆の利用できる場になると、他者がそういう「リラックス×2」状態で居ることが、不快に思え迷惑に感じるのだという。

 例えば、読書することによって長風呂になり、入りたかった寝湯とか特別風呂に入ることができない…
 例えば、隣でニヤニヤと漫画を読んでいたりすると、気持ちが悪い…
 例えば、読んでいる者が「これっ絶対面白いから…」と話しかけてくる…(さすがにそれはないか)

 というような状態が、日常から存在したのだろうか。

 まあ流行っている施設だったので、やはり長時間滞在抑制が妥当だろうか。
 自分にはあまりそうした方と一緒になった経験がないし、あったとしてもそれほど敏感にはならないと思う。

 別に「不寛容な社会」とまでは言わないが、人はもしかしたら「読書+温泉」というリラックスモードは個別にあるべきで、共有できないと思ってしまうのかもしれない。
 根本に、他者の幸せそうな状態を妬む気持ちが潜んでいる、というのは深読み過ぎか。


 それはさておき、さっき浴場に入ってきた男性。
 マスクしたままだった。

 どうするだろうと見ていたが、あまりに蒸気が蔓延して見失う。

 大浴場は、読書よりも人間観察の場の方がふさわしい。