すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

心して、自分で考える

2022年03月07日 | 読書
 【問題】12個の玉があります。見かけは同じだけれども、1個だけ(軽いのか重いのかはわかりません)、重さの違う玉があります。天秤ばかりを使うのは、3回までとして、その1個を見つけなさい。

 いやあ、考えた考えた。上の問いは結構有名らしいが、限界と感じるまでペンを持ったり頭に思い浮かべたりして、解答を探した。1時間ほどで情けなく断念したが、最終局面に行きつつも仮定する範囲が捉えられなかった。昔は得意だったのになあと加齢のせいにした。すぐ諦めなかったと自分を慰める。さて…。


『かんがえる子ども』(安野光雅 福音館)


 平易な文体で深いことが述べられている。今、私たちが大人自身がもっとも危惧しなければいけない、そして意識的に幼い者、若い人たちに強調すべきことつまり「自分で考える」ことの大切さである。「この本は『すぐ役に立つ』本でも、『○○ができるようになる』ための本でもありません。」では…と考えてみる。


 効率的な活動、実用的な学びを否定するわけではない。しかしそれらが堂々と中心に据えられて、確実に弱体化している「思考力」、その支えあっての「表現力」。弱体ではなく変質と考える向きもあるかもしれない。時流と言い切る者も多いだろう。ただ結果的に、金と権力が透けてみえる気がしてならないのだ。





 筆者の描く「ふしぎなえ」やエッシャーのだまし絵の世界は、面白いなあと眺めているうち不思議な気分にさせられることも多い。今、私たちが毎日報道で見聞きしている「事実」も、どこかと変につながったり、反対になったりすることもある。そこには必ずカラクリや錯覚があることを心して、自分で考えるのだ。