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あなたの一日が世界を…

2022年03月12日 | 絵本
 見返しに著者メッセージが記されている。「この本を手にしてくださったあなたの一日が、よき日になりますように。そして、世界が平和になりますように。」ありがちに思える一節を読みつつ、今この時に限らず、世界に続く紛争の絶えない現状が、ほんの1ミリでも動くことにこの本は貢献できるか、と考えてしまう。


『あなたの一日が世界を変える  今日が輝く「10の問いかけ」』
(くすのきしげのり・作 古山拓・絵 花丘ちぐさ・英訳 PHP) 

 

 「旅人編」と「青年編」で構成される。旅人が世界中のいろいろな場で説く『あなたの一日が世界を変える』こと。それは彼が1人の日本人から教えてもらったという前置きがあるが、そのことは重要ではない。彼の言う内容は「やろうと思えば、たった今から、一人で始められること」なのだ。静かにやさしく語られる。


 様々な場面展開にもそれなりの訳はあるだろう。いろいろな仕事、場所、人数を設定しているのは「共有」「共感」してもらえるような工夫だ。伝える説得力が必要だが、ことさらの強調や仕掛けもなくただ淡々と事実を述べていく印象だ。ただし数字は丁寧に扱っている。低く落ち着いた声で読み進めていくしかない。


 その話を受けた青年が、周囲の人に「10の問いかけ」を教えてまわるのが後半だ。いわば自己啓発的な内容である。最初の問いが最後に再び繰り返されるのはより本質的な中味だからだ。それは「あなたは、今、笑顔ですか?」。しかしそれにしても…この10の問いを渦中のP氏に向けたとしても「もちろん」と言いそうだ。


 ということは、『あなたの一日が世界を変える』ことの原点が自分であるのは間違いないにしても、それが他に伝わら(影響をおよぼさ)ないかぎり進展は望めない。つまり「1/70億」から「2/70億」への路が「変える」ではないか。個の姿勢を正せば伝わる。それを信じ連鎖に結びつけるための「強さ」が求められる。