すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

「逆算の方程式」へ向けて

2005年08月08日 | 読書
日本全体がコツコツタイプを奨励してきた。それが現在崩壊しつつある。今一度コツコツタイプの育成が求められる。しかしそれだけではいけない。全体を見据えて何が必要で何が不必要か、判断できる子どもの育成が大切である。そのためには山をはるポイント学習への大転換が不可欠である。こうした学習スタイルが身に付くと、「逆算の方程式」ができあがるのである。
明石要一「日本教育05.8」(日本教育会)


逆算の方程式…つまり目標、あるべき姿を描いて
そのために必要なことを組み立てていくという発想である。
従来の積み上げていく形では限界がきていることは見えている。
学習スタイルの選択、転換も、
逆算の発想の強さがあればこそではないか。

名馬は厳しい調教によって育てられる

2005年08月07日 | 読書
松下村塾で名高い吉田松陰を教えた玉木文之進は、幼児達に素読を厳しく仕込む師として知られていました。この厳しい詰めこみを見て、「小さな時にそのように詰めこむと、自由な発想が失われてしまう。子どもは伸び伸び育てないと萎縮してしまう」と評する人達がいることを知らされた玉木文之進はこう言いました。「そのような人達は、馬に乗れぬ人達じゃ。名馬を調教できぬ方達じゃ」
七田眞『子どもの右脳を鍛える作文練習帳』(ネコ・パブリッシング)


脳科学の面で徐々に明らかにされつつあることが
遠い昔から実践され、具現化され、
実感されていたことがわかる。
それは確かに一部の考え方だったろうが
育てられた「名馬」が時代を創ってきたことも確かだ。

聞き手のフレームワーク

2005年08月06日 | 読書
教えるという作業は、聞き手のフレームワークを考えてしゃべるということだ。相手に合わせて、伝達する中身と手法が決まるのである。
鎌田浩毅『成功術 時間の戦略』(文春新書)


フレームワーク(考え方の枠組み、思考パターン)の特徴をまず見抜く。
それから取り出してくる内容と加工の仕方を考える。
もちろん、そこに必要なのは、
内容の豊富さ、加工する方法の多様さ
そして、それらの選択と組み合わせだ。
聞き手のフレームワークに絶えず注意を払えるかが鍵になる。

対話や会話で最も重要なこと

2005年08月05日 | 読書
他者との対話や会話はとても大切です。そのための訓練も必要です。しかし、対話や会話で最も重要なのは、「何を話すか」ではなく、「何を話さないか」、「何を話してはいけないか」をわきまえることです。書くことも同様で、「何を書かないか」「何を書いてはいけないか」が大切です。現在の教育では、「相手が傷つくことは言ってはいけない」というところに落ち着きそうですが、そうではなく、「自らの品位を落とす」ことは口にすべきではなく、いったん留保すべきです。「自らの品位を落とす」発言とは、人間がお互いに力を合わせて、ともに生きていくという目的を損なう言葉を指します。
石川九楊『縦に書け』(祥伝社)


国語の授業でのA男の質問やB子の発言、
帰りの会でのC男の反省
そして休み時間でのD子とE子のおしゃべりまで
「力を合わせる」「ともに生きていく」という観点で聴き、
判断し、働きかけることが、
「言葉を大切にする指導」の具体的な一面だ。

『公教育の未来』を読み進める…その4

2005年08月04日 | 読書
私企業でも、地方自治体でも、NPOの組織でも、もはや当たり前になっている「ベンチマーク」調査。上手くやっている同業者から徹底的に学ぶこと。真似することから始めて、徐々にオリジナリティを入れながら独自のものに昇華させてゆく知恵。
本当に不思議だ。「まなび」の本家本元の教育界だけが「まねぶ」ことをしない。まるで、真似することでプライドが傷つくとでもいうように。



教師は「まね」することに嫌悪感を抱いてきたのかもしれない。
「仕事」という意識が希薄だったのだろうか。
上達論が語られず、自己流が価値あるものとされてきたからだろうか。

教師はある意味で表現者だと思うが、
自分の描く稚拙な絵を個性的だと勘違いしているような人もいる。

『公教育の未来』を読み進める…その3

2005年08月03日 | 読書
自分はどんなキャラクターを持っていて、それが他人のどのキャラクターとうまく結びつくのか。社会にどんなうに役立つのか。その人に付与された「クレジット」レベルが、その人の社会における自由度を決める。「クレジット」レベルが高ければ、多くの人からアクセスされ、より多くのエネルギーを集めることになる。


藤原氏の目指す姿が端的に表れている。
キャラクターを「性格・人格」と「役柄」との融合の意味でとらえていると考えられる。
とすると、初等教育初期の段階で鍛えられるべきは前者であり
発達段階に応じて後者へ比重をかけていくという構図ではないか。
現在、未来を生きぬくためのキャラクター作りを
綿密に進めていくことは、言うまでもなく重要な仕事である。