百醜千拙草

何とかやっています

感謝祭とアメリカ大統領選

2011-11-25 | Weblog

この週末はアメリカでは感謝祭で、多くの家庭でフットボールを見ながら一日中、食べたり飲んだりして日を過ごす週末ですが、来年のアメリカ大統領選に向けて、共和党候補指名への選挙活動はしばらく前から始まっています。前回も出ていたミットロムニーとロンポール以外の人は余り知りませんが、当初トップを走っていた黒人候補のケインは露骨なセクハラ スキャンダルを仕掛けられて失速、ペリーはどう見ても頭が悪いのを見透かされて支持をどんどん落し、現時点ではミット ロムニーとニュート ギングリッチがトップに出てきました。ギングリッチはかつて下院のハウススピーカーをやったこともある実力者ですが、不倫で一旦、政界から身を引いたという過去があります。ロムニーはモルモン信者という点が嫌われていましたが、残りの候補がパッとしないのに助けられているです。私、この人が生理的に嫌いです。喋り方もその内容もガマンできません。共和党の中では前回はロンポールが最もまともに見えました。ただ、線がちょっと細くで押しが弱いのでアピール力に欠けて、支持を延ばせません。ロンポールの主張は小さな政府であり地方分権ですが、それは同時に巨大な合衆国としての内部分裂を起こす可能性があり、例えば、北部沿岸州のカネが南部の比較的貧しい州に流れているわけですが、そうした富の再配分を低下させ、より格差を増大する方向に向かうことになると私は思います。彼は国民皆保険制にも反対しており、より社会主義的社会が望ましいと思う私とは意見が違います。極端には、自分の周辺の狭い社会の安定と繁栄が確保できれば、その他には口出ししない主義と言えるでしょう。しかし、外交に関して言えば、小さな政府、不介入主義を唱えるロンポールがアメリカ大統領になることは日本にとっては悪くないのではないでしょうか。例えば、かつて日米同盟について、ポールは、日本は米軍依存をやめるべきで、在日米軍の撤退を強く主張し、「米軍基地の抑止力」は幻想に過ぎないと発言したようです。まるで、日本がアメリカを利用しているようなもの言いが気に入りませんが、アメリカが小さな政府となって外国へちょっかいを出すのをやめてくれたら、諸外国はたすかるでしょう。かつで米ソ冷戦時代の不安定性が汎アメリカ主義でによって一時的には安定化したとはいえるかも知れません。しかし、アメリカは、いまや(かつても)、そのパワーを何とか維持するために、世界各国にテロを仕掛けては世界平和を乱す暴君に成り果てています。アメリカ財政はとっくに破綻していて、これまでのように外国からカツアゲし続けてもどうにもならないような段階です。どこかで突然、大きく破滅するか、そうでなければ、少しずつ商いを小さくして、普通の一国家になる道をえらんで破滅のショックを最小化しようとするか、いずれかであろうと思います。智恵ある人なら後者を選ぶでしょうが、アメリカ一般国民や政治家が十分に成熟した自己統制能と理性を持っているとは思えないので、きっと行ける所までこの調子でゴリゴリ行って、最後はテルマとルイーズのように崖からダイビングするようなことになるのでしょう。(長年の愚民化政策のツケです)理想的には、アジア、アフリカ、アメリカ、ヨーロッパがそれぞれに独立した経済圏をつくって、各経済圏での経済の安定に各々が責任を持つようなシステムが望ましいのではないかと私は思います。グローバル化した経済では、ブラジルでの蝶の一羽ばたきがテキサスでトルネードを引き起こしたりするわけですし。

正直、前途が極めて暗いアメリカの大統領をこれからやる人は大変でしょう。オバマ同様、いろいろ公約して夢を語ったところで、明るい未来を実現できる可能性は極めて低く、それどころか、ユーロが崩壊し、債務削減のためのコストカットを2年後に本格的にやりだしたら、あっと言う間に1930年代以上の大恐慌に陥るでしょう。Gainするどころか、Lossを如何にCutするか、というレベルのことしか行えないわけで、それでは国民はどう転んでも満足しません。入院中の患者がいくら全快退院を求めても、実際に大統領のできることは、その場しのぎの延命処置ぐらいでしょうから。ただ、ロムニーはやめて欲しいと思います。最終的に誰が指名を勝ち取るかはわかりませんが、共和党が有利な選挙になり、オバマが再選されない可能性もかなりあるわけですから、共和党候補も少しでもマトモな人に指名をとってもらいたいと私は思います。いくら大統領ができることが限られているからといっても、自爆を早めるような人選はやはり避けてもらいたい。アメリカがコケそうになった時に最初にとばっちりを喰うのは日本なわけですし。アメリカがクシャミをすれば日本が風邪をひくのは、アメリカの病気を日本が引き受けることになっているからです。アメリカが寝たきりになったときには、下手すると日本は既に死んでいるかも知れません。

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