百醜千拙草

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なぜシャーロッツビル?

2017-08-15 | Weblog
週末のニュース。
米、白人至上主義グループと反対派が衝突 3人死亡

 米東部バージニア州シャーロッツビルで12日、集会を開いた白人至上主義グループと、対抗デモを行った反対派が衝突した。反対派が集まっているところに車が突っ込んで1人が死亡、19人が負傷した。、、、、

アメリカでも世界のどこでもですが、「人種」とか「国籍」ぐらいしか、誇れるものを持たない連中はおります。彼らは幸せでない人々です。彼らは、その原因を己の未熟さではなく他人の転嫁し、もっともわかりやすい「人種」の異なる人々を、彼ら自身の不幸の元凶と見做して、鬱憤をはらそうとしている、と私には見えます。トランプはそういう現状に不満のある白人の不満や怒りを煽り、票を集めてなった大統領です。彼自身が間違いなく差別主義者でしょう。クリントンやオバマのこの件に関してのツイッターで、差別主義を非難するコメントを出したのと、トランプが白人至上主義者の批判を避けたところにその立場の違いが見て取れます。すでにこのトランプの態度に全米で抗議が巻き起こっている様子。この政権も遠からず退場することになりますが、人類の進化という大きな観点から見れば、それは必然だと思います。アベ政権の崩壊もしかりです。

私、このニュースを聞いた時に、なぜ、シャーロッツビルなのだろうと言う点がもっとも気になりました。ニュースではバージニアは東部と書かれていますが、バージニアは複雑です。北の一部はワシントンDCであり、アーリントン墓地がありますから、東部とも言えます。しかし、一般にはバージニアは南部の州と認識されていると思います。すなわち、プランテーションで富を築いた白人裕福層が黒人奴隷を使って優雅な暮らしをしていた過去を持つ場所であり、バージニアは独立宣言を書いた三代目大統領、トーマスジェファーソンの出身地です。ジェファーソンは、独立宣言で「すべての人間は平等」であると述べたわけですが、実際は彼自身も奴隷を使っていた白人地主であり、黒人奴隷との間に子供を作っています。彼自身が奴隷は人間ではないとでも思っていたのではないかと思います。南部白人に人種主義者が多いのは理解できなくもありません。

それはともかく、シャーロッツビルはバージニアの山奥にある田舎町。しかし、University of Virginiaがある関係で、バージニアのその他の田舎町と異なり、町そのものはリベラルだと思います。大学関係者は教育レベルの高い外国人が多いわけですし。ただ、私もずいぶん前に一度だけシャーロッツビルを訪れた経験がありますが、大都市に比べて、外国人にフレンドリーであると言う印象は受けませんでした。単に田舎だからなのか、南部の文化なのか、わかりません。不愉快ということもなかったですが、親しみやすさはなかったですね。大都市では南部の白人からは、言わゆる「Sourthern hosipitality」を感じることはありましたが、南部にかかわらず田舎ではそういう経験をしたことがありません。一度、ニューヨーク州のド田舎にある町で三軒しかないレストランの一つに行った時、半分の客(全員が白人)が我々をまるでパンダを見るかのようにチラチラと見てきたのには閉口しました。

今、調べているみると「なぜ、シャーロッツビル?」という疑問には、比較的単純な理由があったようです。
Why Charlottesville?によると、4月に町は南北戦争の南部の指揮官、リー大佐の銅像を撤去するという判断をしたそうです。南北戦争のリンカーンの勝利によって、奴隷解放が行われ、かつての古き良きアメリカが南部から失われたという思いが白人至上主義者の間にあるのだろうと想像します。そして、それを守ろうとして戦った「リー大佐」は彼らにとっては英雄だったのかもしれません。同時に、奴隷制、植民地主義という人類の進化という観点から、明らかに誤った制度や主義に反対する人々からは、リー大佐像は、逆に望ましくない過去のシンボルだと見なされていたのかも知れません。我々、東洋人にとっては、死んでしまえば、皆、等しく仏であり、銅像は単なる物体にしか過ぎないと思う人の方が多いと思いますが。

人間は思想の自由と言論の自由がありますから、白人至上主義者が何をどう思い何を言おうと、彼らの考え方をや言動を変えたりすることはできません。また逆もそうです。暴力や他人の人権への侵害も、結局、起こってしまってから、法律にしたがって、罰を与えるぐらいのことしかできません。彼らの考え方は彼ら自身にしか変えられないわけで、そういう点で、直接の衝突が起こるようなプロテストはちょっとまずかったのではないかな、と思います。そこにある「バカの壁」は越え難いものがある、と私でも容易に想像できます。
コメント
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